ゲイというタグに重みをつけない#3~株式会社はぐくむ・平山裕三さん~

民間企業
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今回インタビューをしたのは、株式会社はぐくむで教育事業を統括する平山裕三さん。

現在、就職活動に望む学生や生き方に悩む人の支援に取り組む彼は、むかし人には言えない秘密を抱えていた。

それは同性愛者ということ。

学生時代にはそのことを秘密として抱え込み、大きなストレスを抱えた。
ただ、ある出会いを通して自分自身に向き合い、カミングアウトという決断をする。

そして今は「一人ひとりがともに生きるよろこびを感じ合える社会を築く」というビジョンを掲げ、活動をする。

なぜこのようなビジョンを平山さんは持つのだろうか。平山さんの想い、そして描く未来に迫っていく。

ビジョンについて

—ビジョンの対象者はLGBTに限定しているのでしょうか。

「LGBTに限定はしていません。
なぜなら自分自身がLGBTというタグに重みをつけてないからです。

カミングアウトした当初は自分のバックグラウンドを活かして、性的マイノリティの方を支援したいと思っていました。ですが活動をしていく内に、限定することに疑問が浮かびます。

あえて言葉を選ばずに言えば、本当の意味で自分のセクシャリティはどうでもいいやと思えたんです。」

自分自身のセクシャリティはどうでもいい?どういうことだろう?
平山さんはこう続ける。

「カミングアウトをした当初は、自分がLGBTであることを受け止めてほしいし受け止められる社会にしたい。という風に思っていました。ただ、それはタグに自分自身が執着しているだけだったんです。

自分はゲイの平山裕三であるんですが、同時にはぐくむで働く平山裕三でもあるし、末っ子の平山裕三でもあります。

セクシャリティは自分の中の一要素でしかない。ということに気がつき始めたんです。
そう考えると、自分のやりたいことも絞る必要がないなと感じました。

結局大事なのは、生きづらさを抱えている人や、何かを成し遂げたい想いのある人を支えることで、ゲイというタグに自分自身は固執する必要がないなと思えたんです。」

これを聞いてハッとする。ゲイはなにも特別なことではない。僕がストレートであるということと同様に平山さんがゲイなだけなんだ。

僕らは勝手にセクシャルマイノリティというタグをつけ重みをつけていたのかもしれない。

ただ、ここで気になる。「生きるよろこび」ってなんだ? 国民的アニメのマーチで聞くこともあり聞きなじみはあるが、具体的にイメージができないので聞いてみる。

—「生きるよろこび」ってなんですか?

「そこには色々な意味がこめられていて、言葉で表現することは難しいのですが、言うならば
生きる意義を自分なりに理解して表現することだと思っています。

もちろん正解はないですし、なくても困らないものです。ただ、自分が生きている意味や意義を自分なりに捉えていくことが必要だと思います。

勘違いでも全然いい、むしろ最高だと思っています。場合によっては「自分はこういうために生きているんだ」と、自分の中で握れているのが大切だと思っています。

その上で、生きる意義をボランティアや事業などで形にしていくことが大事だと思っています。
そうすることで、やりがいや生きがいといったものを感じることが出来ます。
そうして初めて、生きるよろこびを体感できると思うのです。」

つまり、自分の生きる意味を見つけ、それを形にしていくことが、生きるよろこびなのか。

たしかにそれが出来たら、生きていてとても楽しそう。
でも具体的な動き方がわからない。僕たちが生きるよろこびを感じるためには何が必要だろう。

生きるよろこび

—若者が心から生きるよろこびを感じられるようにしていくために必要なことをお聞きしたいです。

生きるよろこびを感じることを妨げている自分の中の考えや価値観と向き合うことと、自分の喜怒哀楽や感じていることを分かち合う時間や人の存在だと思います。

なるほど。自分の弱い部分と向き合い、素でいられる場所をつくっていけばいいのか。

ただ、自分の弱い部分と向き合うことは辛いんです。
目を向けるべきとはわかっていても、見たくないんです。

—自分の弱い部分に向き合うことは辛いです。自分の弱みに向き合っていくために意識すべきことはありますか?

「弱い部分があって自然ということですかね。

人ってついつい自分のダメなところや足りないところを、ダメだと思いすぎてしまいます。ひどいと、そういう弱い部分があると自分は評価されない・愛されないと思ってしまうことがあります。
そうなると自分の弱い部分と向き合っていくのもとっても苦しいです。

人は凸凹なので、弱い部分があって自然なはず。
そういう前提で自分が思っている弱い部分とも向き合っていくといいのかなぁと思います。」

なるほど、弱い部分があって自然。それを何も特別視する必要はないんだ。
心が救われたような心地になる。

読者へのメッセージ

そんな折りにもインタビューの終わりは近づく。
最後にメッセージをいただいた。

—行動することが怖いと感じる若者に一言いただきたいです。

「昔の私に伝えるとするならば、
あなたは決して1人じゃなくありのままを受け入れてくれる人がいること。

たとえ今は1人だと感じてしまっていても、あなたには自分の居場所を見つけられるだけの行動をする勇気を持っていることを伝えたいです。」

こうして1時間にわたるインタビューが終わった。
多くのことを学び、背中を優しく押してもらえる素敵な時間だった。

さあ、自分の中に眠る少しの勇気をふり絞って、生きるよろこびをつかみにいこう。
そう心に決めた。

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