活動に対する思い

ーーーNPO法人の運営において、必要なスキルは何だと思われますか?

運営自体を目的とせず、手段として法人の枠組みや組織を活用する意識を持つことです。

法人化することで、同じ思いを持つ仲間が集まる場を作り出し、自分の目指す社会を叶えられます。

また、特にボランティアが中心となる活動では、組織の大小に関わらず、構成員のビジョンや活動に参画する背景を共有することが継続のために大切だと思います。

ーーー染矢さんは、どのような思いを持って働かれていますか?

自分自身が楽しみながら、社会に必要とされていることを広げたいと思っています。

若者の性に関する問題に取り組む中で、若い人たちが自分で自分を守り、自分らしくいれるように変えるために、まずは大人達や社会が変わる必要があると痛感します。

性教育の充実や、性教育を受けられる権利、心配な時には安心して相談できる権利の保障は社会全体で取り組まなければならない問題です。

今は、社会に必要とされる新しい価値を生み出すことが、自分のやりがいやワクワク感に繋がっていると思います。

ーーーどのような社会の実現を目指していますか?

「誰もが自分らしく生き、性の健康と権利を実現できる社会」を目指しています。

現代では、多様な性のかたちが受け入れられるようになりました。

それを前提に、自分と他者、両方の心と体を大切にできる社会にしたいです。

そのためにも、私たちピルコンが、十分な支援や情報提供によって、個々人が生き方を選択できるようにサポートしていきたいと思っています。


これからの活動

ーーー今後の展望を教えてください。

海外における性教育事例を参考に、日本で包括的性教育が受けられる社会を実現することです。

包括的性教育とは、「性を性交や出産だけでなく、相手の立場も考えること」と捉える考え方、つまり、自分らしく生きることの大切さを率直に伝えてくれる教育です。

性教育については「寝た子を起こす」など、根拠のないネガティブな考えもあります。

私は、その見方を国内外のエビデンスに基づきながら、日本社会にも受け入れられるメッセージや表現によって変えていきたいと思っています。

また、政策提言も、社会の仕組みを変えられる点で有効だと思います。

2020年には、緊急避妊薬を処方箋なしで薬局で入手できるなど、アクセスを容易にすべきという提言や要望書を出し、政府での検討が始まるなど、政治へ影響を与えられました。

今後、包括的教育の義務化や推進も政策提言としてより力を入れていきたいと考えています。

ーーー最後に、読者のみなさんにメッセージをお願い致します。

NPO法人の設立と民間企業の勤務をどうするか悩んだ時に、NPO法人に関わる方に質問したところ、「自信がないのならやめれば?」ときっぱり言われました。

「やめていいのか?」と自問自答したところ、「やっぱりやりたい」と感じ、仕事を続けながら、まずは1年やってみようとスモールステップで活動を続けることを決断しました。

関連する他のNPO法人や団体に、ボランティアやスタッフとして関わったのもよい経験となりました。

今のピルコンでは、ボランティアやプロボノの方に活動の多くを支えて頂いています。

NPO法人設立や運営に限らず、色んな社会課題への関わり方があります。

どんなことでも、最終的には、自分が「やりたい」と感じるかどうかで決めていくといいと思います。