今回は、大学では薬学を専門に勉強しながらも、アフリカで起業をされた角田弥央さんにインタビューをしました!

起業、経営に関する知識とネットワークはどのようにして得たのでしょうか?

プロフィール
角田弥央(つのだみお)

明治薬科大学薬学部卒業。
在学中はエジプト・英国留学を経験。
新卒で人材系の企業に就職し、10ヶ月勤務。
2020年1月に退職し、エンドレス株式会社取締役に就任。
タンザニアにて起業家として株式会社Darajapanを立ち上げる。


ロールモデルがいなくても

ーーー薬学部卒業で起業するというイレギュラーな選択に不安はありませんでしたか?

不安はとてもありました。

薬学部の卒業後の進路としては、臨床現場の薬剤師や製薬会社での研究開発職が一般的で、それ以外のキャリアに進むロールモデルの先輩がいませんでした。

そのため、誰もやったことがない道を決断すること、そのものが怖かったです。

周りからもたくさん反対されました。

けれど、学生時代からなんとなく気付いてはいたのですが、「やりたいことをやる」かつ「自分で何か物事を決断」して、新しい道を切り開くことを楽しめるタイプなんですね。

そのため、大学生の頃から小さな成功体験を積むようになっていました。

具体的には、バックパッカーで一人旅に挑戦したり、渡航先の医療センターで自分でアポイントメントを取ったり、語学のスピーチコンテストに応募したり、全てのアクションが自分にとっては壁でしかなかったので、「挑戦してたらもう成功だね」と思うようにしていました。

そのような小さな成功を積み重ねていくにつれて自信がつき、何かあってもどうにでもなるというのが感覚としてわかってきました。

だから、最近は何をするにしても不安や恐怖をあまり感じません。


起業の準備の仕方

ーーー大学生の頃から経営に関することを学んでいたのですか?

大学時代は、医療従事者を目指すための勉強をしていたので、経営やビジネスは一切学んでいないです。

経営に関する知識と経験は、新卒で就職した会社で学びました。

その会社はベンチャーの人材会社で、一人一人が経営者であり、目の前の事業に泥臭く取り組む、というスタンスで仕事をさせてもらえる会社でした。

具体的には、企業とのやり取り、営業、財務諸表の見方を自分なりに考えて吸収することを意識していましたね。

退職後は、様々な人から経営に関するお話を聞き、オススメの本があれば教えてもらい、実践を交えて、自分でやってみて、の繰り返しでした。

もともと「起業しよう!」とは一切考えていなかったですし、自分のやりたいことを実現させるため行動し、気づいたら起業していました。

今も何もわかっていないので、走りながら学び続けていきます。

ーーー事業を進めるにあたって必要なネットワークはどう広げましたか?

日本に留学しているアフリカ人に出会い、そこからネットワークを広げていきました。

日本には、『ABEイニシアティブ』という奨学金制度を使って日本のビジネスを習得しに来ている優秀なアフリカ人が多くいます。

その方々と、とある国際会議で出会いました。

「日本で生活するのは外国人にとって大変だ」と聞いていたので、日本語を教えたり家に泊まってもらったりして生活のサポートをしながらコミュニケーションを取ってきたんです。

その人たちと話すことはとにかく未知の世界で、楽しくて、自然と仲良くなりました。

かつ、アフリカの人たちは、紹介文化が根強いのか、私が困っていると信頼できる人を紹介してくれます。

その紹介から広い繋がりが生まれました。

また、私は国籍に関係なく、日本でも様々な分野に精通している人とも会う機会を持つようにしています。

「こういうことをしたい」と伝えながら、「飾らずにそのままの自分で接する」「目の前の人は何に困っているんだろう」といつも考えながら接しています。

そのためか、自然と求めている人々と繋がることができ、その紹介から新しい繋がりを作っています。

ありがたい時代に生まれてますね。


学生へのメッセージ

ーーー最後に、学生へのメッセージをお願いします。

固定観念に囚われないでないでください。

世の中の変化は激しくて、誰も未来のことを当てることはできません。

でも、想像はできると思います。

例えば、アフリカのイメージは「ただ貧しい」「犯罪が多い」とマイナスなイメージを持たれがちです。

この話をすると、現地の方々からは「日本の皆は10年前も同じこと言ってるよね」という言葉がよく返ってきます。

既にドローンが導入されていたり、マネー決済が広範囲で急速に広がっていたり、固定概念から抜け出せなかったら、こんな状況も想像すらできませんよね?

だからこそ、国内だけでなく、「海外のスタンダードは何なのか?」「そもそも世界のリアルな現状ってどうなってるんだろう?」と相対的に考えるのって凄く大切だと思うんです。

だから、狭いコミュニティの外に目を向けて、固定概念を取っ払って、たくさん刺激を受けて欲しいです。

あとは、自分の信念を貫いてください。

自分よりも経験のある年上の方々に話すことが学生はほとんどですが、自分の活動や熱い想いに対して、批判的なことを言われるかもしれません。

「いろんなことを言われるのは当たり前」と思えるくらい、ドシっと構えて、アドバイスは受け取りつつ、やりたいことをとことん追求して欲しいです。

自分の『信念』が何か迷う時があるかもしれませんが、気付いてないだけな気がして。
今振り返るとそう思います。

自分のやりたいことは変わってもよいと思いますし、何かしら形にしてければ、その過程も楽しめるはずです。