自分のやりたいことに正直に

アラジの今後の活動

―――これからはどのような活動をお考えですか。

2021年は、都市部において大人の識字教育や、農村部において大人のビジネススキルアップ・小規模助成金付与などを考えていましたが、COVID-19の影響で、事業開始が難しくなっています。

そこで、2021年は、さらに子どもの教育に焦点をあて、保護者の経済状況によって教育を開始・完了することが困難な、児童労働に従事している子どもに対して、都市部・農村部ともに、支援の手を広げていく予定です。

現在、教育からこぼれ落ちてしまう子どもと家庭への教育支援を行っていますが、子どもの貧困の根本原因は、まずは大人たちが内戦の影響で、きちんと教育を受けられなかったことに起因しています。

シエラレオネの初等教育は、小学校6年制・中学校3年制・高校3年生と考えられていますが、2020年のデータによると高校に進学し卒業できる生徒の割合は、43.5%(GoSL)と、以前として低い数字が課題となっています。

また、小学校1年生でも留年があり、家庭で基礎的なアルファベットの読み方を習うことができない子どもたちが、小学校低学年を留年し続け、低学年クラスを過密化させてしまうことも問題です。

2018年には初等教育無償化となりましたが、自分の通学バックの購入費や給食代を捻出するために、児童労働をせざるを得ない子どもや、若年妊娠や、就職難により高等教育に意味を見出せない中・高校生の退学…など教育への問題は様々です。

2019年は210名、2020年は、298名の子どもと家庭にサポートを届け、現在約300名の子どもがアラジのサポートにより通学しています。

 

今後の国際協力の潮流

―――今後の国際協力の新しい流れに関してお考えはありますか。

今後の国際協力は、E-learningや、コンピュータを使った、ICTの技術などとコラボしていくのが主流になっていくと考えています。

例えば、シエラレオネでも、スマホで胎児を確認できる格安エコー技術や、ドローンで輸血を運ぶなど、妊産婦死亡率・死産率を減らす等の取り組みや、アフリカの他の地域では、ドローンで鉱山の違法採掘や性犯罪をみつけるなど、さまざまなIT技術が、国際協力の分野でどんどんコラボレーションを起こしています。

一方、ICTを教育ツールにするのはまだまだ簡単ではないと思われます。

ベースとなる、膨大な読書き反復練習や、基礎教育を受けた上で論理的に思考できないと、パソコンなどのICTツールは使いこなせないので、小学生にいきなりパソコンを配っても成果は得られないんですよね。

村に学校もなく教材も足りていないところや電気の供給も不足している地域には、まだまだアナログな支援が必要ではないかと考えます。

国際協力の在り方がどんどんと変わっていく中で、様々な支援のオーバーラップによって格差が広がることのないように、本当に取り残された人たちの支援を忘れてはいけないと考えてます。

 

読者へのメッセージ

―――将来国際協力を志す人にメッセージをお願いします。

自分がやりたいことに正直になるのが大切ではないでしょうか。

学生さんから、就職するか、せっかく志してきた国際協力の道に進むか、相談されることが多いのですが、そこには、親や周囲の反対、金銭的・精神的にも、自己犠牲になってしまうのではないか…どの諸々の心配があるように思われます。

「とにかくシエラレオネで何かやりたいんだ!」という意思だけで、大学卒業後も就職は考えず、飲食店でバイトをしながら100万円以上の借金をして、日本大使館のないシエラレオネに一人で挑戦するという道を選びましたが…。

今思えば、一人暮らしの家賃も払えるかどうか分からないような状態なのに、自分ではそれが苦しい状態だとは、まったく気づかなかったんですよね。

とにかく夢中でやれることだったので。恵まれていたことに、ピンチの時には、周りからの金銭的援助も、応援もありました。

だから、本当にこだわりがある人って自分への心配よりも、どうしてもやりたいっていう気持ちが結局は勝つんだと思います。

日本に住んでいればやりたいことを突き進められる環境にあると思っています。

借金してもそこで死ぬわけじゃないし、なんにでも挑戦できるので、挑戦することを選ぶのも、就職するのも、自分の気持ち次第だなと思います。

ただ、私のように、本当に思い入れのある国があったとしても、基本的には、はじめから起業を目指さずに、就職するか、インターンや海外協力隊などで海外経験を積み、まずは国際協力分野で修士号を取得する道を目指されたほうが、現実的な手段ですし、後々のキャリア形成には役立つかとは思います。

国際協力への道は意外にもたくさんあるので、専門分野を磨かれたほうが、現場で役立つ人材になれるのではないでしょうか。

国際協力のキャリア相談や、NPO設立などのご相談は、毎日開催しているZoomオンラインお話会でいつでもお答えしています。下記のnoteの文章の一番下に申込みフォームがありますので、お気軽にお申込みください。

 


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