僕がゲイだとカミングアウトした理由#2~株式会社はぐくむ・平山裕三さん~

民間企業
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今回インタビューをしたのは、株式会社はぐくむで教育事業を統括する平山裕三さん。
「一人ひとりがともに生きるよろこびを感じ合える社会を築く」というビジョンを掲げて活動を続ける。

そんな彼は昔、あることを人に言えず、そのことに悩みつつ暮らしていた。
それはゲイであること。

学生時代にはそれを秘密として抱え込み、大きなストレスを抱えた。
ただ、ある出会いを通して自分自身に向き合い、カミングアウトという決断をする。

第2弾では、平山さんがカミングアウトに踏み切った理由や、はぐくむで働くまでの経緯についてお聞きしていく。

 

平山 裕三(ひらやま ゆうぞう)

1985年、宮城県生まれ。首都大学東京経営学部卒業後、ソフトバンク株式会社就職。法人営業部トップの成績を収めるも、2011年に退職。現在は株式会社はぐくむに入社し、大学生向けのコーチングや企業向けの採用コンサルティングに従事。個人としても、NPO法人バブリングでの活動や、社会人向けのプライベートコーチングなどもおこなっている。

 

はぐくむとの出会い

3兄弟の末っ子として生まれた平山さんは中高生時代を宮城県で過ごし、大学は首都大学東京(現:東京都立大学)の経営学部に進学した。

そんな彼は、自分がゲイであるということを自覚しつつもそれをひた隠しにして生活をする。

みんなの前では明るくふるまい、一人の時は暗く考え込む。そんな学生生活を送っていたのだ。

そんなある日、大学の友だちから学生団体主催のセミナーへと誘われる。
そこに、外部講師として参加されていたのがはぐくむの代表。
この出会いが平山さんの人生を大きく揺り動かしていくものだった。

セミナーが終わった後に、友人と株式会社はぐくむの代表に話かけたことで縁が生まれ、そこから、当時創業1年目のはぐくむでのインターンの話を持ちかけられる。大学2年の終わりのことだった。

はぐくむで始まるインターン

インターンを始めた平山さん。そこから自分と向き合う人生が始まった。

というのもはぐくむは「一人ひとりがともに生きるよろこびを感じ合える社会」をめざして、「自分と向き合う」ことを大切にしている。

これは当時からもそうで、だからこそ社内のミーティングなども個人の考えはもちろん、感情も重視したものだった。

「はぐくむは少し特殊で、ミーティングの議題に関して気持ちが動いたり逆にモヤモヤしたり、メンバー間で関係性が上手くいっていない。といった時に、とことん話し合うんです。
普通の会社だと個人の感情などは脇において目指しているゴールを達成することを重視します。でも人間の場合、必ず感情があってその部分をクリアにしないとと良い結果は出ないという考えなので、ミーティングの中でも自分の弱いところや人間関係の悩みを吐露する場面が多々設けられたんです。ミーティングの時間が、自然と自分と向き合う機会になってたんだと思います。」

そのうち、平山さんは今も続くサービスであるLIFE DESIGN SCHOOLにインターンしながら、参加者として関わることになる。

プログラムを通じて、自分がどう生きたいのか、今までどんな人生を歩んできたのか、などを自分自身へ問うようになった。

もちろん、はじめは答えられるはずもなく、ただ自分自身にひたすら問うていった。

問いを投げかけ続けるうちに、平山さんは段々と自分の気持ちに気づき始める。
それはカミングアウトをしたいという想いだった。

「それまで自分の中にカミングアウトしたい気持ちはないと思っていたんです。カミングアウトはただのリスクだし、親や友人を苦しめることになるなら言わなくていいや。言わない方が自分が生きる上でいいんだ。と思っていました。
でもこれはただ諦めていただけで、それを正当化するために色々な理由をこじつけていたに過ぎなかったんです。
しかし、プログラムで自分と向き合っている内に、段々と心の奥底に眠っているニーズに気がつきました。自分、本当はカミングアウトしたいんじゃん。って」

ここから心の声に気づいてしまった平山さんの中で葛藤が始まる。
勇気も必要なことであるから、はじめは何年後かを見据えてカミングアウトを考えた。

ただ一度気づいてしまった思いに嘘はつけず、日々の生活での違和感は積み重なり、思い通りに生きたいという願いは日増しに強まっていく。

その気持ちが抑えきれなくなったある日、LIFE DESIGN SCHOOLの仲間たちに自分の秘密を吐露した。その時彼らはゲイの平山裕三をただ受け止めてくれた。

「彼らが受け止めてくれたのが自分としては大きな支えで、受け入れられなくても自分に居場所があるっていうのが、親にカミングアウトをするときにとても心強かったです。」

こうしたカミングアウトも経て平山さんの大学生活は終わり、平山さんは新卒でソフトバンクに入社した。

ソフトバンクでの日々

お世話になったはぐくむにはいずれ戻ろうと思いつつも、携帯電話などのデバイスは元々好きなことや、大学時代に携帯電話のアルバイトをしていたこと、創業者である孫さんを尊敬していたことなども相まってソフトバンクへの入社を決めた。

ベンチャー気質のある会社で営業力を磨きたい!そうも思っていた平山さんは法人営業の部署に配属され、東京エリアで1位の実績を出した。

大企業で成功するルートもある程度見えていた平山さんが、はぐくむへと戻るきっかけとなったのは周りの環境だった。

「孫さんの後継者を育成する目的で設立されたソフトバンクアカデミアに1期生として入塾させていただけたんです。そこでは孫さんから直接お話を聞く機会もあり、とても良い環境でした。
ただ見渡すと、周りの塾生はソフトバンクの理念や実現したい世界を情熱持って体現したい人ばかりがいます。そんな時に自分の胸に手を当てて、”自分は何のために生きたいか?”と問うた時、はぐくむでやっていきたいことに自分の使命があると改めて感じたんです。」

そうしてはぐくむへと戻った平山さん。そこはいばらの道だった。

「会社の知名度も高くなくて、僕も社会人2,3年目。どんなに働いたとしてもそれに比例して成果がついて来ることがなくて。」

成果が伴わないと、このまま続けて良いのかという不安や自分の人生に対する不安もよぎる。

ただ平山さんはそのような不安につぶされずに愚直に努力を重ね、大切なことをはぐくんできた。

「代表と二人で働いていた頃は、売上もなかなか伸びずに辛かったです。ただ諦めずに続けている内に段々と事業は伸びていきました。最近は、生きる意味を考えたい人、深めて働きたい人が多くなってきていることもあり、成長スピードが早まっているようにも思えます。」

はぐくむと向き合い続けてきた平山さんは、笑ってそう語る。

次回予告

平山さんの過去について伺ってきた。
いま、生きるよろこびを感じられる生き方の支援をする平山さんには、彼なりの悩みがあって苦しみがあった。
だからこそ今の姿があり、多くの人は彼に救われているのだろう。

次回は、そんな彼の行動基盤となっているビジョンを深掘りしていく。
「一人ひとりがともに生きるよろこびを感じ合える社会を築く」
「生きるよろこび」とはなにか。平山さんに伺っていこう。

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