今回は、キリンホールディングス株式会社CSV戦略部に所属する金田大樹さんにインタビューさせていただきました。

入社後5年間は九州で飲食企業向けの営業をしていた金田さん。

6年目からは突然サステナビリティ担当に。

その転換にはどんな背景があるのでしょうか?

また、金田さんが考えるビジネスにサステナビリティを取り込むために必要なこととは?

プロフィール
金田 大樹

キリンホールディングス株式会社 CSV戦略部
2016年に入社し、現在6年目。
入社後5年間はキリンビールの九州にある営業部に所属。
6年目の春に異動し、現在はキリンホールディングスのCSV戦略部に所属。

 

現在のお仕事について

ーーー簡単に自己紹介をお願いします。

2016年にキリンホールディングス株式会社に新卒で入社しました。

入社後、5年間は酒類事業の営業として、九州の飲食店・チェーン企業を担当しました。

6年目からは、CSV戦略部でサステナビリティ担当として働いています。

主な業務は、経営戦略にサステナビリティを組み込むための戦略立案とグループ会社との連携、あとはお客様や従業員、投資家向けにサステナビリティに関わる情報を届ける仕事などです。

また、副業としてスポーツベンチャーの会社で、コミュニティ運営の仕事もしています。

入社理由はCSV経営に共感

ーーーキリンホールディングスに入社を決めた理由は何ですか?

企業の価値観とCSV経営に共感したからです。

自分自身が就職してどんな大人になりたいかを考えた時、世のため人のため誠実にビジネスに取り組む大企業に興味を持ちました。

この観点で企業を絞った際にキリンに出会い、熱意や誠実さに刺激を受けました。

また、昔からキリンが取り組むCSV経営にも惹かれましたね。

CSV経営とは、社会課題を解決することで企業の経済的価値の創出を目指す経営戦略です。

キリンでは、長期経営構想としてCSV経営を掲げ、世界のCSV先進企業を目指しています。

世の中やお客様のために一生懸命働けると感じられました。

ーーー企業の価値観を意識するようになった背景は何ですか?

私が学生時代にサッカーをしていたことが関係しています。

特に大学のサッカー部は決して強いチームではなかったですが、学生主体でチームをつくることを大切にする組織で、キャプテンを務めたことが自分の経験のベースになっています。

学生主体の組織を先輩から引き継ぎ、進化させて後輩にバトンを渡していきたいと思っていました。

その中で、チームを強くするために、部員全員と密にコミュニ―ションを取って強い組織文化を創ることと、自分たちの組織に合う関係者の方々と連携し組織能力を高める必要があり、難しさとやりがいを感じたのを覚えています。

監督がいない環境でサッカーを続け組織のトップを務めたことで、自分自身の組織に向き合う姿勢が日々変化し、チームの風土や誠実さの大切さを学べましたね。

学んだことが自分には非常に影響が大きかったのか、自然と社会に出ても同じような価値観を持った会社で働きたいと考えました。

これは、別にスポーツではなくてもチームとしてどこで何をしたのかが大切だと思います。

営業部門からサステナビリティ部門への転換

営業部門からサステナビリティ部門への転換

ーーー最初に営業部門に所属したのはなぜですか?

人とコミュニケーションを取りながら仕事をすることやスポーツのような熱い体験をすることを目指して、最初から営業を志望していました。

最初の5年間は酒類事業の営業として九州の飲食店・チェーン企業を担当しました。

顧客の経営課題を共に考える機会にも恵まれ、ビジネスを基礎から鍛えていただきましたね。

また、社内では選抜制のビジネス改革プロジェクトに参加したことで、より経営に近い仕事で社会に貢献したいと考え、中小企業診断士の資格を取るなど自己啓発にも努めました。

ーーー営業での経験後、サステナビリティ部門に所属しようと考えたのはなぜですか?

きっかけは、あるビール事業にとって大事な国内の原料生産地の持続可能性に危機感を感じたことからです。

営業時代に研修でビールの原料であるホップの生産地へ研修に伺ったことがありました。

その際に、生産地での生産者の高齢化や後継者不足の現状を目の当たりにし、キリンとしてどんな取り組みをしているかを学びました。

それまでは営業で自社の製品を楽しんでいただくお客様ばかり見ていましたが、サプライチェーンの上流に触れることで、自社の役割の大きさを営業とは別の形で感じることができ、商品やブランドには大きな責任が伴う事を感じましたね。

この経験からキリンのCSV経営への関心が強まり、自分で世の中のサステナビリティについて勉強し、社会に貢献したいと考え、CSV戦略部に異動の希望を出し、縁あって配属となりました。

サステナビリティをビジネスに取り入れる葛藤

ーーーサステナビリティを社内外に取り入れるのに、どのような難しさがありますか?

2つの難しさがあります。

1つは、様々な立場の社員にサステナビリティを自分事として捉える機会を設けること。

もう1つは、利益追求と社会性の両立です。

CSV経営を進めているキリンでも、現状、サステナビリティに非常に関心のある社員は決して多くなく、浸透は道半ばであると感じています。

これは、まだまだ日常でサステナビリティに触れる機会が少ないからだと考えています。

実際に、自分の身に何か起きないと自分事として捉えてもらうことは難しいですからね。

そのため、どうすれば自分事として捉えてもらえるか考えるのに苦労しています。

目の前のお客様に喜んでもらうだけでなく、社会のためにビジネスをすることの良さを伝えていきたいです。

また、利益追求と社会性の両立には工夫やイノベーションが必要だと思っています。世界のCSV先進企業として、キリンが先導してたくさんのモデルケースをつくり、多くの方に伝えていきたいと考えています。

ーーービジネスにサステナビリティを取り入れるために必要なことはなんだと思いますか?

サステナビリティを事業の仕組みや戦略に導入することとイノベーションだと思います。

そのために、まずは実際に私が自分の会社で戦略を実践していきたいと感じています。

また、私は消費者として「ビジネスレザーファクトリー」のバッグを購入したことがあります。

恥ずかしながら、その時はサステナブルな商品だとは気づかずに、デザインの良さから購入を決めたんですが、後々、自分が購入したものがバングラディッシュの労働者に配慮した、サステナブルな商品だと気づきました。

こういった経験をすると、サステナブルなものを手に取ってもらうことだけではなく、手に取ったものがサステナブルだった、という体験も非常に大事だと思うようになりました。

お客様・消費者の価値と社会の価値が同じ方向を向くことが必要であり、決してサステナビリティの押しつけはダメだなとも感じていますね。

コロナ禍で見えてきた課題

ーーー新型コロナウイルス感染症拡大後、CSV経営において見えてきた課題はありますか?

キリンではCSV重点課題として酒類メーカーとしての「責任」、「健康」、「地域社会・コミュニティ」、「環境」の4つを掲げています。

この中でも特に健康と地域社会・コミュニティで新しく見えてきた課題があります。

まず健康面では、人々の免疫に関する意識が高まったと考えています。

キリンでは、プラズマ乳酸菌を活用したブランドを育成し、健康な人の免疫機能を維持する特徴のある商品に取り入れることで健康への取り組みを加速させています。

また、感染症の拡大によって人と人とが直接的に関わるコミュニティが減りました。

お酒は様々なシーンで楽しんでいただいておりますが、「一緒に飲みに行かない?」といった人と人とのつながりをつくるものでもあります。

感染症の拡大を契機に、お酒がもたらす価値や人々のつながりの重要性を考え直し、今後はキリンがつくるコミュニティの新しい在り方を考えていきたいと思っています。

金田さんの思いと未来

金田さんの思いと未来

ーーー金田さんは、どんな思いをもって働かれていますか?

ビジネスを通じて社会のどこかの誰かの生活を少しでも良くしたいという思いで働いています。

ビジネスでは、1人ではできないことでも企業を通じて多くの関係者・仲間とともに実現を目指す事ができます。

企業は色々な人がそれぞれ役割を持ちながら働いています。

最終的なゴールはミッションやビジョンの実現ですが、それらを果たすことで個人も会社も評価され、正しいことが評価されることで、「自分たちもキリンみたいになりたい」と考えてくれる会社が増えてくれるかもしれません。

相互にいい影響を与えることで社会に良いことが広がると思いますし、そういわれる組織・個人でありたいと考えています。

ーーー活動を通して、今後のビジョンがあれば教えてください。

倫理観の高いリーダーとなり、ビジネスを通じて社会に貢献していきたいです。

将来世代に豊かさを引き継ぐために、そして今の世代も充実した生活や人生を楽しむために、私はサステナビリティと経済価値の創出のバランスが大切だと考えていますので、このあたりをもっと勉強して、社会に求められる人財でありたいと思っています。

また、CSV戦略部での仕事を通して、サステナビリティを戦略に落とし込むだけではビジネスが変わらないことを感じました。

このことから、まずは今の場所でとことんサステナビリティを学びながら価値を創出し、そしていつかは事業の中心でたくさんの仲間と1つの方向に向かって楽しく、社会によりよい活動ができる組織を創って社会に貢献したいと思います。

読者へのメッセージ

ーーー最後に社会貢献を軸に就活をする学生へ応援メッセージをお願いします。

私自身はいわゆる”社会課題”起点で就活をしていませんでしたが、「世の中の為に働きたい」といった些細な想いがサステナビリティへのキャリアにつながりました。

そしてそもそも仕事を一生懸命頑張っているすべての人は必ずどこかで社会に貢献していると思います。

貢献の仕方も人それぞれ自由ですので、ぜひ自分自身のやりたいことを大事にしながら、社会へのファーストステップを主体的に選んで頂ければと思います。

社会課題に関わるキャリアを考えたい方へ

社会課題×キャリアの教科書

COCOCOLOR EARTH 編集長・吉田宏輝 著

想いを仕事に変えるための考え方を、自己理解・企業選び・キャリア設計まで1冊にまとめました。

Kindleで読む →