レールに沿った人生を変えたデンマークでの体験#2~YOK株式会社・方さん~

起業家

今回インタビューをしたのは、観光事業を通じて地域創生を目指すYOK株式会社の方さん

彼はいま、日本の観光における問題、そして地方創生を実現するために、福島県の西会津で「ゆっくり滞在しながら地域の暮らしと文化が堪能できる」新しい観光の形を作っている。

前回は彼の斬新で根本的な考え方に触れたが、その考え方はどのように形成されたのだろう。学生生活について訊いてみた。

中国上海生まれ。
2010年高校卒業後来日、中央大学商学部在学中にデンマークコペンハーゲン大学都市計画学部に交換留学。
現地DMC大手BALDERにて、テーマ型ツアーの商品造成などに従事。
卒業後、ホテル業界大手の藤田観光や、オーダーメイド型旅行会社仙貝旅行などにて、インバウンド向け商品造成を多く経験。
2018年、地方の滞在型観光に特化した旅行ブランド「日本巡旅」を立ち上げ、「地域の暮らしに宿る美意識」をコンセプトに中華圏観光客向けの情報発信を行い、現在台湾と香港を中心に2万人ほどのトラベラー情報交流コミュニティを運営中。
2020年8月より個人事業として、NCL西会津のプロジェクトに参画、西会津を含む会津地方の観光基盤作りに関連する事業を展開する予定。

学生時代

彼が育ったのは中国・上海。 高校生まで上海で過ごし、高校を卒業したのちに日本の大学に留学をした。

方さんの起源はここにあるのだろうか。

今はとてもアクティブに活動をする方さんだが「中国にいた頃は親の言いなりだったように思います。」と言う。

方さんは、日本に留学してもそうだった。

レールに沿って4年で卒業をして就職をする一般的な人生を歩むと思っていたそうなのだ。

しかし、そんな彼に転機が訪れる。それがデンマークへの留学だった。

「デンマークに留学する時に、僕は留年が決まりました。その時にはじめて、自分が思い描いていた一般的なコースからはずれたんです。」

デンマークの留学が決定し、レールからずれることになった方さんは大きな決意ができた。

「もう自分のやりたいことを悔いが残らないように最後までやり切ると決めました。そして、やるからには頑張ってやろうと。どこの道に進もうとも無駄にならないと思うので。」

と凛々しい表情で方さんは話す。

決意をもって訪れたデンマーク。その地は方さんの人生を大きく変えることになった。

デンマークでの出会い

デンマークへ留学をした方さんは、インターンをはじめる。観光業に携わりたい、そしてデンマークで現地の人と深く交流したいという思いからだった。

そうして現地の大手観光会社Balderで観光業と出会うことになった。

「その会社はとてもおもしろくて、というのも、ただ観光名所に人を連れていくのではなく、建築や美術、美食など様々なテーマを用意し、それに合わせてツアー作りをする会社だったんです。」

インターンでは、テーマ型ツアーの商品設計や中国と日本市場向けの新規営業開拓などに従事した方さん。働く中で彼に観光の新しいスタイルが落とし込まれた。

デンマークで新しい観光のスタイルを見出した方さんは、日本との差に驚く。そして、日本の観光に可能性を感じるようになった。

なぜなら、日本人の民度は高く、さらに先進国であるにも関わらず、従来の観光システムが根強く残っているからだ。

人の民度が上がっていけば好奇心や探究心などが生まれる。そのことによって暮らしと密接に関わった、のんびりと余暇を楽しむ観光の形が主流になる。

そして「衣食足りて礼節を知る」とあるように物質的に豊かな先進国こそ、心を満たす新しい観光の形は広まるとも言える。

その考えもあり日本の観光業に光を見た方さんは卒業後、ホテル業界大手の藤田観光や、訪日の旅行に特化したオーダーメイド型旅行会社仙貝旅行などに勤務。

インバウンド向けの商品を設計する経験をした。

2018年に方さんは、地方の滞在型観光に特化した旅行ブランド「日本巡旅」を立ち上げる。

「地域の暮らしに宿る美意識」をコンセプトに中華圏の個人客に向けて情報発信を行った。

日本での壁と出会い

しかし、旅行ブランドを運営する中で彼は壁に当たる。

商品が足りていなかったのだ。

方さんが作っていたのは日本の地方にある滞在型観光を、訪日旅人のニーズに合わせて紹介するシステム。

ただ、日本には滞在型観光のコンテンツがほとんどなかった。

「地域の暮らしや文化が分かるような、地域の暮らしそのものを体験コンテンツとして作っている場所って本当に少ないんです。自分たちが住む地域の何気ない風景や日常が観光資源になることを知らない。」

そう方さんは悔しそうに語る。

限界を感じつつも活動を続けていた方さん。ある日、西会津にある宿を紹介するためにコンタクトをとった。すると相手から思いがけないお誘いがあった。

「『宿はあっても滞在型観光のコンテンツがない。だから一緒に作ってくれないか?』と言われたんです。営業かけたら逆営業。おもしろい出会いでしたね。」

その時のことを思い出し、笑いながら彼は言う。

前々から滞在型コンテンツの不足を感じていた方さん。コロナ禍で海外の旅人を呼び込むことが難しかったこともあってその誘いを受けた。

福島県の西会津で観光型コンテンツを作るという新たな活動(Next Commons Lab西会津)に足を踏み出したのだ。

ーーー次回予告

デンマークで観光のあり方を学び、卒業後には様々な形で観光業に携わってきた方さん。彼の活動は様々な活動の中での気づきと出会いに裏打ちされたものであった。

次回は方さんが見る観光と地方創生のつながり、そして未来に描くキャリアについて深堀ります。お楽しみに。

COCOCOLOR EARTH(ココカラアース)
ライタープロフィール
木下悠(きのしたゆう)
早稲田大学社会科学部に在籍。平和学を専攻。興味分野は報道、教育。
考えるゴリラとしてnoteで執筆中
Twitter:きのしたゆう@考えるゴリラ
note:考えるゴリラ@早稲田webライター