医療・介護・予防・デジタルヘルス——ヘルスケアは「人の命と健康」に直接関わる、社会課題の中でも特に重要な分野です。
「医師や看護師じゃなくても、ヘルスケアに関わる仕事ができるの?」と疑問に思うあなたへ。
少子高齢化・医療費増大・地域医療の崩壊・精神疾患の増加・デジタル化の遅れなど、日本のヘルスケア分野には多くの課題があり、それを解決しようとする仕事の形も多様化しています。ヘルスケアに取り組む企業も参考にしてください。
この記事では、ヘルスケアキャリアの全体像・主な活躍領域・求められるスキル・キャリアパスを解説します。
目次
ヘルスケアを仕事にするとはどういうことか
ヘルスケアキャリアは、医師・看護師などの医療専門職だけではありません。
医療機器・製薬・HealthTech(デジタルヘルス)・公衆衛生・予防医療・メンタルヘルス・介護テック——「健康」という課題に関わるビジネス・政策・技術・現場支援まで、多様な関わり方があります。
大切なのは「自分がどのスキルで・どの健康課題に関わりたいか」を明確にすることです。
ヘルスケア業界が急拡大している背景
日本の医療費は年間40兆円を超え、2040年には75兆円に達するとも予測されています。
高齢化・生活習慣病・精神疾患・デジタルヘルスの普及——多様な課題を背景に、ヘルスケア分野へのスタートアップ投資・人材需要は急増しています。
「医療・健康の課題に関わるビジネスをしたい」という方に、かつてないほど多くの選択肢がある時代です。
ヘルスケアキャリアの主な活躍領域
ヘルスケアキャリアとして活躍できる主な領域について解説します。
医療・看護・リハビリ(専門職)
医師・看護師・薬剤師・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・歯科衛生士などの医療専門職です。
国家資格が必要ですが、資格さえあれば全国・海外問わず活躍できるポータビリティの高いキャリアです。
「患者さんと直接関わり、回復を支えたい」という方には、医療専門職が最も直接的な選択肢です。
公衆衛生・予防医療
病気の予防・健康増進・感染症対策など、個人ではなく「集団・社会全体の健康」を守る分野です。
保健所・厚生労働省・WHO・UNICEF・研究機関・ヘルスプロモーション企業などが活動の場です。
「一人を治すより、社会全体の健康リスクを下げたい」という方に向いています。
HealthTech(デジタルヘルス)
電子カルテ・遠隔診療・ウェアラブルデバイス・AI診断・医療データ分析など、テクノロジーで医療・ヘルスケアを変革するスタートアップ・企業での仕事です。
エンジニア・データサイエンティスト・プロダクトマネージャー・UXデザイナーなど、非医療系の専門職が活躍できるフィールドが広がっています。
「医療知識がなくても、テクノロジーで医療に関わりたい」という方に最適な領域です。
製薬・医療機器
新薬の研究開発・臨床試験・製造・MR(医薬情報担当者)・医療機器の営業・マーケティングなど、ヘルスケア産業の中核を担う企業群です。
理系・文系問わず多様な職種があり、グローバルに活躍できる分野です。
「研究から製品化まで、ヘルスケアのビジネス側で関わりたい」という方に向いています。
メンタルヘルス・心理支援
うつ病・不安障害・PTSD・発達障害など、精神的健康に関わる支援分野です。
公認心理師・精神保健福祉士・産業カウンセラーなどの専門職のほか、EAP(従業員支援プログラム)・オンラインカウンセリングサービスなど、民間ビジネスも拡大しています。
「心の健康を守る仕事がしたい」という方に向いた、需要の高い分野です。
国際保健・グローバルヘルス
途上国の感染症対策・母子保健・栄養改善・保健システム強化など、グローバルな健康課題に取り組む分野です。
JICA・WHO・UNICEF・MSF(国境なき医師団)・国際NGOなどが活動の場です。
「健康という普遍的な課題に、世界規模で関わりたい」という方に向いています。
ヘルスケア課題に取り組む企業・機関の事例
ヘルスケア課題に取り組む代表的な企業・機関の事例を紹介します。
MSF(国境なき医師団)
医療アクセスが困難な紛争地・被災地・感染症流行地において緊急医療支援を行う国際NGOです。
医師・看護師だけでなく、物流・財務・広報・人事など非医療系の職種でも関わることができます。
「世界の医療格差と最前線で向き合いたい」という方の代表的な就職先です。
WHO(世界保健機関)
感染症対策・精神保健・母子保健・医薬品アクセスなど、世界の公衆衛生課題を牽引する国連の専門機関です。
医療・公衆衛生・政策・データ分析など多様な専門職を必要としており、JPO制度やインターンシッププログラムを通じた参加機会もあります。
UNICEF(国連児童基金)
子どもの生存・保護・発達のために世界190か国以上で活動する国連機関です。
母子保健・栄養・感染症対策・精神的健康など、ヘルスケアとこどもの権利が交差する分野で専門人材を必要としています。
ヘルスケアキャリアに求められるスキル
ヘルスケアキャリアで必要とされるスキルについて解説します。
専門的な医療・生命科学知識
医療・看護・薬学・公衆衛生など、ヘルスケアの専門分野に応じた知識が基盤です。
資格取得が必要な職種は多いですが、知識と経験を積むほど選択肢が広がります。
「専門知識を持った人材」が、ヘルスケア分野では特に求められます。
データ分析・エビデンス活用力
医療政策・臨床研究・HealthTechでは、統計・疫学・データ分析の知識が重要です。
「エビデンスに基づく意思決定」がヘルスケア分野の基本姿勢で、「数値で語れる人材」が重宝されます。
コミュニケーション・傾聴力
患者・利用者・家族との関わりが伴う現場では、専門知識だけでなく、相手の言葉に耳を傾ける傾聴力と安心感を生み出すコミュニケーション力が求められます。
「信頼される人」であることが、ヘルスケアの現場では最も大切な要素の一つです。
テクノロジーリテラシー
HealthTech・電子カルテ・遠隔医療が普及する中、テクノロジーを使いこなす素養がどの職種でも重要になっています。
「デジタルを怖がらずに活用できる医療・福祉人材」は、業界全体で不足しています。
ヘルスケアキャリアのロードマップ
ヘルスケアキャリアのロードマップについて、医療専門職・非医療系・研究職それぞれの入り口を解説します。
医療専門職として入るルート
医学部・看護学部・薬学部・リハビリ系学部から資格取得し、医療機関・福祉施設・企業に就職するルートです。
資格取得に時間・費用がかかる一方、安定した需要と専門性の高さが強みです。
「資格があれば、全国どこでも働ける」というポータビリティが医療専門職の魅力です。
非医療系から関わるルート
エンジニア・マーケター・経営・データサイエンティストとして、HealthTechスタートアップ・製薬企業・医療機器メーカーに就職・転職するルートです。
医療知識がなくてもビジネス・テクノロジーの専門性でヘルスケア課題に関われます。
「今の自分のスキルが、医療・健康分野で新たな価値を生み出せる」という視点を持ってみてください。
公衆衛生・研究職として入るルート
大学院(公衆衛生学・疫学・医療政策など)に進学し、研究・政策・国際保健の分野でキャリアを築くルートです。
MPH(公衆衛生学修士)は国内外で活躍するための有力な資格です。
「社会全体の健康に政策・研究から関わりたい」という方に向いています。
まとめ
ヘルスケアキャリアは、医師・看護師だけでなく、ビジネス・テクノロジー・政策・国際支援まで多様な入り口があります。
「人の健康に関わる仕事をしたい」という気持ちがあるなら、まず自分のスキルや関心と照らし合わせて、どの領域で関われるかを探してみてください。
「人の命と健康を守る仕事に関わる」——それは、確かな社会的意義を持つキャリアです。
→ 関連記事:社会課題ごとのキャリアロードマップまとめ

この記事の監修者
吉田宏輝
COCOCOLOREARTH代表、社会活動家。
COCOCOLOREARTHでは、社会課題解決を軸にした就職・転職活動を支援するインタビューメディアの代表として、100人以上の社会活動家にインタビュー、記事執筆やイベント登壇などを行う。
