2025年5月のCOCOCOLOREARTHには、

・愛媛県で初となる「脱炭素先行地域」に選定された今治市の挑戦
・フードロス削減と地方創生をテーマに、北海道三笠市で開催される「クラダシチャレンジ」
・コーヒーかす100%を燃料に使う、資源循環型コーヒー焙煎所「ATARAO」の事業開始

など、「地域資源を生かした脱炭素」「社会貢献型インターン」「資源循環の実装」に関するニュースが集まりました。

本記事では、2025年5月にCOCOCOLOREARTHで紹介したプレスリリースをダイジェストでご紹介します。

 

◆今治市が愛媛県初の「脱炭素先行地域」に選定

しまなみ海道と今治タオルで「今治型脱炭素モデル」構築へ

※本記事は、今治市様からの情報提供で作成しております。

今治市は、環境省が選定する「第6回 脱炭素先行地域」において、愛媛県で初めてとなる「脱炭素先行地域」に選ばれました。
「脱炭素先行地域」は、2050年カーボンニュートラル実現に向け、地域の特性を生かしつつ民生部門のCO2排出実質ゼロを目指す“モデル地域”として、先進性や地域経済循環への貢献などが求められる、ハードルの高い制度です。

今治市の提案の核となっているのは、国際的に知られるサイクリングルート「瀬戸内しまなみ海道」と、日本最高級ブランドとして世界に知られる「今治タオル」の2つの地域資源です。しまなみ海道のブルーライン沿線への再エネ導入による通行料実質無料化へのアプローチや、今治タオル産業の排水を活用したバイオガス発電などを通じて、環境と経済の両立を図る「今治型脱炭素モデル」の構築を目指しています。

また、今治市は2023年11月の「ゼロカーボンシティ宣言」以来、企業や金融機関と連携した脱炭素経営支援プログラムなどを展開しており、今回の選定を契機に「ゼロカーボンライン」「ゼロカーボンクラスター」の創出を通じて、地域ぐるみの持続可能なまちづくりをさらに加速させていく方針です。

◆北海道三笠市での社会貢献型インターン

クラダシの「クラダシチャレンジ」参加学生募集開始

※本記事は、株式会社クラダシ様からの情報提供で作成しております。

フードロス削減のソーシャルグッドマーケット「Kuradashi」を運営する株式会社クラダシは、2025年7月に北海道三笠市で開催する社会貢献型インターンシップ「クラダシチャレンジ(クラチャレ)」の参加学生募集を開始しました。

クラチャレは、フードロス問題や地方創生に関心のある学生が日本各地の地域・農家を訪れ、作物の収穫支援や現地の方々との交流を通して、一次産業や地域経済の活性化について学ぶインターンシッププログラムです。
今回の北海道三笠市でのプログラムでは、メロンの収穫・出荷・販売実習、現地の方との意見交換、市内観光などが予定されています。開催日程は2025年7月24日(木)〜7月29日(火)、募集人数は4名、対象は大学生・大学院生です。

参加学生の旅費・滞在費・食費などは、クラダシが創設した「クラダシ基金」から拠出され、2025年4月時点で計52回の開催実績があります。
楽しみながら学べるフィールドワークを通じて、地域の関係人口の創出や魅力発信を行うとともに、学生にとっても「社会課題×キャリア」を考える実践的な機会となる取り組みです。

◆コーヒーかすでコーヒー豆を焙煎する

資源循環型コーヒー焙煎所「ATARAO」焙煎事業開始

※本記事は、資源循環型コーヒー焙煎所 ATARAO様からの情報提供で作成しております。

Ergana Design代表の青木氏と、COVE COFFEE ROASTERS代表の山本氏は、コーヒーかすを100%再利用して新たなコーヒー豆を焙煎する「資源循環型コーヒー焙煎所 ATARAO」を設立し、焙煎事業を開始しました。

世界では年間約900万トン、日本国内でも約40万トンのコーヒー豆が消費されますが、その抽出後に出るコーヒーかすの大半は廃棄されているのが現状です。保管の難しさや回収コストなどを背景に、リサイクルが進まないことが課題となってきました。

ATARAOはこの状況に対し、

・接着剤を使わずコーヒーかすを固形化する「コーヒーブロック」による保管・輸送効率の向上
・固形化したコーヒーかすを燃料とする高効率焙煎機の開発
・コーヒーかすの排出から再利用までを一気通貫で行うクローズドループシステム
・燃焼後の灰を、土壌改良材や陶芸用釉薬などに再利用する仕組み

といった6段階のシステムを構築し、「廃棄物ゼロ」の資源循環モデルを実現しようとしています。

小規模焙煎所(年間1トン焙煎)を想定した試算では、都市ガス焙煎からの切り替えにより、年間約1トンのCO2排出を削減し、杉の木92本分のCO2吸収量に相当する環境効果が見込まれています。さらに、1トンの豆焙煎に対して500kg以上のコーヒーかすを再利用できるとされており、コーヒー産業全体のカーボンニュートラルに向けた有力なソリューションとして期待されています。

今後は、スペシャルティコーヒー豆の販売、出張焙煎・出張コーヒーサービス、コーヒーブロックの販売などを通じて、パートナー企業や店舗との協働を拡大し、コーヒーかすの回収・再資源化ネットワークの構築を目指すとしています。

◆編集部から:2025年5月を振り返って

2025年5月のニュースを振り返ると、

・しまなみ海道や今治タオルといった「地域固有の強み」に、脱炭素という視点を重ねる今治市の挑戦
・フードロス削減ビジネスを展開する企業が、学生向けインターンを通じて「地方の現場」と若者をつなぐクラダシチャレンジ
・コーヒーかすという“見えにくい廃棄物”を起点に、燃料・焙煎・灰の再利用までを一体で設計したATARAOの循環モデル

など、「すでにある資源や事業を、どのように“次のステージ”に進めるか」という問いに向き合う取り組みが多く見られました。

読者の皆さん自身も、

・旅先や地元で、どんな脱炭素・地域循環の取り組みがあるかを調べてみる
・フードロス削減型のECや、社会貢献型のインターン・プログラムに触れてみる
・日々飲んでいるコーヒーの裏側で、どんな資源循環の可能性があるのかイメージしてみる

といった小さなアクションから、今月のニュースとつながっていけるはずです。

※本記事で紹介したニュースは、各プレスリリースおよび公式情報をもとに、COCOCOLOREARTH編集部が再構成しています。

参考記事
今治市が愛媛県初の「脱炭素先行地域」に選定!唯一無二の地域資源を生かした今治型脱炭素モデル構築へ
クラダシ、2025年7月に北海道三笠市で開催する社会貢献型インターンシップ「クラダシチャレンジ」の参加学生の募集を開始
コーヒーかすでコーヒー豆を焙煎⁉<資源循環型コーヒー焙煎所ATARAO> 焙煎事業開始