飢餓をゼロに|WFP(国連世界食糧計画)って何するところ?#1~WFP坂本和樹さん~

政府系機関

国連の一機関であるWFPにおいて、この7月からコンサルタント(契約社員)として活躍されている、坂本和樹さんにお話を伺いました。

国際機関で働く方はどのようなマインドセットをお持ちなのでしょうか?

第一弾では、坂本さんの現在の活動や、働くうえで大切にしていることについてご紹介します。

坂本和樹(さかもとかずき)
東京大学教養学部 国際関係論分科卒業
2012年 P&Gマーケティング部門に新卒で入社
日本・シンガポールで7年間勤務した後、2019年に退社
国際協力NGO・コンサルティング業務を経て、2019年9月より英国サセックス大学院開発学研究所(Institute of Development Studies)に進学し、開発学修士号を取得中2020年7月よりWFP国連世界食糧計画日本事務所で政府連携コンサルタントとして勤務中

現在の活動

ーーー現在の活動について教えて下さい。

2020年7月末からWFPの日本事務所で働いています。

国際機関の資金源は、個人や企業の寄付もあるのですが、日本のWFPにとって一番大きいのは政府からの拠出金です。

私の仕事は、日本政府からの拠出金を獲得し、WFP現地事務所に必要な予算元とすることがメインになっています。

WFP側のニーズを伝えることはもちろんですが、日本政府から拠出金を獲得する際には、外交関係や日系企業といった、日本の国益へのリターンを加味することも非常に重要です。

例えば、株式会社ユーグレナとバングラデシュで、株式会社ユーグレナの技術を利用した「ユーグレナGENKIプログラム*1」や「緑豆プロジェクト*2」は国益へのリターンを加味したものです。

またガーナでは、味の素株式会社と共同制作した栄養用品の無料配布や販売も行っています。

このように、プロジェクトで日本企業の技術を使うことで、現地でも日本企業の名前が普及する効果を期待しています。

*1 栄養改善が必要なバングラデシュの小学校に給食としてユーグレナクッキーを配布するプロジェクト

*2 バングラデシュ農村での雇用創出と収入増加を実現するため、日本の農業技術を用いてバングラデシュで多く食されている緑豆の栽培を支えるするプロジェクト

WFPで働きたいと思ったきっかけ

ーーー数ある国連の機関の中で、WFPを選んだきっかけは何ですか?

 直接的なきっかけは、ルワンダでの経験です

2017年に国連フォーラムのスタディ・プログラムで、コンゴ難民の住む難民キャンプを訪れました。

難民キャンプでは、食料が配給されているイメージがありましたが、実際は現金給付を行っており、みんながデビットカードのようなものを用いて、自由に買い物をしていました。

自分が持っていた難民キャンプのイメージと実態が違っていたため、そのことに関してWFPの方に聞いてみたことがあります。

すると、「何を購入するかの決定権があることは、人間の尊厳として大事なことです。だから、物を渡されるのではなくて、自分で必要なものを選んで買うということ支援しています。」とのことでした。

また、デビットカードによる現金給付は、物を運ぶ時間やコストを削減できたり、食べ物などが盗まれるリスクを軽減できるなどのメリットもあります。

私は、その当時民間企業で働いていたのですが、国連でテクノロジーを使っているイメージがなく、もっと原始的な方法をとっていると思っていました。

しかし、現地でテクノロジーが使われているのを見たときに、WFPで働けば、新しい手段を導入することでより効果的な支援ができ、非常に楽しそうだなと思いました

ーーールワンダでの経験以前から、食糧支援の分野には興味があったのですか?

人間の生活の基盤となる、基本的なニーズに関われる仕事をしたいなとは思っていました。

その考えには、火事の際には人の生死を左右する仕事である、消防士として働く父を見ながら育ったことがとても影響しています。

新卒で入社したP&Gでは、洗剤や柔軟剤のマーケティングを担当していたのですが、それらは生活必需品とはいえど、無いと死んだり病気になったりするわけではありません。

だから、自分の中では嗜好品の部類に感じてしまいました

もっと人の生死に関わることで、なにか自分が貢献できたらいいなと思っていたのです。

だから、人間の基盤となる”食”に”飢餓をゼロに(Zero Hunger)”という明確なミッションを掲げているWFPに自分はとても共感を感じました。

働く上で大切にしていること 

ーーー働くうえで大切にしていることは何ですか?

現場のニーズを把握することです。

資金を調達する仕事を上流、使う仕事を下流とすると、私がしているのは一番上流の仕事になります。

そのような仕事をしていると、現場の本当のニーズに沿うことよりも、政府からの拠出金がつきやすい条件を作ったり、外交関係が安定している国にフォーカスしてしまいがちです。

しかし私たちの最終目標は“飢餓をゼロに(Zero Hunger)”です。

だから、日本政府が拠出金をつけたい国を提案するのではなく、一番飢餓の状態が厳しい国や、WFPなしでは人が飢えて死んでしまうところに拠出金をつけなければいけません。

それを必須条件とした中で、日本への国益がうまれる事業計画や企業連携などを提案しています。

今私のやっている仕事は現場から遠いからこそ、現場のニーズを理解することは大事かなと思っています。

ーーー活動をしていく中で困難に遭遇した場合、どのようにしてモチベーションを保っていますか?

WFPのミッションである”飢餓をゼロに(Zero Hunger)”への共感性が、私のモチベーションを保っていると思います。

何事に対してもミッションが明確であることは大事です。

WFPには明確なミッションがあって、どの業務もそこにつながっていると実感しています。

だから、自分がやっている業務に対して納得して取り組むことができています。

大企業に入ると、大きな組織ゆえに、何のためにやっているのかわからない業務を経験することもあると思いますが、そのようなことがWFPでは非常に少ないです。

ーーー次回予告

WFP職員として”飢餓をゼロに(Zero Hunger)”の実現に取り組まれている坂本さん。

次回は彼の学生時代、就活、大学院進学など、WFP職員になるまでの経歴について迫りたいと思います。

将来国際機関で働くことに興味があるみなさん必見です!

ライタープロフィール
金子歩乃歌(かねこほのか)
「性別が個人の夢を邪魔しない世界」を創りたい。
将来は、男尊女卑の残る地域で女子教育の普及に関わる予定。