社会人としてキャリアを積みながら大学院での学びを選択することは、時間や費用、家庭との両立など、多くの課題を伴います。
しかし、それを乗り越えた先には、新たなキャリア観や人脈、専門性の向上など、得られるものも多いです。
今回は、グロービス経営大学院に進学されたSさんにインタビューを行いました。
MBA取得を決意した背景や進学後の変化、時間や費用の工面の方法について伺い、社会人大学院進学を考える方に向けたリアルなアドバイスをお届けします。
大学院先と経歴
〇大学院
グロービス経営大学院(2015年単科生、2016-2018年本科生)
〇経歴
地方国立大学卒業(2009年)
総合商社でアフリカ自動車事業開発やフランスへの駐在を経験
その後、ベンチャー企業で経営企画、事業開発・営業を担当
社会人大学院とキャリアの悩み
Q:なぜ大学院への進学を決断したのですか?
フランス駐在時にビジネススキルを体系的に習得する必要性を痛感したためです。
総合商社のフランス子会社にて新規事業の立ち上げに参画する中、各領域のスペシャリストが次々とポジションを確立していく姿を目の当たりにしました。
その際、「所属する部署や担当する仕事に依存せず、自分がビジネスパーソンとして何ができるか」を意識するようになり、 ビジネスを体系的に学び知識・スキルを身につける重要性を改めて感じました。帰国後、MBAを調べ始めました。
Q: 現職との調整はどのように行いましたか?
特に大きな調整は必要ありませんでした。
グロービスは、当時はすべてオフラインで通学する必要がありましたが、授業は平日夜や週末だったため、仕事と両立可能でした。
Q: 進学後、キャリア観に変化はありましたか?
ローカルビジネスや社会課題解決に取り組む人に出会い、これまではグローバルビジネス志向でしたが、国内の社会課題解決の選択肢にも関心を持つようになりました。
また、「所属する部署や担当する仕事に依存せず、自分がビジネスパーソンとして何ができるか」という点は卒業後も模索を続け、キャリアコーチングを受けたりもしました。
総合商社からベンチャーへの転職なども経る中で、自分の得意を活かせることがコーチングと感じるようになり、コーチ育成プログラムに参加してコーチングを学びました。
今後はベンチャーの仕事と並行してコーチングも取り組もうと考えています。
社会人大学院とお金の悩み
Q: 大学院進学の費用はどれくらいかかりましたか?
学費は通常は本科生2年間の入学金・授業料合計330万円程度で、単科生時代に受講・単位取得しているとその単位分の金額が本科生の際に減額となります。単科生時代は通常1単位12万円で8単位程度取得(合計100万円程度)していました。そのため私の場合は本科生は通常だと230万円程度と見込まれます。
Q: 費用はどのように工面しましたか?
会社補助や教育訓練給付金を活用しました。事前に利用可能な制度を調べ、最大限活用しました。会社補助やグロービスから案内があった教育訓練給付金を利用したことで、実際の自己負担額は単科生・本科生時代それぞれ約50万円だったと思います。
また、正社員で働きながら通学していたため、費用は給与や貯金で賄いました。
Q: 卒業後に年収は上がりましたか?
卒業後に時短勤務や育休に入ったため、直接的には上がりませんでした。
しかし、転職の際には学位や学びが役立ちました。
社会人大学院とプライベートの悩み
Q: ライフプランに影響はありましたか?
本科生の2年間の途中で結婚と妻の出産がありましたが、家族と協力しながら計画的に進めました。
Q:通ってる間のリフレッシュなどの時間はどう取っていましたか?
子どもが生まれる前は、仕事と授業中心でなかなかリフレッシュの時間はありませんでした。
子どもが生まれてからは、子どもの世話も楽しみとなりかなり救われました。
Q: 大学院での同級生との交流はありましたか?
同級生とのディスカッションや交流が大きな刺激になり、ネットワークの広がりを実感しました。
入学年度ごとに20人程度のチームで予習復習を一緒に取り組んだり、人によってビジコンエントリー、飲み会、本業へのスタディツアー、卒業旅行などの交流がありました。
社会人大学院と時間の悩み
Q: 入学前の準備を教えてください。
仕事を続けながら3年間(単科生1年+本科生2年)での修了を目指し、余裕を持って準備を進めることを意識しました。
私の周囲には働きながらMBAを取得した人がいなかったですが、働きながら通いやすいMBAとしてグロービスを知り、単科生と本科生の3年間の仕組みがあることなどからグロービスに通うことを決めました。
単科生として助走期間を設ける形でスタートしました。
Q: 仕事との両立でどのような苦労がありましたか?
アフリカとの時差の影響もあり、深夜に業務を続けることもありました。
平日は仕事を終えた後に急いで授業に通い、授業後に会社に戻ってアフリカのプロジェクトの対応ということもありました。
また、土日や移動中の時間を使ってレポートや予習復習を行うなど、空き時間を徹底的に活用しました。
大学院進学を考えている人へのアドバイス
「最も強い者が生き残るのではない、最も賢い者が残るのでもない、唯一生き残るのは変化できる者である(チャールズ・ダーウィン)」
変化するための知識・スキルの習得手段の一つが、大学院進学だと信じています。相当の費用、時間、労力をかけるので、そこで得られるものは大きいです。
インタビュー記事一覧
・社会人大学院インタビュー①~IMさん_サセックス大学~
・社会人大学院インタビュー②~小宮陽菜さん_リーズ大学~
・社会人大学院インタビュー③~松丸里歩さん_ロンドン大学ゴールドスミス校~
・社会人大学院インタビュー④~坂本さゆりさん_IE Business School~
・社会人大学院インタビュー⑤~河村泰志さん_サセックス大学~
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この記事の監修者
吉田宏輝
COCOCOLOREARTH代表、社会活動家。
COCOCOLOREARTHでは、社会課題解決を軸にした就職・転職活動を支援するインタビューメディアの代表として、100人以上の社会活動家にインタビュー、記事執筆やイベント登壇などを行う。