今回は、「兼業」で「不条理の無い世界の実現」に取り組むNPO法人コンフロントワールド代表理事の荒井昭則(あらいあきのり)さんとCOCOCOLOR EARTH代表 吉田宏輝(よしだ こうき)の対談です!

NPO法人という法人格のとらえ方や団体の代表として活動をしている荒井さんと吉田のマネジメント観に迫ります!

プロフィール

荒井 昭則
NPO法人コンフロントワールド 代表理事 1994年生まれ。
東京都調布市出身。東京工業大学卒業。
学生時代は、カンボジア支援の学生団体に所属しカンボジアで衛生教育などの活動を行う。
大学3年終了時に1年間休学し、『ボランティアをしながら世界一周』を実施。
大学卒業後は、大手人材系企業に在籍しながら、『NPO法人コンフロントワールド』を設立。
ワールド・ビジョン・ジャパン主催『未来ドラフト』グランプリ受賞。

プロフィール

吉田宏輝
東京理科大学経営学部4年
「社会貢献を仕事に」というコンセプトで活動する当団体COCOCOLOR EARTHの代表。
70人以上の社会活動家のキャリアを伝えるインタビューメディアを運営。
社会課題を解決しながら利益も上げ続けるソーシャルエンタプライズ企業である株式会社LIFULLに内定。

法人格のとらえ方

ーーー本日はよろしくお願いします!
コンフロントワールドはNPO法人で、ココカラアースは今後NPO法人化を目指しているということで、まずコンフロントワールドは、どうしてNPO法人という形態を選ばれたのですか?

荒井:NPOにした理由が明確にあるわけではないですね。
ただ、似ている事業を行っている団体がNPOに多かったことは大きいです。

吉田:NPO法人を設立してから株式会社にすればよかったなと思ったことはありますか?

荒井:株式会社にしたほうがよかったとは思いませんね。
寄付金をいただいているので、税金という面から株式会社よりもNPOの方が法人格として適していいます。

吉田:確かに税金は全然違いますよね。

荒井:また、NPO法人だと活動が埋もれにくいという利点があります。

同世代で株式会社を起業する人はたくさんいますが、NPO法人を立ち上げる若い人は少ないです。
なので、差別化ができ、注目が集まりやすいと感じます。

ーーー吉田さんも今後NPO法人を考えていますよね。
中間支援でメディア運営をしていたら株式会社も考えられると思いますが、なぜNPOなのですか?

吉田:理由は2つあります。
1つは、貪欲に利益追求をしていくとなると情報メディアとしての情報が偏る恐れがあるからですね。
利益追求を優先し過ぎると、広告をいただいた場合、お客さんに寄せた発信をする必要があるかもしれません。
僕は、フラットな立場から情報を伝えたいと思っています。
また、一緒に活動してるメンバーの半数が社会人なのですが、株式会社だとその人たちが関われなくなっちゃうんですよ。

ーーー荒井さんは何か思うことがありますか?

荒井:株式会社を起業した人が、「なぜNPOにしないのですか?」と聞かれることってあまりないじゃないですか?
やっぱり、ベースとして利益追求の有無があるんですかね。

吉田:スタートアップならNPOのほうが始めやすそうだと思ったりします。

荒井:株式会社だと「株」で、NPOだと「寄付」で資金調達するので、違いはありますよね。
ただ、お金持ちになりたかったらNPOは難しいですね。
むしろ減りますよ。僕は自分の団体にも毎月寄付してるので(笑)。

ーーーコンフロントワールドは今後も寄付型で運営していくお考えですか?

荒井:団体としては、利益を追求する必要がありますね。
ゆっくりなペースですが、中長期的に売上が上がるように事業を作っています。

吉田:ココカラ―スでは、短期的に利益追求するのは難しいけど、短期でお金が必要という葛藤があります。
一緒にやっていくメンバーがかける時間に対してのリターンとしてスキルや経験はもちろんですが、お金も大切かなと思ったりします。
コンフロントワールドでは、報酬があったりしますか?

荒井:もちろん、業務委託で雇っている税理士などにはお支払いします。
ただ、コンフロントワールドでは、メンバーとしての活動にはお金を払わないですね。
払わないというよりは、払えないっていうのが正直なところです。
もう一つの考え方として、メンバーにお金を払うんだったら現地にお金を使った方がいいと思うんですよね。
これは大事にしている方針です。

吉田:報酬が発生しないと、メンバーの責任感が薄れたりしませんか?

荒井:ありますね(笑)。立場によりますが、たまにミーティングや仕事をさぼったり。
ただ、お金を払っていると、それなりのパフォーマンスがないと辞めてもらう判断をすることが必要ですが、無報酬なので自分のやり方で活動できます。


代表としてのマネジメント

ーーー二人のマネジメント観はどうですか?

吉田:メンバーのコミットメントを上げるためにやってることがあれば教えて欲しいです。

荒井:コンフロントワールドでは、メンバーが成長しながら事業が拡大する団体と掲げています。
成長の定義は、一人一人違うので、個々の強みや弱みを全員がオープンにして、自分の将来とコンフロントワールドの活動がどう繋がるか全員に考えてもらっています。
そして、代表である僕は一人一人メンバーが成長する関わり方を考えています。
なので採用の際は、必ずコンフロントワールドでの活動が自分の未来にどう繋がるか、自分はどんな存在になるか答えられるかどうかを見極めています。

吉田:ココカラアースでも強み弱みの共有は導入したいです!
僕たちは、一人一人個人の理念とビジョンを掲げてもらい、団体の理念ビジョンとの繋がりを考えてもらう会を2ヶ月に1回くらい開いています。
僕たちも似たような取り組みをしていますが、コンフロントワールドのように徹底できていなかったです。

ーーーどちらの団体も学生と社会人が所属していると思いますが、どのようにマネジメントしていますか?

荒井:学生と社会人で分けることはないですね。
ただ、スキル面で社会人の方が経験が豊富で役割の範囲が多くなることはあります。

吉田:COCOCOLOREARTHでは交流が多くないんですよね。
一度社会人と学生を混ぜたこともあるのですが、学生との交流を機にやめる社会人が出てきて。。。

荒井:そこは難しいですよね。
コンフロントワールドも、もともと学生が多かったです。
しかし、時が経つにつれて学生ノリしていたメンバーが抜けてきましたね。
組織に合う人が残って、合わない人が抜けていきました。
残ってほしい人がビジョンのために別のことを始めて抜けていき、意味もなく団体にぶら下がったままの人が残ることのないように気をつけてますね。

ーーー最後に理想のリーダー・組織像を教えてください。

荒井:代表が誰になってもあんま変わらない組織にしたいですね。僕の働く本業の会社は社長がコロコロ変わるんですよ。
だけど、内部から見ても社長がだれかなんてあんま関係なく事業は続いていくんですよね。
なので、僕はそういう組織にするための代表になれたらいいなと思います。

吉田:僕も荒井さんと似ていて、誰がリーダーをやってもいいような組織にしたいですね。
一人一人の主体性を最大限に発揮できるのであれば、別に自分が代表じゃなくてもいいと思いますね。
立場より組織がよりよくなることを常に考えて、代表格の人が何人もいるような組織をつくるのが目標です。

ーーー本日はお忙しい中ありがとうございました!

今回はお二人から組織運営に対する考えを聞くことができました。

お二人とも試行錯誤しながらも組織をよりよくすることを第一にされています。

対談の際の真剣な眼差しがこれまでの活動を物語っているかのようでした。

NPOと株式会社の比較や利益追求に関しては将来、社会貢献を考える多くの人が気になる点だったかと思います。

キャリアプランを考えるうえで、皆さんもぜひ参考にしてみてください。