刺さる企画はどう作る?#1~テレビ朝日 郭晃彰さん~

民間企業

テレビ&ビデオエンターテインメントとして展開する動画配信事業ABEMA内で生放送されている報道リアリティーショー「ABEMA Prime」通称アベプラ。

これまでにない視点のネタや臨場感あるゲストトークに筆者も楽しく視聴しています。

今回のゲストはアベプラでチーフプロデューサーを務める郭晃彰さん。

まずは生放送ができるまでをお聞きしました!

神奈川県出身 早稲田大学人間科学部卒業
2010年テレビ朝日入社
早朝番組でAD・ディレクターを経験
2013年から社会部記者
2015年からは気象庁で災害報道担当
2016年3月には東日本大震災5年に合わせてテレビ朝日の震災報道を検証するドキュメンタリー番組を制作
2016年4月にABEMA開局に参加
現在はABEMA Primeチーフプロデューサー
社会福祉法人はばたき福祉事業団 理事

番組作りについて

ーーー番組作りで意識していることは何ですか?

アベプラで扱うネタは、誰もが関心を持つようなテーマじゃなくても良いと思っています。

そのテーマについて熱量のある人がいればやるべきだと思うし、届ける相手は一人でもいいと思うんですね。

だから作り手の熱量を一番意識します

多くの人に伝えようとすると言葉や情報をやさしくする必要があるけれど、アベプラは『なんでこの問題って知られてないんだろう?議論されてないんだろう?』の一点突破で番組を作っています。

そうやって作ったコンテンツは跳ねることも多いかな。

ーーープロデューサーの仕事って大変ですか?

難しいところは危機管理

放送をしたときに炎上しそうだなとか、誰かが傷つきそうだなとか想像をかなり巡らせて気をつけていますね。

前に小児性愛の元加害者を取材したんです。

児童や子どもが被害者になるわいせつ事件は、毎日のようにニュースになります。

だけど加害者がなぜ犯行に及んだのか?なぜ抑えることができなかったのか?その辺が全然伝えられていない。

加害者の行動を掘り下げないと、再発防止も考えられないですよね。

僕にはそういった嗜好もないから「なんでやっちゃうの?」がシンプルに知りたくて、特集しました。

でもこれって非常にリスクが高くて、元加害者の顔が出ることで被害を受けた子が番組を見てフラッシュバックしたり、様々なリスクが当然のようにあると思うんです。

だから放送では「気分が悪くなる方もいるでしょうし、被害の経験がある人は見なくてもいい」と、二次被害を防ぐためのアナウンスを繰り返しました。

これが正解なのか分からないけど放送してよかったなっていう想いはありますね。

リスクヘッジしながらも「見てもらうために」を考えるところがプロデューサーの仕事かなって思います。

ーーー斬り込んだネタとそれを調理する出演者のトークがアベプラならではだなと思っています!ゲストには「こんな質問をしてください」など事前に指示されているんですか?

議論したいテーマなどは台本に書き込んでありますが、出演者の方に「あれを言って欲しい」みたいな指示は全くないです。

たまに放送中にパッと思いついて、スタジオにいる演者にLINEで「〇〇みたいな視点からコメントください」とかはありますけど、指示ではないですよね。

ーーーどうやって関心が集まる企画を作っていますか?

実は学生の時とやってることはあまり変わっていないなと思ってます。

学生のときは、社会問題をエンターテイメントにして発信するイベント企画サークルにいました。

入口は人気のあるタレントさんとイベントや音楽ライブなどにして、集客するけれど、中に入ると社会問題について話をするので、帰る頃には「〇〇を学べたな」って思えるイベントづくりを学生時代にしていたんですね。

アベプラはまさにそういうことをしてるのかなって思っています。

大学時代の社会貢献

ーーー大学時代に所属していた社会問題に取り組むサークルのこと、詳しく聞かせてください。

早稲田大学のイベント企画サークルqoon(クーン)に入っていました。

新歓期、早稲田の中でコンドームを配りまくっていた人たちがいて「あのサークルヤバそうだよ」って聞いて新歓に行ってみたら面白かったんです。

ーーー社会問題はどこに…??

それこそ『入口=エンターテイメント、出口=社会問題』の仕組みなんです。

入口としては学内でコンドームを配っているヤバいサークルだけど、入ってみたら若者のHIV感染のことを発信していこうって伝えていました。

その仕組みに自分もまんまと引っかかって活動を始めたんです。

そうやってエイズのことを勉強していくなかで、ゲイの人と友達になったり薬害エイズの人に会ったり、より深刻なアフリカの状況を見たいなと思って、ケニアでエイズ孤児の支援活動を行ったりもしました。

ーーーのめり込んでいったんですね。

当時は夢中でしたね。

逆に、社会問題に関心を持たない若者に超ムカついてたんですよ。笑

今じゃ考えられないけど。笑

ーーーどうしてそんなに夢中になれたんですか?

 エイズのことで言うと、『知らなかった』のが一番デカイですね。

活動してから、コンドームは感染症予防具でもあると理解しました。

僕はこのサークルに入るまで性に関する正しい知識がほとんどなかったので、無知を知ったというか、とにかくギャップが激しかったんです。

もう一つ、自分の固定概念や間違った情報に縛られてることに気付けました。

HIVをもつ人と一緒に鍋を食べたり回し飲みしても感染するリスクはゼロなんですね。

大学3年からは彼らと日常でご飯を食べたりお酒を飲んだりする中で、頭では感染しないと分かっていても、いざ同じグラスで飲む時に「うっ」ってなる。

「自分偏見持ってるじゃん」って気付きました。

世の中のため、人のため、彼らのため、というよりも、彼らと喋ることで自分が変わっていったし、自分の価値観の幅をもっと広げたいという思いがあって、社会問題に興味を深めていきました

ーーー

HIV=人の免疫細胞を攻撃するウイルス

エイズ=HIVによって引き起こされる病気のこと 

HIV感染は「性的感染」「血液感染」「母子感染」が経路となっていて、唾液や涙、尿などの体液ではヒトに感染させるだけのウイルス量は分泌されおらず、通常の社会生活の中で感染することはありません。

またエイズ=死の病ではなく、医学の進歩によって、薬でコントロールできるようになっています。最近では、平均寿命近くまで生きることも可能になってきています。

ーーー次回予告

学生時代、夢中になった社会貢献活動。

次回は、就職先にテレビ局を選んだ理由とその型破りな就活方法を皆さんにお届けします!

なんと、就活までもエンタメ化…!?

自己PRに悩める皆さんの背中を押してくれそうです。

ライタープロフィール
東山京子
京都市東山区に住んでいた。日本歌曲が好き。推し作曲家は信時潔。歌曲集「沙羅」の楽曲分析をして卒論提出。歌って卒業試験をパス。