近年では、通称「パワハラ防止法」「ハラスメント規制法」が制定されるなど、職場におけるハラスメント撲滅への取り組みが進んでいます。

とはいえ、厚生労働省によると、職場におけるハラスメントの相談件数は年々右肩上がりで伸びており、さらなる防止策の整理が必要です。

また、職場においては各種ハラスメントに加え、従業員による不正行為や情報漏洩などの事故が起こるリスクもあります。

今回は、職場におけるハラスメントの種類や職場内で起こるその他の問題、問題が発生した場合の解決策などについて紹介します。

ハラスメントとは?

そもそもハラスメント(Harassment)とは、繰り返し行われる不当かつ不快な行動や言動のことを指します。

主に、相手を傷つけたり不利益を与えたりする嫌がらせやいじめ行為、就業環境を害する行為が該当します。

ハラスメントは、職場や学校、オンライン空間などさまざまな場面で発生します。

なお、加害者にいじめや嫌がらせの意図はなくても、相手が嫌だと思えばハラスメントは成立します。

自分で気づかないうちに他人に不快な思いをさせてしまっている可能性もあるため、職場ハラスメントの実態をしっかり把握し、早い段階でしっかり対処していく必要があります。


職場内でよくあるハラスメントの種類

職場におけるハラスメントは年々増加傾向にあり、社会的に大きな課題となりつつあります。職場内でよく発生するハラスメントは、大きく3つの種類に分かれます。

・パワーハラスメント
・セクシャルハラスメント
・マタニティハラスメント

職場で発生することが多い3大ハラスメントについて、順に詳しく解説します。

パワーハラスメント

パワーハラスメントとは、職場内での優位性(職務上の地位や人間関係など)を利用し、業務の適正な範囲を超えて精神的、身体的な苦痛を与えたり、職場環境を悪化させたりする行為のことです。

厚生労働省は、よくあるパワーハラスメントを「パワハラの6類型」に分類しています。

パワハラの6類型

典型例

身体的な攻撃

叩く、殴る、蹴るなどの暴行

精神的な攻撃

脅迫・名誉毀損・屈辱

人間関係からの切り離し

隔離・仲間外し・無視

過大な要求

業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制

過小な要求

能力や経験とかけ離れた程度の低いことの命令

個の侵害

私的なことに過度に立ち入る

参照:厚生労働省

厚生労働省が実施した「職場のハラスメントに関する実態調査」によると、パワハラは「精神的な攻撃」が74.5%と突出して多い傾向にあります。

なお、パワハラの行為者と被害者の関係は「正社員から正社員へ」「上司(役員以外)から部下へ」の割合が最も高くなっています。

参考:【仕事を辞めた方がいいサイン】見分け方と対処方法を解説(外部ページ)

セクシャルハラスメント

セクシャルハラスメントとは、労働者の意に反して職場において行われる「性的な言動」によって、不利益を受けたり就業環境が害されたりすることです。

男女を問わず加害者にも被害者にもなり得るほか、被害者の性的指向や性自認にかかわらず「性的な言動」であればセクシャルハラスメントに該当します。

性的な言動には、性的な関係を強要したり、必要なく体に接触したりする性的な行動に加えて、性的な内容の冗談を言ったり、性的な内容の噂を流したりするといった発言も含まれます。

セクシャルハラスメントは、男女雇用機会均等法により防止措置が事業主に義務づけられています。

#MeToo運動とは?きっかけやセクハラや性被害に対する日本や韓国での告発を解説

マタニティハラスメント

マタニティハラスメントとは、女性が妊娠・出産にあたって職場で受ける嫌がらせやいじめ行為、または妊娠・出産を理由に解雇・雇止めをされることです。

女性が妊娠・出産・育児と仕事を両立するための権利は労働基準法や男女雇用機会均等法、育児・介護休業法によって守られています。

また、職場における妊娠・出産・育児休業などに関するハラスメント対策は、事業主の義務とされています。

しかしながら、会社によってはまだ追いついていない状況があります。


職場内で起こるその他の問題

職場内では、ハラスメント以外にも問題が発生することがあります。よくある例として、従業員による横領や個人情報などの漏洩などが挙げられます。ここでは、職場内で起こるその他の問題について紹介します。

従業員による不正行為

企業においては、従業員による不正行為が発生することがあります。不正行為にはさまざまな種類がありますが、横領や賄賂、不正取引・会計、資金の流出などが代表的です。

こういった不正行為は、どれだけ注意深く管理していたとしても完全に防ぐのは難しいものです。

不正行為が発覚した場合には、速やかに事実確認の調査および処分を行い、問題の拡大を防ぐことが大切です。

個人情報などの漏洩

職場内では、個人情報や機密情報を漏洩させてしまう事故が発生する可能性もあります。

情報漏洩の件数は年々増加しており、その多くは情報の不十分な管理体制や人的ミスなどを原因としたものです。

日頃から情報漏洩を防止するための事前準備に徹するほか、万が一情報漏洩が発生した場合には被害拡大の防止と復旧に務める必要があります。


職場内で問題が起きた場合はどうする?

職場内でハラスメントや情報漏洩、不正などといった問題が発生した場合、どのように対処すればいいのでしょうか?

被害を最小限に抑えるには、早急かつ適正な対応が不可欠です。

万が一の際に焦らず行動できるよう、問題解決のステップを確認しておきましょう。

社内の専門部署に相談する

職場内で問題が発生した際は、社内のコンプライアンス部やハラスメント相談室などの専門部署に相談することが理想的です。

頼れる第三者に事実関係をヒアリングしてもらったり、防止措置対応について相談したりすることで、問題の拡大を防げます。

都道府県労働局へ相談する

職場内の問題について、都道府県労働局に相談する方法もあります。

労働局では、各種ハラスメントについて匿名で相談できます。内容によっては、会社に事実確認を行ったり、解決のための援助を行ったりと、丁寧に対応してもらえます。

会社の相談窓口で対応してもらえなかった場合など、近くの都道府県労働局に相談しましょう。

専門家に相談する

各種ハラスメントなどをはじめとした社内問題は、専門家を入れて解決を図る方法もあります。

特に相談内容が深刻な場合には、専門家を交えることで社内の専門部署の責任や負担も低減できます。

また、専門的な調査手法やスキルを有しているため、よりスムーズに問題解決へ導いてもらえることもあります。

職場内でハラスメントやいじめが起きた場合の解決方法について、バイリンガル興信所「JapanPI」の小山氏にお話しをお伺いしました。

”職場におけるハラスメントやいじめが原因で、精神的問題を抱え休職する際、企業への賠償請求の選択肢として弁護士の雇用を検討することができます。しかし、労使問題を専門とする弁護士の中には、特定の政治思想や組織との繋がりが深い者もいます。

彼らの主な目的は被害者の救済ですが、場合によっては企業からの賠償金や解決金での資金獲得や外部ユニオン組織の利益追求が優先されることも考えられます。

従って、現在の勤務先での就業を継続する意向がある場合、注意深く弁護士を選定することが必要です。一方、ハラスメント問題への対応として、探偵の雇用も考えられますが、この手段は日本においてまだ一般的ではありません。探偵業界全体として、ハラスメント問題解決における役割を社会に周知する取り組みが求められています。”

問題解決には証拠が必要!調査のプロに相談しよう

各種ハラスメントや情報漏洩、不正といった職場内で問題が発生した際、被害を最小限に抑えるためには早急な調査が必要です。

証拠が隠滅されてしまった場合、法的不正をしている行為者に正当な処分を下すことが難しくなってしまいます。

国内および海外における調査を提供するJapan PIでは、専門家による「職場内調査」を提供しています。

社内モニター調査や社外での行動調査などで決定的な証拠を抑え、問題を解決へと導きます。職場内における問題でお困りの際は、ぜひ調査のプロに相談してみましょう。