障害のある方・生活困窮者・ひきこもり・刑務所出所者など、働くことに困難を抱える人たちが、自分らしく働ける環境をつくる仕事が「就労支援」です。

「人の自立を支えたい」「働くことに困難を抱える人に寄り添いたい」という気持ちを持つあなたに向いたキャリアです。

「どんな職種があって、どうすれば就職できるのか」——この記事では、就労支援の仕事内容・職種・必要な資格・キャリアパスを解説します。

 

就労支援とはどんな仕事か

就労支援とは、何らかの理由で一般就労が難しい人に対して、働くための準備・訓練・就職活動の支援・定着支援を行う仕事です。

就労支援の対象は幅広く、障害のある人・生活困窮者・ひきこもりの方・元受刑者・難民・シングルマザーなど、多様な背景を持つ人たちが含まれます。福祉のキャリア全体についても参考にしてください。

支援の目標は「就職させること」だけでなく、「その人が自分らしく働き続けられること」です。

就労支援の市場規模と成長

障害福祉サービス全体の費用は2兆円を超えており、就労系サービス(就労移行支援・就労継続支援)の事業所数は過去10年で急増しています。

障害者雇用率の引き上げ・精神障害者の雇用義務化・ひきこもり支援施策の拡充などを背景に、就労支援の需要はさらに高まっています。

「社会的意義の大きい仕事で、かつ成長市場でもある」という点が、就労支援キャリアの魅力です。

就労支援の主な職種・サービス種別

就労支援における主な職種とサービスの種別について解説します。

就労移行支援

一般企業への就職を目指す障害者に対して、働くためのスキルトレーニング・実習・就職活動支援・定着支援を行います。

支援期間は原則2年間で、サービス管理責任者・支援員・職業指導員などが関わります。

「利用者が一般企業に就職するその瞬間のよろこびを、一緒に感じられる」仕事です。

就労継続支援 A型・B型

一般企業での就労が難しい障害者に対して、就労の機会を提供しながら支援する仕組みです。

就労継続支援A型

雇用契約を結んで最低賃金以上の報酬を保障します。

「一般就労に近い形で、サポートを受けながら働ける環境」を提供します。

就労継続支援B型

雇用契約なしで個々のペースで作業できる環境を提供します。

「無理なく、自分のペースで働くことへの自信を育てる場所」です。

ハローワーク・就労支援センター

公共職業安定所(ハローワーク)の専門援助部門や、地域障害者職業センターなどの公的機関での就労支援です。

ジョブコーチ・職業カウンセラーなどの専門職が配置されています。

「安定した公的機関で、専門職として就労支援に関わりたい」方に向いています。

生活困窮者自立支援

生活保護に至る前の生活困窮者に対して、就労準備支援・家計相談・住居確保など、生活全般を包括的に支援します。

社会福祉士・ケースワーカーなどが担当し、「困窮者の生活の立て直しを最前線で支える」仕事です。

就労定着支援

就職後の職場定着を支援する、比較的新しいサービスです。

就職後6か月〜3年間にわたって、職場・本人・家族・医療機関などと連携しながら、職場での課題解決をサポートします。

「就職がゴールではなく、定着こそが本当の支援」という視点から生まれたサービスです。

就労支援に関わる主な職種

就労支援に関わる主な職種とその役割について解説します。

支援員・生活支援員

就労移行支援・就労継続支援の現場で、利用者の日々の活動・訓練・生活を直接サポートします。

無資格・未経験から始められる入り口の広い職種で、「福祉の仕事を始めてみたい」という方が最初に選ぶことが多いポジションです。

サービス管理責任者(サビ管)

就労移行支援・就労継続支援などの障害福祉サービスにおいて、支援計画の作成・評価・スタッフへの指導を担う責任職です。

一定の実務経験と研修修了が必要で、就労支援の現場でのキャリアアップの目標になります。

「チームを率いながら、より多くの人の支援に関わりたい」という方に向いています。

職業指導員・就労支援専門員

職業訓練・作業指導・就職活動支援などの専門的な支援を担当します。

ハローワークや就労系福祉サービスに配置されており、「就職という具体的な目標に向けて、利用者と伴走する」仕事です。

ジョブコーチ(職場適応援助者)

就職した障害者が職場に適応できるよう、職場に出向いて本人・上司・同僚への助言・調整を行う専門職です。

配置型ジョブコーチ(企業所属)と支援機関型ジョブコーチ(外部派遣)があります。

「職場という実際の現場で、障害者と企業の橋渡しをする」やりがいの大きい仕事です。

就労支援に役立つ資格

就労支援の仕事に役立つ主な資格について解説します。

社会福祉士

社会福祉の国家資格で、相談支援・ケースマネジメント・関係機関との連携を担う役割に必要な基盤資格です。

就労支援の現場で最も評価される資格の一つで、キャリアアップに直結します。

精神保健福祉士

精神障害のある方への支援・相談・就労支援に特化した国家資格です。

精神科デイケア・障害福祉サービス・産業分野での就労支援に活かせます。

サービス管理責任者研修修了

障害福祉サービス事業所でサビ管として活動するために必要な研修です。

実務経験要件を満たした後に受講でき、現場でのキャリアアップの必須ステップです。

職場適応援助者(ジョブコーチ)養成研修

ジョブコーチとして活動するために必要な研修で、中央・地域障害者職業センターなどで受講できます。

「職場での定着支援の専門家」として活動するための資格です。

就労支援キャリアのロードマップ

就労支援キャリアのロードマップについて、現場・資格・民間企業それぞれの入り口を解説します。

現場支援員からスタートするルート

無資格・未経験で支援員として入職し、実務経験を積みながら資格取得・サビ管へのキャリアアップを目指すルートです。

現場を知ることが支援の質を高める基盤になり、経験を積むほど利用者への関わりが深まります。

資格を取ってから入るルート

社会福祉士・精神保健福祉士を取得してから就労支援の相談員・支援員として就職するルートです。

専門性を持った入職ができる一方、資格取得に時間とコストがかかります。

「資格を持った上で、専門家として就労支援に関わりたい」という方に向いています。

民間企業からキャリアシフトするルート

民間企業での営業・HR・マーケティング経験を持ちながら、就労支援事業所の経営・事業開発にキャリアシフトするルートも増えています。

「就労支援をビジネスとして拡大したい」という志向の方に向いています。

「今のビジネススキルを、社会課題解決の現場で活かせる」という視点を持ってみてください。

まとめ

就労支援の仕事は、「人の働く力を引き出す」という、社会的意義の大きい仕事です。

現場の支援職・相談職・専門職・経営職と、様々な関わり方があります。

まずは現場でボランティア・インターンをしてみることが、就労支援キャリアへの最初の一歩になります。

「誰かが自分らしく働けるようになる瞬間に立ち会える」——それが就労支援の仕事の、最大のやりがいです。
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