国際開発分野での活躍を目指して~WFP坂本和樹さん~

政府系機関

WFPで”飢餓をゼロに(Zero Hunger)”のミッションを軸に活躍されている坂本さん。

そんな彼は、WFPに入るまでにどのような道筋を辿ってきたのでしょうか?

第二弾では、彼の学生時代、民間企業への就職、大学院進学についてご紹介したいと思います。

坂本和樹(さかもとかずき)
東京大学教養学部 国際関係論分科卒業
2012年 P&Gマーケティング部門に新卒で入社
日本・シンガポールで7年間勤務した後、2019年に退社
国際協力NGO・コンサルティング業務を経て、2019年9月より英国サセックス大学院開発学研究所(Institute of Development Studies)に進学し、開発学修士号を取得中
2020年7月よりWFP国連世界食糧計画日本事務所で政府連携コンサルタントとして勤務中

学生時代

ーーー学生時代は授業と部活が中心だったそうですが、大学で国際協力に関心を持ってから、学校外で何か特別な活動はされましたか?

 特に何も経験しませんでした。

体育会の軟式野球部の活動が週5日ぐらいあり、休めなかったんです。

大学4年生の終わりごろに、教授のスタディープログラムの一環で、フィリピンのスラムにはいきましたが、国際協力系の団体などには属していませんでした

外部での経験を積みたいという思いはありましたが、部活に毎日集中しなければなりませんでした。

そのため時間を作るのが難しかったです。

ーーー部活に集中しながらも、国際協力をしたいという気持ちは心のどこかにありましたか? 

ありました。

私の大学では2年生のときに、3年生から取り組む専門分野を決めなければなりませんでした。

私は大学に入った当初、経済学に興味がありました。

しかし、大学1年生の時の開発経済の授業で国際協力の分野に興味を持ち、3年生からは教養学部の国際関係論分科に進みました。

そこは、国際開発や国際経済などを勉強するところです。

また学友たちの中にも、将来は国際開発関連の仕事に就きたい人が多かったです。

そういう意味では、普段の大学生活のおかげで国際協力への興味は持ち続けられたと思います。

民間企業への就職

ーーーP&Gに新卒で入社された当時の就活における基本指針はどのようなものでしたか? 

基本指針は、2つありました。

1つ目は“海外で働く機会を持てそうな仕事”

2つ目は“若いうちから裁量権の持てる仕事”

私は29歳を目安に会社をやめて国際開発の仕事をしたかったので、この二つを念頭に置いて就職活動を行いました。

だから、受けたのはP&Gやユニリーバのような消費財メーカー、それから三菱商事や三井物産などの総合商社です。

ーーーちなみに、営業やマーケティングなど、職種に関する方針はありましたか?

総合商社に関しては、総合職として採用されるので、職種は選べませんでした。

外資メーカーではマーケティングの仕事を志望しました。

これは今振り返ると、国際開発に携わるための経験としては遠回りだったなと思っています

私がこの時P&Gでマーケティングを志望した理由は、マーケティングが一番有名だからという短絡的なものです。

しかしマーケティングは、基本的に自己資金を持っている会社がそれの使い道を決めて、売上を最大化する施策を実行する職種です。

そのため、国連などの資金調達が必要な国際機関では、厳密にはマーケティングの仕事はありません

ですから、私のマーケティングの経験はそのまま国際機関の仕事へ活かせてはいません。

そのような意味では、人事・ファイナンス・サプライチェーンなどの職種であれば、国際機関で発揮できるスキルとしてより適していたかもしれません。

ーーー入社された当時に、後々のセカンドキャリアは意識されていたということですか?

はい、意識していました。

入社前に自分に書いたメモ書きを振り返ると、29歳でP&Gをやめて、発展途上国の仕事がしたいと書いてありました。

もともとP&Gに就職を決めたきっかけは、P&Gがアフリカで汚い飲み水を飲用水に変える簡易キットを配っていたことです。

だから、P&G職員としてアフリカで消費財ビジネスに携わることに満足できていれば、辞めずに働き続けていたかもしれません。

しかし、P&Gは営利企業なので、利益を追求しなければいけないことが多々ありました。

だから結局、発展途上国でビジネスを行う際には、まず都市部の富裕層に売ることが戦略の根幹になり、農村に住む貧困層は優先順位が下がってしまいます

私は、シンガポールに駐在した際に、東南アジア諸国へのビジネスモデルを見て、そのことに違和感を感じていました。

また、もともと発展途上国の仕事がしたいという想いもあったことから、国際協力の分野に進もうと思い、退社を決めました。

大学院進学の理由

ーーーどうして大学院に進学をしようと思ったのですか?

 国連で働く場合には、基本的に修士号が必須だからです。

そうでなければ行ってないですね。

イギリスやタイの大学院などを探しましたが、1年で卒業できるという魅力に惹かれてイギリスの大学院を選びました。

また、私が進学したサセックス開発学研究所大学院(Institute of Development Studies)は2017年より4年連続で、開発学の大学ランキングで世界1位です。

そのため、国際協力の道に進むには最適な場所だと思い選びました。

ーーーイギリスの大学院で学ぶのであれば、実践的な経験が必要かと思います。大学院進学の前に、現地のNGOで経験を積もうなどの考えはありましたか?

確かに実践的な経験は必要です。

だから、現場を先に見てから大学院へ進むのか、大学院を卒業してから現場に行くのかはどちらも考えました。

最終的には、修士号を持っていた方がNGOで働く際にも採用されやすいと思い、先に取得しようという考えに至りました。

その結果、現場が分かっていない分、学びは浅くなってしまったかもしれません。

しかし、今無事にWFPで働くことができているので、順番としては良かったのかなと思っています

 

ーーー次回予告

大学では野球に注力。卒業後は、P&Gに就職して7年間の経験を積んだ後、イギリスへの

進学。このように常に精力的に活動してきた過去をお持ちの坂本さん。

次回は、国連職員になるための具体的なステップや必要なスキルについて迫りたいと思います。

ライタープロフィール
金子歩乃歌(かねこほのか)
「性別が個人の夢を邪魔しない世界」を創りたい。
将来は、男尊女卑の残る地域で女子教育の普及に関わる予定。