今回のインタビューでは、IE Business SchoolでMBAを取得した坂本さゆりさんにお話を伺いました。

MBAを選んだ理由や進学に至るまでの経緯、そして仕事とプライベートの両立をどのように乗り越えたのかなどをインタビューしています。

特に、進学を通じて変わったキャリア観や、ライフイベントとのバランスをどのように取ってきたのか、坂本さんの経験は皆様の参考になるのではないでしょうか?

留学先と経歴について

まずは、坂本さんの留学先・経歴と留学までの流れをご紹介します。

〇留学先
IE Business School (2022/02~2023/07)
専攻:MBA

〇経歴
1987年生まれ
東海大学教養学部国際学科卒業(2010年)
金融機関で資産運用コンサルティング・マーケティング・商品企画
不動産資産運用会社でIR担当


社会人大学院とキャリアの悩み

社会人大学院とキャリアについてを伺いました。

Q:なぜ大学院進学を考え始めましたか?

A:新卒で金融機関に就職しましたが、JICAや国連に関心を持っていたため転職を見据え修士号が必要だと感じ、大学院進学を考え始めました。

Q:国際修士ではなく、MBAを取得した理由を教えてください。

A:JICAのキャリア相談で、国際修士では専門性が狭まる可能性があることと、すでに金融機関でのキャリアがあるためMBAの方が経験を生かせるのではとアドバイスを受け、MBA取得を目指すことに決めました。

金融機関の先輩で、社費でMBAを取得した女性ともお会いし、自分もチャレンジできるかもしれないと思ったことも決め手の1つです。

Q:進学を決意したタイミングは?

A:本格的に決断したのは2017年です。

当時、仕事や結婚が一段落し、勉強に集中できる環境が整ったことが理由です。

また、コロナの影響でオンラインMBAの選択肢が広がったことや、年齢的なリミットも後押しになりました。

Q:現職との調整はどのように行いましたか?

A:現職には2021年春の段階で進学希望を伝えていました。

推薦状が必要だったので、上司には早めに相談しました。

海外のMBAで時差もあったため、仕事に悪影響を与えないようにするということも意識していました。

Q:進学後、キャリア観に変化はありましたか?

A:変化はありました。

IEでは、起業家の話を聞く機会や、最終試験でアントレプレナーピッチを行う課題があり、起業に関心を持つようになりました。

会社員として昇進していくというより、自分のやりたい事業で社会貢献していきたいと思うようになりました。


社会人大学院とお金の悩み

この章では、社会人大学院とお金についてお聞きします。

Q:大学院進学にかかった費用はいくらでしたか?

A:学費と入学費で日本円にして約700万円かかりました。

その他、MBAの予備校や試験対策費用には約150万円かかっています。

Q:その費用はどのように工面しましたか?奨学金などは利用されましたか?

A:金融機関に勤めていたため新卒から資産運用をしており、その資金を使用しました。

IE Business Schoolの奨学金に応募しましたが、残念ながら不採用となりました。

外部の奨学金については、そもそもオンラインMBAに対する奨学金があまりなく、検討しませんでした。

Q:在学中も働いていましたか?

A:在学中の半分は働きながらでしたが、入学の1週間前位に妊娠がわかり、途中で出産したため後半は産休育休を取っていました。


社会人大学院とプライベートの悩み

この章では、社会人大学院とプライベートについてお聞きします。

Q:ライフプランにどのような影響がありましたか?

A:進学がライフプランに大きな影響を与えています。

当初、単身で海外留学するつもりで妊娠・出産は後回しにするつもりでしたが、途中で不妊治療が必要であることがわかり、不妊治療を進めながら勉強することになりました。

結果として、仕事・勉強・不妊治療を並行し、妊娠出産・子育てをしながら大学院に通いました。

Q:子育てしながらの勉強は大変ですね。

A:はい、産後2日目で授業にも参加し、遅れをとらないよう必死でした。

産後の体調不良や子どもの夜泣き・お世話に加えて、大学院のMTGや授業に時差があったので、かなりの睡眠不足になり、産後うつ直前のような状態でした。

Q:在学中のリフレッシュ方法を教えてください。

A:オンライン授業が中心だったため、家族と過ごす時間や、自分の趣味である食事を楽しむことがリフレッシュになりました。

また、女性を対象としたMBA同好会の活動も行い、仲間と交流する機会を作りました。

社会人大学院と時間の悩み

この章では、社会人大学院と時間についてお聞きします。

Q:入学前にどのくらい勉強時間を確保していましたか?

A:金融機関時代の仕事と勉強の両立はとても大変でした。

〇具体的な一日の流れ
・6時前:起床・オンライン英会話・通勤中に単語
・7時~8時:カフェで勉強
・8時~20時:出社・勤務
・20時~23時:カフェで勉強
・23時~:帰宅

2018年からは勉強に集中することと、不妊治療をするため、1年ほど専業主婦になりました。

1日約10時間を勉強に充て、特に英語と数学の基礎力を固めることに集中していました。

Q:勉強時間の確保のために工夫していたことはありますか?

A:勉強も食事もなるべくルーティン化することで時間を作っていました。

例えば、朝ご飯をゆで卵とR1にして、駅まで歩きながら食べつつ、英語のシャドーイングをしていました。

隙間時間に何をするか全て決めておき、1秒でも無駄にしないことを意識しました。

Q:在学中は、どのように時間を使いましたか?

A:仕事・妊娠・出産と並行して授業を受けることは非常に大変でした。

通勤時間や昼休みに課題を進めたり、出産後は、夜中の授乳のたびにメッセージをチェックし、時差のあるグループメンバーとの打ち合わせも夜中に行うなど、時間の調整が必要でした。


社会人大学院と情報の悩み

この章では、社会人大学院と情報についてお聞きします。

Q:進学に関する情報はどのように集めましたか?

A:学校の説明会に参加したり、在校生や卒業生に直接コンタクトを取り、学校やプログラムについての詳細を聞くようにしていました。

また、IE Business Schoolの卒業生が知り合いだったこともあり、リアルな情報を得られました。

Q: 志望校を選ぶにあたって使った情報収集の手段を教えてください。

A: 各学校の公式サイトや在校生のブログを見て、自分に合う学校を探しました。

具体的には、国籍の比率やグループディスカッションの有無、得意領域(ファイナンスなど)、雰囲気を確認し、最終的にIE Business Schoolに決めました。

オンラインと、現地授業が3回あるというハイブリッドなカリキュラムで、世界ランキングトップという、学びの質が高い点も重要な点でした。

また、IEはベンチャーキャピタル(VC)や起業に強いプログラムがあることも魅力でした。

Q: 次のキャリアを決めるにあたって、どのような情報を参考にしましたか?

A: 授業やサーチファンドでのインターンシップで得た経験が次のキャリアを考えるのに役立ちました。

また、IEでは日本のコミュニティが強く、飲み会などでポストMBAのキャリアについて先輩方から話を聞く機会も多かったです。

社会人大学院と出願の悩み

Q: 出願にあたって必要だったものは何ですか?

A: 出願に必要だったものは主に以下の項目です。

・推薦状2通
前職と現職、それぞれの上司から推薦状を貰いました。
日本語で書いていただいたものを英語に翻訳して提出しました。

・数学系試験:GMATスコアまたはIE GAT(大学独自)
GMATの代わりに、IE Business Schoolでは独自の試験「IE GAT」も受験可能です。私の場合は最終的にIE GATを選びました。

・英語系試験:IELTSまたはTOEFLスコア
留学に必須の英語力を証明するため、IELTSやTOEFLのスコアが求められます。私はIELTSを受験しました。

・KIRA面接
トップスクールで多く導入されている「KIRA」というコンピューターによるインタビュー形式の試験もありました。
3問の質問に対して、2問は口頭で、1問はライティングで回答します。
各質問に対して1分で回答する必要があり、答え方や姿勢、コミュニケーション能力、リーダーシップ、一般教養などが評価されます。

・エッセイ

・面接


海外大学院に進学を考えている社会人へのアドバイス

Q: 社会人が海外の大学院に進学する際、どのようなアドバイスがありますか?

A:働きながらMBAの取得をすることは決して簡単ではありませんが、それだけの価値があることを実感しました。

特に女性の場合、キャリアやライフプランによって大学院を諦めてしまうこともありますが、私のようにオンラインという選択肢もあり、何かを諦める必要なくチャレンジできる環境があります。

本気であれば何とかなりますので、悔いのないようにチャレンジしてください。

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