今回は様々なボランティア活動をされている徳光みくさんにお話を伺いました。
ボランティア活動を通して得られるものとは?
徳光みく(とくみつみく)
1990年神奈川県生まれ。
東京工業大学卒業。同大学院修士課程修了。
新卒で資生ケミカル株式会社研究開発グループに入社し、その後NPO法人ハナラボを経て、現在は株式会社ラッシュジャパンにて入浴剤などの製造を担当。
同時にボランティアとして様々な活動をしている。
ボランティアを始めたきっかけ
ーーーボランティア活動を始めたきっかけはなんでしたか?
大学院生時代に、日本科学未来館へ遊びに行ったことがきっかけです。
そこで、ボランティアによる展示解説ツアーというものに参加しました。
ボランティアであるにも関わらず、展示内容をとても詳しく丁寧に説明してくださり、ボランティアの裁量の大きさに驚いたのです。
大学院で化学の研究をしていた私もお客さんの役に立てそうだと感じ、応募しました。
また、当時大学院での研究に苦労し孤独を感じていたので、社会との繋がりが欲しかったというのも応募した理由の1つです。
そこから、単発のボランティアも含め多くのボランティアを経験しました。
なぜボランティアをするのか?
ーーー徳光さんにとってボランティアすることの意義について教えてください。
今となっては、ボランティアのない生活が想像できないです。
仕事と家事以外で趣味に取り組んだり、レジャーに行ったり、美味しい物を食べたりなどの消費行動だけの生活は、嫌なんですね。
会社以外でも他人に価値を与えて、人から感謝されながら過ごせたらすごく価値のある人生になるな、と感じています。
また、ボランティアは私にとって幸せの必要条件だと考えています。
『嫌われる勇気』で有名なアドラーも、幸せに必要な3要素の1つとして「社会へ貢献していること」をあげていました。
もちろん、本職でも社会には貢献しているのですが、ボランティアの方が社会へ貢献できていることをダイレクトに感じられますね。
ーーーボランティア活動することで得たことや学んだことはありますか?
社会問題への知識と心の成長です。
現代では、調べれば必要な情報を得られますが、きっかけがなければ特定の問題について調べる機会はないと思います。
チャリティーサンタは単に楽しそうだと感じ始めたのですが、その活動を通して貧困家庭の問題だけではなく、福島の被災地の問題について知りました。
今、新型コロナウイルス感染症の感染拡大によって、遠足や修学旅行などが中止になり、思い出不足の子どもたちが多くいます。
しかし、福島第一原発事故の影響で避難区域の近くの子どもたちは10年前から似たような状況です。
土壌の放射線量の問題で、自由に外遊びをする時間が限られています。
チャリティーサンタではサマーキャンプを開き、福島の子ども達に思い出を提供しています
私がチャリティーサンタを始めた時は、既に震災から7,8年立っていたので、当時なぜ福島の支援をするのか疑問に思いました。
しかし、活動を通して福島の子どもたちの現状を知ることができましたね。
また、ボランティア団体の運営を通して、心を成長させることができました。
これまで活動をする中で、ボランティアへのモチベーションを高く保てず、任された仕事をこなせない人がいました。
なぜなら、ボランティアは義務ではないからです。
私は自分が引き受けた仕事は必ずやるタイプなので、最初の頃はそれができない人が許せませんでした。
しかし、ある時からモチベーションを保てない原因が自分にもあるのではないか、と考えるようになったんです。
そこから、私がボランティアの人たちに寄り添い、動機付けをしてあげなければいけないと気付けました。
能動的に行うボランティアだからこそ、このように心を成長させることができたと感じます。
ーーーボランティア活動に興味がある人に向けてメッセージをお願いします。
気軽にできることから挑戦してほしいです。
初めから自分にぴったりの活動を見つける必要はありません。
最初から完璧な出会いはないと思うんです。
チャリティーサンタも、私にとっては何個目かのボランティアですね。
色々経験していくうちに自分の好きなこと、得意なことがわかります。
また、以前読んだ本で出会った言葉を皆さんに紹介したいです。
ボランティアというのは一言で言うなら、人と関わること、あるいは自分と異なった地域と出会うことによって、それまで気が付かなかった自分を見出したり、向こうの厳しい自然にさらされたりすることによって自分の殻がきれいさっぱりと刈り取られていくことなのでしょうね。
この言葉を知った当時はあまりピンと来なかったのですが、今となってはその通りだと感じています。
ボランティアは、自分自身を見つめて新たな自分を見つける良いきっかけになるんです。
行動してみてわかることは沢山あります。
是非みなさんも、身近なものから挑戦してほしいですね。
ーーー編集後記
自分が楽しい、と感じながら取り組むボランティアは何倍も良い影響を与えるかもしれないと、このインタビューを通して感じました。
これまで使命感から社会貢献活動に興味を持っていましたが、まずはその活動を通して自分が満たされるか、『楽しい』と思えるかを大切にしたいです。
この記事の監修者
吉田宏輝
COCOCOLOREARTH代表、社会活動家。
COCOCOLOREARTHでは、社会課題解決を軸にした就職・転職活動を支援するインタビューメディアの代表として、100人以上の社会活動家にインタビュー、記事執筆やイベント登壇などを行う。