今回は、学生時代に国際協力の魅力に惹かれ、現在は「経営」×「国際協力」をコンセプトにNPO法人The Peace Front代表として活動している新谷佑也さんにお話を伺いました!
社会貢献を仕事にする新谷さんの想いとは⁉
目次
途上国の人々の心の美しさにハマる
国際協力を始めたきっかけ
―― 国際協力を始めたきっかけを教えてください
高校時代に野球部を引退し、ニュージーランドでホームステイをしたことが国際協力や平和について考えるきっかけです。
その当時、ニュージーランドでは日本の捕鯨の問題が報道されており、それが日本と全く逆の視点での報道であったことに衝撃を受け、世界は広いなと、自分の全く知らないところに全く知らない意見や考えがあることを知り、自分の普段見ている報道はなんとフィルターのかかったものだろうと悔しくなりました。
大学時代は東南アジアを中心に世界を飛び回り、日本のニュースや報道に映らないリアルにある、人間を豊かにするエッセンスを探して、人に会うことを繰り返しました。
そこでたまたま会う人の多くが現地で国際協力をして活躍しており、気が付くとその人たちの心の美しさや素敵さにハマっていた、これが国際協力をするきっかけとなっています。
現在の活動内容
――現在、どんな活動をされていますか?
私がやっている事業は、プラットフォームコミュニティの構築とスタディツアーの開催の2つです。
コミュニティ事業は、国際協力や社会課題解決、平和構築に情熱を持っている若者・大学生をターゲットにサービスを作っています。
学生がそれを仕事にするために決定的に必要な能力は経営と仮説を立てました。
「自分の出したいソーシャルインパクトに対してどういった戦略が必要なのか」
「いくらあれば食べていけるのか」
「誰にニーズを調査すればその課題が解決されるか」
そういった基本的な生きていくことと社会課題を解決する力が身につくサービスです。
なので、「経営」×「国際協力」のコミュニティでは、国際協力の知識のインプットと、経営の知識のインプットの二軸を回しています。
スタディツアー事業は、カンボジア、デンマーク、ルワンダと販路を3つ持っています。
そこは「世界一の環境から学ぶ」というテーマをもとにツアーを作っています。
カンボジアにおいて言うと、日本人の社会起業家、NPOや企業がたくさんいるため、最先端のソーシャルビジネスを学ぶには世界一だろうと考えています。
デンマークは、幸福度や教育が世界一といわれているので、主に教育や世界のエコシステム作りをテーマにツアーを回しています。
2019年夏に初めてチャレンジするルワンダは、虐殺の歴史から、平和構築のメッセージも強いです。
この歴史から復興を遂げていく国からは、学ぶことが多いと考えています。
これまで1年半で計6本ツアーを回し、延べ106名を海外に連れて行っています。
カンボジアツアーで農村に訪れる道中
世界をよくする人を生み、育てたい
NPOを起業した理由
―― なぜNPOを起業したのですか?
まず、起業をした理由は、プレイヤーとしての活動に限界を感じたからです。
大学1,2年生の時に世界中を飛び回り、ジャーナリストとして発信で世界を変えようとしていましたが、目標に対して自分1人の発信では限界を痛感せざるを得ないタイミングがありました。
そこで、自分と同じような経験をした人が10人いれば目標達成するのではないかと考えました。
僕が高校生の時に得た原体験のような、世界を良くしようと考える人がたくさん生まれる仕組みを作り、人を育てようと考えたのが一番大きな転機です。
NPOの起業をした理由は、自分たちが欲しいサービスや課題解決が世の中になかったので、自分たちが最初にやろうと考えました。
ソーシャルビジネスを回していく中でファイナンスのリテラシーや自分たちが生きつつ、ターゲットにも価値を与え続けることが必要です。
しかし、業界が割と苦手なイメージなので、国際協力の専門性を持った素敵な人達に生きていくためのリテラシーをつけるためのサービスを自分たちで作ろうと考えました。
起業における困難
――起業における過去最大の困難は何ですか?
自分が食べていけるようになるまでは結構大変でした。
困難は3年生の時に事業の作り方を教わって、自分が誰かに価値を与えて対価をもらうという訓練を始めました。
当時は自分で「Catalyst」という団体を作ってリーダー育成を行っていました。
その団体では、同世代の中では割と影響力があったので、出張授業や講演でお金をいただくようになりました。
また、無人島に学生連れて行ってリーダー育成など、面白いこともやりました。
そのうちにお金が大きくなってきて、それを組み合わせることによってバイトをやめられました。
その時は、自分がやりたいことと思ったことや誰かを喜ばせることに集中していたので、大学の中で浮いた存在になっており、ほかのものは捨てざるを得ませんでした。
自分が事業を作ると覚悟を決めて他のものを切り捨てる決断をしたときは、短期的には苦しかったですが、そこはすごくやってよかったなと思います。
また、Peacefrontを黒字化するまでの尋常でない行動量はあまり人にはマネされづらいと思います。
自分が食べてスタッフも食べていくにはそれくらい必要なので、自分で何かをしたい人はそれくらい覚悟をして臨むべきです。
かけがえのないThe Peace Front の仲間たち
出会った人の人生を前に進められるように
大切にしている考え
――活動する上で、大切にしている考えを教えてください。
大事にしている考えは、「その人の人生が前に進むこと」です。
「インターン行っておいた方がいいよ」
「資格持っておこう」
「国際協力するなら絶対院卒だよ」
世の中が表面的なものにあふれていると時々思います。
その中での私たちは、その人が抱えている課題を解決できたか、今日自分と会ったことでブレークスルーや衝撃を与えられたかという点にとてもこだわっています。
ツアーキャンプ参加者と面談をする際には、ツアーに参加するしない以前に、この人の人生が前に進むにはどうすればよいか全力で向き合う時間を過ごしています。
自分たちは向き合いたいお客さんを選べる、そこで想いを持っている本気の人と使う時間が幸せですね。
だから、想いを持った本気の人と出会えたことに感謝をして、出会えた人に衝撃を与えたいなと、その人の人生が前進するような時間を過ごせているのかどうか、というのが大事なマインドだと思います。
――その考えをもった原体験を教えてください。
この考えを持った原体験は2つあります。
1つは、Peacefrontができることはそこだけだと思っているからです。
というのは、ツアーに連れて行った人数やコミュニティでは200~300人を相手にしており、抱えている顧客数は企業に比べると少ないです。
しかし、自分たちが一人一人に伝える時間はすごく多いです。
接点も多く、コミュニケーションもとれ、お互いの理解度は、ほかの会社や企業に負けない強みだと考えています。
2つ目は僕自身が人の顔色伺いながら生きていたことです。
最近改善してきましたが、これは国際協力やっている人は人のために生きることが多い気がしています。
場の空気や人の気持ちをうまく読めすぎるから、自分に当てはめるとか、自分がうまく立ち回ろうとすると思います。
僕がPeacefrontを立ち上げた当初は、お客さんのことを短期的にしか見ていませんでした。
この場をいい感じに過ごしてくれればいいなという風になっていました。
しかし、自分と向き合ったときにそれが無駄であり、そのコミュニケーションが失礼だと気づきました。
お金や時間を使ってくれている人たちに自分たちができることはそうじゃないだろうと、本当に向き合うことが必要だろうと反省しました。
そして、この2つを考えた先に「人の人生を前進させる」というのがあります。
読者へメッセージ
――最後に国際協力をやっている人に応援メッセージをお願いします。
行動の質を上げることです。
行動している人は多く、とりあえず途上国行く、イベントに行く人はたくさんいると思います。
行動の質とは、行動してインプットした時にその結果を最大化させたほうがよいです。
例えば、国際協力をやっている人に会ったとして、表面的なことだけを聞いてしまいがちです。
しかし、それだけではなく活動する上で自分が苦労しているすごく具体的なことや自分が聞きたいことをすごく深掘りをしたほうがいいです。
具体的な話を聞くように、自分が行動するときに確信を取っていく力、つまり行動の質を上げて欲しいと思います。
以下がカンボジアツアーの様子をまとめた動画になります。雰囲気などもよく伝わってくるので、気になるかたはぜひ見てみてください!
【2019 Cambodia】Social Business Camp
主催:NPO法人The Peace Front