※本記事は、NPO法人結び手様からの情報提供で作成しております。

NPO法人結び手が、インド・ビハール州で児童売買撲滅を目的としたキノコ栽培事業を10月より開始しました。経済的な困難に直面している家庭に安定した収入源を提供することで、人身売買防止へ繋げます。

・インド・ビハール州における児童労働問題の実情

 インドのビハール州は、深刻な児童労働問題に直面している地域の一つです。特に低カーストの家庭では、安定した収入源の欠如に、女児蔑視やカースト差別等の価値観的な要因も合わさり、多くの家族が極端な貧困の中で子どもたちを売るという悲痛な選択を迫られています。

 売買された子供たちは、未知の土地で物乞い、農業、家事、または性風俗などの分野で強制労働に従事させられ、教育を受ける機会を失い、健康や安全が脅かされています。さらに、幼いころから教育を受けずに労働力として搾取された子ども達は、将来も不当に低い賃金で働かされるなど、社会的および経済的に不利な立場に置かれ、貧困のループに陥ってしまっているのが現状です。

家庭を手伝うこどもたち

2023年春に、海外研修プログラムを通じてこの問題を目の当たりにした大学生がこの悲痛な状況を改善するため、結び手のもとでボランティア活動として本プロジェクトを主導しています。

・キノコ栽培による家庭の収入の安定化

この事業の主な目標は、特に母親たちに安定した収入源を提供することにあります。低投資で始められるキノコ栽培は、細かな技術的な教育が不要であり、経済的に困難な家庭でも容易に取り組むことができます。家庭内での栽培が可能であるため、伝統的価値観や家事の忙しさなどから外出が難しい女性にとっても適しています。この安定した収入は、家族が貧困から脱出し、子どもを売らざるを得ない状況を防ぐための重要な一歩です。

家庭で栽培する女性

・スジャータ村でのキノコ栽培の挑戦

 試験運用として、ビハール州・スジャータ村の3つの家庭が10月からキノコ栽培に挑戦しました。キノコは20日ほどで実をつけ始め、30日から収穫を開始し、その後約1か月間収穫が続きました。収穫したキノコは地元のマーケットや、キノコの需要が高いタイ料理レストランなどで販売を行いました。

 約2か月間の試験運用期間を通じて、現地の女性たちと協力しながら技術を学び、収穫量を増やすための改善点を見つけました。3家庭のうち2家庭では予想される収穫量を大きく下回る結果となってしまいましたが、次回はその改善点を踏まえ、成功率をあげられるように慎重に進めていきます。一方で、キノコが実際に成長し、市場での販売が実現すると、その喜びが女性たちがよりいっそうキノコ栽培に向き合うモチベーションとなっているように感じられ、改善点と希望の両方が見える結果となりました。

きのこを収穫した女性

・今後の展望

 スジャータ村での経験を踏まえ、児童売買をなくし、子ども達に明るい未来を提供するため、経済的に困窮し児童売買のリスクが高い、アンタッチャブル(不可触民)と呼ばれるようなカーストの村への展開を11月より進めています。また、日本人が離れた後も現地で自走できるような仕組みづくりをすることが最重要であると考え、村の中に成功事例を築くことで地域内での普及を促進していきます。

・NPO法人結び手とは
NPO法人結び手は、「世界から外部環境が原因で努力できない人をゼロにする」をミッションとして2021年に設立され、インド国内7地域で20団体以上と共に活動を展開するNPO法人です。ビハール州・ラジャスタン州を中心に830名の子ども達に勉強する機会を提供しています。インド在住の代表福岡を初めインド国内で国籍を問わず課題解決することを目的とするNGO団体です。

問い合わせ先
代表 福岡
info@musubite.org

情報元サイト:PR TIMES
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