近年、社会人として働きながら大学院に通う人が増えてきています。

その理由はキャリアアップを目指すためだけではなく、自己成長や新たなスキルの習得、さらには将来の目標を実現するための準備として、多様な背景があります。

しかし、社会人大学院生として学業と仕事を両立するには、さまざまな困難や悩みがつきものです。

本記事では、実際に社会人大学院で学びながら留学経験を積んできたIMさんにインタビューし、キャリア、金銭面、プライベート、時間管理、情報収集、そして語学といった多角的な悩みや、その乗り越え方についてお話を伺いました。

留学先・経歴と留学までの流れ

まずは、留学先・経歴と留学までの流れをご紹介します。

〇留学先
サセックス大学(イギリス)(2022/10~2023/09)

〇簡単な経歴

2019年3月 明治大学卒業
2019年4月~2022年8月 人材系会社でキャリアアドバイザーとして勤務
2022年9月~2023年9月 サセックス大学院留学
2023年8月~2024年1月 UNHCR駐日事務所にてインターン
2024年2月~現在 難民系NPOで勤務

進学関連スケジュール

2021年
6月  留学エージェントの無料カウンセリング後、留学サポート利用開始
8月  出願大学・コースの決定
9月  Personal Statement(志望動機書)の作成
11月  大学院に出願
11〜12月  合否通知

2022年
5月 IELTS再受験→スコア足りず→進学先決定
6月 ビザ申請、家探し
7月 賃貸契約
9月 渡英

社会人大学院とキャリアの悩み

社会人大学院とキャリアについてを伺いました。

Q: 大学院進学を決めた理由はなんですか?

A: 学生時代から、国際開発分野でのキャリアを目指しており、実務経験と学問の両方を身につけるために進学を決めました。

学部卒業後から考えていたものの、新卒でJICAなどへの就職ができなかったため、社会人経験を積んでから再挑戦することにしました。

Q: 進学を決断したタイミングを教えてください。

A: 就職後の3年目に進学を決意しました。

新卒で就職した会社での経験が十分にでき、経済的な準備も整ったため、このタイミングで進学することを決めました。

Q: 帰国後、どのようなキャリアを考えていましたか?

A: 帰国後は、日本だけでなく、イギリスやアフリカなど、幅広い地域でのキャリアを考えていました。

特に、国際開発の分野で人材支援や難民支援に携わりたいと思っていました。

大学院卒業後にすぐにその分野で働けるなら、地域は限定せず、広く機会を探していました。

最終的に、日本での就職を選んだ理由の一つは、研究テーマが日本における難民の社会統合だったため、日本でのキャリア形成がスムーズに進むと判断したことです。

また、パートナーが日本にいるため、一緒に生活したいという考えもあり、日本での就職活動に絞りました。

社会人大学院とお金の悩み

この章では、社会人大学院とお金についてお聞きします。

Q: 大学院進学の費用はどれくらいかかりましたか?

A: サセックス大学での学費は1万8500ポンド(約300万円)でした。

ポンドの為替レートにもよりますが、現在のレートだと約350万円ほどになります。

渡航費や生活費も含め、全体で約300万円程度を見込んでいました。

Q: 大学院の費用はどのように工面しましたか?

A: 奨学金を考えましたが、仕事しながらの応募が面倒で結局利用しませんでした。
最終的には自分の貯金と家族からのサポートで賄いました。

Q: 通っている間に収入を得ていましたか?

A: はい、現地でイベントのアルバイトをしていました。

例えば、新入生歓迎会で無料のピザを配る仕事をしていました。

また、前職の仕事も業務委託で週に3〜4時間ほど継続していました。

Q: 卒業後、年収は上がりましたか?

A:前職よりは下がりました。現在はNPOで働いており、一般企業と比べるとどうしても年収は低めになってしまう傾向はあります。

現職以外の内定がでたNPOで、給与が20万円程度のオファーもありましたが、最終的にはもう少し良い条件の職場に決まりました。

生活に困らない程度はもらえているのと、やりたいことなので、給与が下がったことはそこまで気にしていません。

社会人大学院とプライベートの悩み

この章では、社会人大学院とプライベートについてお聞きします。

Q: ライフプランはどう考えていましたか?

A: 大学院進学時はキャリアに専念しており、プライベートのライフプランについてはあまり考えていませんでした。
しかし、帰国後はパートナーとの関係を重視し、日本でのキャリア形成にシフトしました。

Q: リフレッシュの時間はどう取っていましたか?

A: 平日は授業と課題に忙殺されましたが、週末には都市部でのショッピングや友人との交流、学内イベントやパーティーに参加してリフレッシュしていました。

Q: 同級生とのプライベートでの交流はありましたか?

A: クラスメートとは一緒に勉強したり、週末に遊びに行ったりすることがあり、良好な関係を築いていました。

社会人大学院と時間の悩み

この章では、社会人大学院と時間についてお聞きします。

Q:勉強・情報収集では何に一番時間がかかりましたか?

A:志望校を決めることに一番時間がかかりました。

大学院進学エージェント、大学院進学の経験のある知り合いなどの情報を利用し、情報収集に一番時間をかけました。

大学のホームページや情報提供サイトを使い、自分に合ったプログラムを選びました。

Q:どんな場面が一番大変でしたか?

A:志望校の選定や、必要な書類の準備が最も大変でした。

Q:勉強時間確保のために工夫していたことは?

A: スケジュールを厳格に管理し、仕事の合間に勉強時間を確保しました。

また、職場の理解もあり、応募前などの忙しい時期は業務量を調整してもらいました。

Q: 仕事と勉強の両立はどうしていましたか?

A: 仕事の後や週末に勉強時間を確保していました。

職場には事前に進学予定を伝えており、忙しい時期は業務量を調整してもらいながら準備を進めることができました。

社会人大学院と情報の悩み

この章では、社会人大学院と情報についてお聞きします。

Q: 参考にしていた情報源を教えてください。

A:周囲に相談できる経験者の方がたくさんいたので、そこで色々話を聞いていました。
他には、大学院進学エージェントを活用していました。

Q: 次のキャリアを決める際、どのような情報を参考にしましたか?

A: 元々、難民支援や人材関連のキャリアを考えており、あまり迷いはありませんでした。

また、日本での就職活動のやり方は前職での経験から知っていましたので、特に相談する必要はありませんでした。

大学院在学時からクラスメイトとジョブフェアに参加し、どういった企業があるのか、どのようなツールを使っているのかを共有しました。

社会人大学院と語学の悩み

この章では、社会人大学院と語学についてお聞きします。

Q: 出願書類はどのように準備しましたか?

A: 基本的には自力で準備し、必要に応じてサポートを受けました。

Q: 英語力はどれくらい求められましたか?

A: 私が進んだコースでは、IELTS 6.0~6.5のスコアが求められました。

Q: 英語力はどれくらい求められましたか?

A: 私が入学したコースではIELTS 6.0~6.5が求められました。

ただ、IELTS 7.0があると、現地での勉強にもう少し余裕を持って取り組めたかもしれません。

Q: 事前に準備しておくべきだったと感じたことはありますか?

A: 日本語で、まず移民学や難民に関する基本的な勉強をもっとしておくべきだったと思います。

専門用語を理解していないと、英語から日本語に翻訳しても内容の理解が難しくなることがあります。

Q: 英語での課題提出や議論の際に役立ったツールはありますか?

A: DEEPLとパラフレーズアプリをよく使いました。

特にパラフレーズアプリは、他の論文を引用する際に言い換えを行い、剽窃を避けるのに役立ちました。

Q: 試験の英語と実際に使用される英語にギャップを感じましたか?

A: はい、感じました。アカデミックな英語に慣れておくべきでしたね。

そのギャップを埋めるための準備として、オックスフォード大学などの研究所が発表している小論文を事前に読んで慣れておくことをおすすめします。

Google Scholarなどで検索すると、多くの資料が見つかります。