今回は、あらゆる「繋がり」を感じられ、誰一人取り残さない社会の実現を目指して、プラントベースの食品企画・販売、また障がい者の就労支援を行う筒井さんにお話を伺いました。

ミス・ユニバースに出場したことがきっかけで、様々な社会問題に目を向け始めた筒井さん。

サイバーエージェントでの勤務経験から、現在の事業に至るまで。

1つの社会課題に止まらず「繋がり」をテーマとして取り組みを広げるその思い、また将来の展望も含めたお話までお伝えします。

*プラントベース:全て植物由来原料から作られていること

プロフィール
筒井玲子

1992年生まれ。
明治大学卒業後、サイバーエージェント(広告代理事業)入社。
その後、スマホアプリなどのマーケティング、夫婦で飲食経営などを行う。
ミス・ユニバース(2015年全国大会)出場をきっかけに、健康啓発や環境保全などのチャリティー活動を行っている中で、日本が食育に関して後進国なのを知りEASY VEGAN・My Best Cellarなどのブランドをスタート。

 

現在の活動

ーーー現在の活動について教えてください。

「食卓から社会へ還元を」をテーマに、週1回から始めるプラントベース生活をサポートする「EASY VEGAN」と、サステナブルワインとヴィーガンおつまみの専門ショップ「My Best Cellar」などの運営をしています。

ーーーヴィーガン製品にはどのような商品がありますか?

弊社の人気商品として、パルメザンチーズの代替として使用できる「FLAKE」があります。

酒粕を使って作っているところがポイントです。

海外では様々なヴィーガンチーズがありますが、酒粕を使うことで日本ならではのプラントベースなスタイルの提案に繋がっています。

また、女性や子どもに大切な葉酸や、ベジタリアンやヴィーガンの方に不足しがちなビタミンB群を補えるので、特に女性から人気を得ています。

社会課題に取り組み始めるまで

ーーー社会課題に取り組みたいと思ったきっかけは何ですか?

大学生だった時に、ミス・ユニバースの全国大会に出場したことがきっかけです。

ミス・ユニバースは、美を競い合うだけでなく社会貢献活動に従事することが求められます。

残念ながら日本代表は叶いませんでしたが、ファイナリストとして社会活動家・NPOの活動をされている方とお会いする機会が多くありました。

そのような経験を積む中で、自分も社会課題にアプローチしていきたいと思うようになりました。

会課題に対する行動を起こそうと思い始めました。

サイバーエージェントに就職をした理由

サイバーエージェントに就職をした理由

ーーー就活の中では、企業の社会課題への取り組みを重視されましたか?

もちろん意識はしていましたが、当時はそれ以上に自分の力を高められることを軸に判断していました。

具体的には、「若くても挑戦できる、決裁権がもてる」、「経営陣とより近い環境で仕事が出来る」などを主な視点としていました。

ーーーなぜその就活軸をおいたのですか?

「新卒からの3年間は、社会人として働く上でのDNAになる」と先輩から言われたからです。

今の自分にとって必要なのは、社会人として最短で成長できる環境へ身を投じることだと思い、ファーストキャリアとしてサイバーエージェントに就職をすることを決めました。

ーーーサイバーエージェントが軸に合っていたのですね。

そうですね、会社の組織的な面が関係すると思います。

サイバーエージェントは、会社の中で事業それぞれが子会社化されていて、各々の会社に社長がいます。

ですので、事業が生み出されることを常に身近に感じる刺激的な環境でした。

また、社長や役員が身近にいるので、自分の取り組みたいことをすぐに伝えられることも軸に当てはまったのかなと思います。

ーーー就活の中で、将来的に事業を立ち上げることは考えていましたか?

特に考えていたわけではありません。

ただ、「世の中に影響力があって、人に喜んでもらえるものを作り出したい」という思いは持っていましたね。

アニマルライツがきっかけで「食」に取り組む

ーーーサイバーエージェントから転向しようと思った背景は何ですか?

目の前のことで忙しく本当にやりたいことを見失うと感じたので、一度身の回りをゼロにしたいと思いました。

サイバーエージェントはとても働きがいがある素敵な環境だったのですが、いったん手放して環境を整えてみよう!と会社から離れることを決意しました。

ーーー現在の事業に携わるまで、どのような活動をされていましたか?

会社で身につけたスキルを活かしながら、事業作りができる力をつけていきました。

サイバーエージェントは、企業に代わって広報活動を行う広告代理事業を行っています。

そのスキルを活かして、知人の会社立ち上げやマーケティング事業のお手伝いをしていました。

また、夫が飲食店を始めたことをきっかけに、飲食事業にも関わるようになりました。

ーーー様々な事業に携わる中で、「食」に関心を持った原体験を教えてください。

NPO法人「アニマルライツセンター」による講演が大きなきっかけです。

「食」に関わる事業を行う者として勉強をしようと思っていたタイミングで、一般社団法人エシカル協会の末吉さんが主催するイベントをご紹介いただきました。

その中で、アニマルライツセンター代表の岡田さんの講演を聞き、日本と世界での食育の差を知り衝撃を受けました。

例えば、イギリスやフランスではバタリーケージでの鶏の飼育を法律で禁止しているのに対して、日本は90%以上が使用しています。

私たちは、犬や猫が虐待される現状には心を痛めるのに、苦しんで死んでいった鶏や豚などのお肉は、彼らの実情を知らずに食べているのです。

決して肉を食べることが悪なのではなく、そういった背景もあることがあまり「知られていない」ことに問題意識を感じ、「食」に関する社会課題に注力しようと思いました。

*バタリーケージ:ワイヤーでできた金網の中に鶏を入れ、それを連ねて飼育する方式

アニマルライツについて、もっと詳しく学びたい方はこちら

「誰1人取り残さない社会」を目指して

「誰1人取り残さない社会」を目指して

ーーー障がい者に関する社会問題にも取り組まれていますよね。その背景を教えてください。

なにより自分の子どもがダウン症を持って生まれてきたことが大きいです。

それまで、ダウン症について人並みの知識しかありませんでした。

しかし、娘の誕生をきっかけに、世界では大手ブランドのモデルや役者、アーティストなど様々な分野で活躍するダウン症の子どもがいると知りました。

世界の障がい者に対する意識は良い方向へ変化していますが、まだ十分ではないと思います。

当事者として、娘たちがもっと生きやすい世の中を作っていこう、と強く思うようになりました。

ーーー障がい者に関わる問題を、どのように改善したいですか?

障がいを持っている人たちに対する社会の偏見を変えていきたいです。

一般的に障がいを持っていると、就職ができない・作業所でしか働けないと思われがちです。

そんな印象を少しでも変える一端を担いたいと考えています。

例えば、弊社のおつまみラインナップは全て就労支援センターと協力して製造をしていますが、今後は「みんながシェフになれる」をテーマに働き手の方と共に新しいレシピや商品の開発などを実施していく予定です。

大切にしている価値観

ーーー働く中で大切にしている、考えや価値観を教えてください。

「繋がり」を大切にしています。

自分たちの生活に、動物や自然など、あらゆるものが繋がっていると実感することが、社会問題に目を向けるきっかけになると思います。

さらに、生産者と消費者との結びつきも作ることで、手に取ってくださる方には「食」を通じて、自然・社会・人とのやさしい「繋がり」を感じて頂きたいと思っています。

ーーー今の活動をしていて必要だと感じたスキルや能力を教えてください。

環境適応能力です。

特に、新型コロナウイルス感染症の渦中で感じます。

「自分は環境が変わった中で何が出来るか?」を考え行動する人もいれば「この状況の中では何も出来ない」と、環境のせいにする人もいます。

どんな時でも、工夫をしながら目標に向かって行動し続けることが重要だと感じます。

今後の展望と理想の社会

ーーーこれからの展望を教えてください。

全国の教育機関への食育の促進を目的としたプロジェクトを進めていく予定です。

現在は、プラントベース食に対して健康のイメージが強いと思います。

それだけでなく、環境への負荷を軽くできる食事だという認識を次の食文化を作る世代に伝えていきたいです。

そのために、教育機関と企業が連携した研究所の設立を進めており、そこを拠点に学校や病院などにプラントベースの食事を推進しようと思っています。

また、海外事業も視野に入れています。例えば、酒粕を使った食べ物のように、まだ知られていない日本のプラントベースな食品を海外に展開していきたいです。

ーーー筒井さんが理想とする社会を教えてください。

「誰一人取り残さない社会」です。

製品を作るに当たって、自然環境や動物などあらゆる方面への負荷を考えながら作ってきました。

また、作る過程から誰もが関われる作業工程を意識することで、障がいをもつ方に弊社を働く場として選択して頂いています。

そのように、製品自体またその製造過程で多くの人を包括していきたいと思っています。

応援メッセージ

ーーー最後に社会課題の道を志す学生へ、メッセージをお願いします。

社会課題というと、壮大なことに感じてしまいます。

だからこそ会社で働き始めると、「自分はそこに従事出来ているのか?」

そんな風に自分のちっぽけさに落胆してしまう事があるかもしれません。

私自身、会社員の間はそうでしたし、今でもやりたいことがまだまだ実現できていない状況です。

しかし、三者三様の人生、それぞれのタイミングは異なります。

常に自分のやりたいことに向かって行動を起こし続けていれば無駄なことはなく、必ずいつかは結びつくと思っています。

まずは、焦らず自分のやりたいことを見つめ続けて、がむしゃらに生きていきましょう!

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