国際協力 社会課題コラム

「かわいそうな子・恵まれない子を支援したい」という想い

あなたが、社会貢献に関心が出始めたきっかけは何でしたか?

私は、小学校の頃にテレビで見たアフリカの飢餓を見て、「かわいそうな子を助けたい」と思ったのが、きっかけでした。(今は、子ども支援を中心に社会貢献を仕事にしています。)

最近は少なくなってきましたが、「かわいそうな子を助けたい」「恵まれない子を支援したい」。まだ時々聞くことがあるこれらの言葉。

このコラムでは、何となく違和感のあるこの言葉について深掘ってみたいと思います。

他の人を批判するためでなく、社会貢献を仕事にしたい皆さん自身が、支援のあり方について立ち止まって考える機会に使っていただければ幸いです。

※子どもを対象とした活動でよく聞かれる言葉ですが、その他の活動でも当てはまる内容です。

この表現への違和感

なぜ、これらの言葉には違和感があるのでしょうか?

私が考える3つの理由を挙げてみました。

① 「かわいそうな子」「恵まれない子」と言われて、喜ぶ人は恐らくいないこと。

ちょっと考えればわかるはずの当たり前のこと。

だけど、悲惨な現状を知って「助けたい!」という気持ちが大きくなり、つい冷静さを失い「人が嫌がること」を言ってしまうことがあります。

これは、嫌な気持ちにさせるという個別の問題だけでありません。

その心理が伝わることで、自己肯定感を奪う、一般の人たちの偏見を生み出すなど、それ自体が課題を作りだす要因となる可能性もあります。

② 社会課題を個人の問題に帰属してしまっていること。

「恵まれない」・・・このような言葉は、私には、まるでその子たちは運が悪かったと言っているように聞こえます。「かわいそうだけど、そういう子どもがいることも世の常だ。だから恵まれている私たちが助けるのだ」と。

全ての人が人権を、また子どもは「子どもの権利」を持っています。それが達成できていない状況は、社会側の欠陥(=社会課題)です。大人の責任として、社会の欠陥により奪われた「本来当たり前のこと」を取り戻す行為をしているだけなはずです。

この意識の差は、具体的に活動の質に影響します。何となく「良さそう」な活動をするのか、それとも社会課題をしっかりと理解して適切な対応をするのかに反映されてしまいます。

③ レッテルを貼っていること。

例えば、世帯年収、家族状況、進学状況などは事実だとしても、一人ひとりの状況は異なります。特に、本人が自分の生活や人生をどう捉えているかは、他人は知ることはできません。

勝手にラベルを貼ることのないよう、勝手に人の状況を決めつけないように、私たちは常に意識する必要があります。事実を見つめ、個別性を考慮して、活動の対象者と関わる必要があります。

≫子どもの貧困とは?貧困の現状や原因、私たちにできることを解説!

では、どう捉えたらいいのか?

このように書いてきましたが、一方で、「子どもたちには力がある」「貧困であっても豊かだ」とポジティブな捉え方をするのはどうでしょうか?

支援者は、「助けたい!」という気持ちを持って活動を始め、実際に人々に関わると、その力強さや純粋さ、幸福な姿などを見て、自分を顧みるきっかけになります。

海外を見て日本の心の方が貧困であった、私の方が相手から力をもらったという気づきを得ます。

それぞれの気づきには間違いはありません。そう思うこと自体は、湧き出てくる気持ちなので、否定しなくてもいいと思います。

ただ、それが新たなレッテルになっていくと、やはり違和感があります。レッテルを貼られて嬉しい人はいないし、状況や捉え方は千差万別なので、たとえポジティブな捉え方をされても余計なお世話になってしまうこともあります。

私たちは、つい「〇〇は〇〇だ」と結論付けや一般化をしたくなりますが、実は必要のない場合もあるかもしれません。

相手への温かい気持ちはそのままに、その上で、冷静に相手の状況を捉えていきたいです。

 → 何が事実で、何がこちらの意見なのか

 → 全体の状況とともに、個別の状況はどうなのか

 → 相手はどう受け取っているのか

最後に

これら全ての根底には、人間が無意識に持つ「支援をする立場=強い立場」という図式があるのかもしれません。

資金、モノ、選択肢。これらを提供するという上下の関係性を有していると、無意識に生まれてくる思い込みがあります。

 「こちらが、相手のことを決めることができる」

 「多少のことは我慢してもらえる」

 「感謝されて当然」

 「相手は喜んでいる」

行きつく先には、支援者による虐待や犯罪などの最悪の事態。

上下の関係性があるから起こりえることです。

支援者はこの問題を認識していて、対等な立場になろうと日々意識している方々も多いです。無意識だからやっかいではありますが、ぜひ、今後社会貢献を仕事にする皆さんも、時々、自分を顧みる機会を時々つくることをお勧めします。

この記事が、その時のきっかけになれば幸いです。

ライタープロフィール

kanomi
社会貢献のキャリアやボランティア経験をもとに、社会貢献を仕事にしたい人や、活動を始めたい人の相談にのる活動をしています。
Twitter@socialcontribu
社会貢献を仕事に。自信がなくても歩める自分らしいソーシャルキャリア (ameblo.jp)

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