社会人として働きながら大学院に通うのは、時間やエネルギーの配分が難しい一方で、キャリアに大きなプラスをもたらす可能性があります。
しかし、実際に両立を試みると、仕事や学業のバランスを取ることに悩む人は少なくありません。
本記事では、社会人大学院を経験した方のインタビュー記事の抜粋を紹介します。
・社会人大学院インタビュー①~IMさん_サセックス大学~
・社会人大学院インタビュー②~小宮陽菜さん_リーズ大学~
・社会人大学院インタビュー③~松丸里歩さん_ロンドン大学ゴールドスミス校~
・社会人大学院インタビュー④~坂本さゆりさん_IE Business School~
・社会人大学院インタビュー⑤~河村泰志さん_サセックス大学~
目次
社会人大学院経験者 IMさんの「キャリアの悩み」インタビュー抜粋
Q: 大学院進学を決めた理由はなんですか?
A: 学生時代から、国際開発分野でのキャリアを目指しており、実務経験と学問の両方を身につけるために進学を決めました。
学部卒業後から考えていたものの、新卒でJICAなどへの就職ができなかったため、社会人経験を積んでから再挑戦することにしました。
Q: 進学を決断したタイミングを教えてください。
A: 就職後の3年目に進学を決意しました。
新卒で就職した会社での経験が十分にでき、経済的な準備も整ったため、このタイミングで進学することを決めました。
Q: 帰国後、どのようなキャリアを考えていましたか?
A: 帰国後は、日本だけでなく、イギリスやアフリカなど、幅広い地域でのキャリアを考えていました。
特に、国際開発の分野で人材支援や難民支援に携わりたいと思っていました。
大学院卒業後にすぐにその分野で働けるなら、地域は限定せず、広く機会を探していました。
最終的に、日本での就職を選んだ理由の一つは、研究テーマが日本における難民の社会統合だったため、日本でのキャリア形成がスムーズに進むと判断したことです。
また、パートナーが日本にいるため、一緒に生活したいという考えもあり、日本での就職活動に絞りました。
社会人大学院経験者 小宮陽菜さんの「キャリアの悩み」インタビュー抜粋
Q: なぜ大学院に進学しようと思ったのですか?
A: サステナビリティ関連の仕事がやりたくて会社に入りましたが、徐々に心境の変化がありました。
自分がやりたいことをより探求できる環境に身を置きたいと強い、会社の上司とも相談していった結果、転職か大学院進学のどちらかを選ぶ必要があると感じることになり、11月に進学を考え始めました。
Q: 進学を決断したきっかけは何でしたか?
A: 進学を決断したのは12月です。同じ時期に進学を考えている人がいたことで、精神的な後押しを受けました。
また、語学と費用がクリアできることが分かり、進学を決意しました。
Q: 現職との調整はどのように行いましたか?
A: 進学を考え始めたタイミングで少しずつ相談もしていましたが、最終的には6月に進学が確定した段階で、正式な報告をしました。
その後2ヶ月程度引き継ぎを進め、8月末に退職しました。
Q: 進学後、キャリア観は変わりましたか?
A: 進学後、キャリア観はより具体的になりました。
海外で働くことに対するハードルを感じ、日本に戻る選択肢も考えています。
特にビザの問題が大きく、海外でのキャリア形成には厳しい条件が伴うことを実感しました。
社会人大学院経験者 松丸里歩さんの「キャリアの悩み」インタビュー抜粋
Q:大学院進学を決意された具体的なきっかけや背景について教えてください。
A: 社会人経験を3年間積んだ後、自分のキャリアについて立ち止まって考えるタイミングが来たと感じました。
学部生の頃から海外大学院への進学は視野に入れていたのですが、コロナ禍で留学が難しくなったことや、後輩たちが動き始めたのを見て、自分も行けるうちに行っておいた方がよいと考えました。
Q: 進学したことでキャリア観は変わりましたか?
A: はい、変わりました。
まだ具体的ではないですが、以前から今の学問分野に近い環境やサステナビリティの領域には関わりたいと思っていました。
具体的なところでは、留学前はコンサルタントも選択肢にありましたが、今はあまり選択肢にありません。
より直接的にソーシャルインパクトを感じられる仕事に就きたいという想いが強くなりました。
また、働き方に対しても考え方に変化がありました。
日本ではハードワークも厭わず働いていましたが、ヨーロッパのプライベートを大切にする文化を経験したことで、自分自身のことも大事にしたいという考えが強くなっています。
Q: 現職との調整をどのように行い、どのような準備が必要でしたか?
A: 合格後すぐに会社に伝えました。私はco-founderだったので、組織のことを考え、早めに伝える必要があると感じたため、渡航の1年前に報告しました。
その後、後輩の育成や引き継ぎを進め、留学中もリモートで短時間働くことになりました。
しかし、時差の影響や学業との両立などで難しい面もあり、学業に集中するため1月に正式に会社を離れることになりました。
≫社会人大学院インタビュー③~松丸里歩さん_ロンドン大学ゴールドスミス校~
社会人大学院経験者 坂本さゆりさんの「キャリアの悩み」インタビュー抜粋
Q:なぜ大学院進学を考え始めましたか?
A:新卒で金融機関に就職しましたが、JICAや国連に関心を持っていたため転職を見据え修士号が必要だと感じ、大学院進学を考え始めました。
Q:国際修士ではなく、MBAを取得した理由を教えてください。
A:JICAのキャリア相談で、国際修士では専門性が狭まる可能性があることと、すでに金融機関でのキャリアがあるためMBAの方が経験を生かせるのではとアドバイスを受け、MBA取得を目指すことに決めました。
金融機関の先輩で、社費でMBAを取得した女性ともお会いし、自分もチャレンジできるかもしれないと思ったことも決め手の1つです。
Q:進学を決意したタイミングは?
A:本格的に決断したのは2017年です。
当時、仕事や結婚が一段落し、勉強に集中できる環境が整ったことが理由です。
また、コロナの影響でオンラインMBAの選択肢が広がったことや、年齢的なリミットも後押しになりました。
Q:現職との調整はどのように行いましたか?
A:現職には2021年春の段階で進学希望を伝えていました。
推薦状が必要だったので、上司には早めに相談しました。
海外のMBAで時差もあったため、仕事に悪影響を与えないようにするということも意識していました。
Q:進学後、キャリア観に変化はありましたか?
A:変化はありました。
IEでは、起業家の話を聞く機会や、最終試験でアントレプレナーピッチを行う課題があり、起業に関心を持つようになりました。
会社員として昇進していくというより、自分のやりたい事業で社会貢献していきたいと思うようになりました。
≫社会人大学院インタビュー④~坂本さゆりさん_IE Business School~
社会人大学院経験者 河村泰志さんの「キャリアの悩み」インタビュー抜粋
Q: なぜ院進を考えることになったきっかけを教えてください。
小学生時代から環境問題に関心があり、大学では海洋プラスチック問題について研究していました。
その後、広告制作会社で働いていましたが、SDGsを推進する方針もある一方、大量生産・大量消費社会に関わっているという点で、矛盾と向き合う機会が多くありました。
そんな中で、自分が本当にこの業界で働き続けたいのか、自問自答するようになりました。
Q: なぜ院進を決断したのですか?
コロナ禍で自身の進路について考える時間ができ、スタンフォード式ライフデザインを学びました。そして、先輩とのワークショップなどを進める中で、自分の一番進みたい道は何かを考えた時に、大学院進学を決めました。
Q: なぜこのタイミングだったのですか?
会社に3年半在籍していたので、十分な経験を積めたと感じました。
また、年齢的にも20代後半なら、方向転換がまだ間に合う点も理由の1つです。
Q.会社にはどのように伝えましたか?
渡航の1年半前、決断したときにまず部門長(役員クラス)に伝えました。そうしたことで一番上から直属の部長に伝えてもらうことができ、調整がスムーズにいったと思います。
Q: 大学院進学はキャリアにどのような影響を与えましたか?
シンクタンクなどで環境政策に関わりたい、という点は変わりませんが、関わり方のイメージに変化がありました。
進学前は、民間企業や自治体での仕事を考えていました。
しかし、進学後は、政策的アプローチを主に学んだことや、国際機関の重要性を目の当たりにしたことで、国際機関や政府機関に関わる仕事に興味を持つようになりました。
実際に、今では環境省などの政府機関やUNEP等の国際機関と仕事ができ、大学院時代に想像していた仕事と近いことができています。
≫社会人大学院インタビュー⑤~河村泰志さん_サセックス大学~
社会人大学院の悩みをジャンル別に解説!
社会人大学院とキャリアの悩み
社会人大学院とお金の悩み
社会人大学院とプライベートの悩み
社会人大学院と時間の悩み
社会人大学院と情報の悩み
社会人大学院と語学の悩み
この記事の監修者
吉田宏輝
COCOCOLOREARTH代表、社会活動家。
COCOCOLOREARTHでは、社会課題解決を軸にした就職・転職活動を支援するインタビューメディアの代表として、100人以上の社会活動家にインタビュー、記事執筆やイベント登壇などを行う。