学生時代に環境問題に興味を持ち始めてから現在に至るまで、自分の“やりたい”という気持ちに素直であり続けた北さん。
そんな彼はこれからどのような未来を作っていきたいのでしょうか?
高校時代に発展途上国のゴミ問題に興味を持ち、大学から環境活動に従事。
大学卒業後、廃棄物処理や資源リサイクル事業を手掛けるDOWAエコシステム㈱にて5年間勤務。
2013年10月 青年海外協力隊としてスリランカのキャンディ市役所へ赴任。
学校や住民集会での環境教育やコンポストの普及活動に従事。
2016年2月 juwi自然電力にて太陽光発電所建設のプロジェクトマネージャーを務める傍ら地域での環境教育等を続けている。
未来への展望
―――自身の活動を通して、これからどのような未来を作っていきたいとお考えですか?
私は仕事とプライベートの両方で環境問題に関わる活動を行っています。
そしてこれからも、この2つの活動軸は継続していきたいと考えていますが、今後はこの2つの垣根を取り払って行こうとも考えています。
例えば、太陽光発電所に関わる仕事を5割、それ以外の自然エネルギー全体に関わることを2割、ゴミ問題などを題材にした環境教育に3割といった感じです。
10年前はまだ転職が一般化していませんでしたが、今では当たり前の時代になっているように、今後は副業が当たり前の時代になると思っています。
そんな中で、本業で「現場」を知っている人が教育の「現場」に本気で関わることの意義を実感しています。
私は新しい働き方や新しい環境教育の在り方をリードしていきたいです。
―――これから、自然エネルギーをより普及させていくために必要なことは何だとお考えですか?
自然エネルギーは、既に誰が止めても勝手に普及していく段階に来ていると考えています。
その中で私たちが前提として知っておくべきことは、自然エネルギーが普及することはインフラの転換でもあるということです。
戦後、日本は約50年かけて今のインフラを築いてきました。
いくら技術が進歩してもインフラの転換には一定時間が必要です。
だから、仮に2011年が自然エネルギーのスタート年とすれば、30年から50年かけてインフラが切り替わっていくことになります。
私たちはこの時間軸を頭に入れた上で、エネルギー問題に対処する必要があります。
一方で、未来を創造(イメージ)することを決してやめてはいけません。
まだ黒電話しかなかった時代、ほぼすべての人がスマートフォンをイメージできなかったように、今はまだ多くの人が再エネ100%の未来はイメージ出来ないです。
しかし、私の知る限り一部の人たちは既に10年、20年、30年後の未来を描き始めています。
私は、このイメージを描き続けること、そして共有していくことが大事だと思っています。
―――ゴミ問題やエネルギー問題はとても規模が大きな課題だと思いますが、そんな課題に対してどのように貢献したいですか?
Think Globally, Act Locally という言葉がありますが、現実的にはこの言葉が我々の活動の限界を表しているとも言えます。
私は、環境問題というものを捉えなおすこと、つまり環境問題ではなく「人間問題」なんだと認識することから始める必要があると思います。
地球がどれだけ温暖化しても、ゴミが増えても、核廃棄物が増えても、地球は何も変わりません。
困るのは、私達人間です。
人間問題と捉えれば、自分たちに何ができるのか違った見え方があるのではないでしょうか。
そして、限られた人生の中で、もし自分が人生を賭けて挑んでみたいと思えることが、この人間問題の中にあるなら、自分を信じて一歩ずつ取り組んでいくことが大事だと思います。
読者へのメッセージ
―――最後にキャリアに悩む読者に向けてメッセージをお願いします。
私は論語の
「吾十有五にして学に志す。
三十にして立つ。
四十にして惑はず。
五十にして天命を知る。
六十にして耳順(したが)ふ。
七十にして心の欲する所に従へども、矩(のり)を踰(こ)えず。」
が好きで自身の人生の道標にしています。
孔子は15歳で学問に志を立てました。
つまり、人生を通して自分が一番成し遂げたいことを見つけたのです。
私は20歳の時にこの言葉に感化され大学卒業時から、自分が人生で本当にやりたいことに取り組み続けています。
私がこれまで環境活動にこだわりを持って仕事や生活を続けてこられたのは、自分の心に嘘偽りなく自分がやりたいことをやれているからです。
誰かのためではなく、自分のために、自分が本当にやりたいことを心に問いかけてみてください。
その問いかけの答えが環境活動であれば素直に続けていけばいいし、違う答えが出たならそちらの道を歩めばいいと思います。
自分の心に正直に生きてください。
それが失敗しない、後悔しない最善の方法だと思います。
自分の“やりたい”という気持ちを常に大切にしてきた北さん。
だからこそ、環境問題に対して仕事でもプライベートでも尽力してこられたという彼の生き方から何かヒントは得られたでしょうか?
次回の記事もお楽しみに。
この記事の監修者
吉田宏輝
COCOCOLOREARTH代表、社会活動家。
COCOCOLOREARTHでは、社会課題解決を軸にした就職・転職活動を支援するインタビューメディアの代表として、100人以上の社会活動家にインタビュー、記事執筆やイベント登壇などを行う。