今回は、「美しい水を守る」という企業理念を掲げるフジクリーン工業株式会社で活躍する江濵 誠さんにお話を伺いました。

浄化槽業界のリーディングカンパニーとして国内トップクラスのシェアを誇る同社に、江濵さんは一度社会人を経験した後、大学で学び直し、水問題の解決を志して入社。

現在は、経営企画部で中長期の成長戦略を担っています。

フジクリーン工業が行う水環境保全の取り組みや魅力、その中核を担う江濵さんのキャリアに迫ります。

現在のお仕事

ーーー本日はよろしくお願いいたします。まず自己紹介をお願いします。

私は専門学校で土木・測量を学んだ後、地元の建設会社で約3年間勤務しました。

その中で環境問題に対する関心が高まり、「環境問題解決に直結する仕事をしたい」と強く思うようになりました。

その思いから、一度進路を見直し、大学・大学院で海洋環境を専門に学びました。

そして2016年、フジクリーン工業に新卒で入社。

5年間営業職を経験し、現在は本社の経営企画部にて、中長期経営計画の策定に携わっています。

ーーー経営企画部では、どんなお仕事をされていますか? 

全社の中長期的な成長戦略やビジョンの策定を担当しています。

現在は、3年ごとに見直す中期計画と、その3倍の期間である9年後を見据えた長期計画を連動させ、将来のビジョンを練り上げているところです。

社長や各事業責任者と密に議論を重ねながら、日々9年後の未来を思い描き、その実現に向けた道筋を描いています。

ーーー9年の長期計画はとても長いですね。

企業によって長期経営計画の期間はさまざまですが、5年で策定されるケースが多くみられます。

当社が9年の中長期計画を立てているのは、非上場のオーナー企業であるため、短期的な成果を求める株主の意向に左右されず、じっくりと長期的な視点で事業を育てられるからです。

短期間で結果が見えにくい計画であっても長期的な視点を持ち、一貫して取り組むことで、他社が簡単に真似できない領域へと事業を成長させられると考えています。

水環境の改善に取り組むリーディングカンパニー

ーーーフジクリーン工業株式会社についても教えていただけますでしょうか?

フジクリーン工業株式会社は、「美しい水を守る」という理念のもと、水環境の改善に取り組む浄化槽業界のリーディングカンパニーです。

主に浄化槽の研究・開発から製造・設計・販売・施工・メンテナンスまでを一貫して行っています。

国内市場で確固たる地位を築くとともに、オーストラリア、アメリカ、ドイツなど、海外展開も積極的に進めています。

ーーーありがとうございます。浄化槽について簡単に教えてください。

浄化槽は、私たちの生活の中で汚れた水を、微生物の働きによって浄化し、できるだけ自然に近い状態にして自然環境へ戻すための装置です。

下水道が整備されていない地域でも家庭や小規模施設から出る生活排水をその場で処理し、安全な水として川や海などに戻すことができます。

浄化槽が解決する3つの社会課題

ーーー浄化槽が解決する社会課題にはどのようなものがありますか?

浄化槽は、主に以下の三つの社会課題に貢献します。

・水質改善

浄化槽は下水道が未整備の地域でも、家庭や施設で汚れた水を浄化し、海や河川への汚染負荷を抑えることができます。

・生態系保全

浄化槽で処理された水は、自然に近い水質まで回復されるため、生き物が生息しやすい水辺環境の再生につながります。

結果として、生物多様性の維持や回復にも貢献しています。

・防災/減災

災害時には下水道が機能しないケースがあり、トイレの利用制限が健康や精神衛生に悪影響を及ぼします。

浄化槽は、仮設住宅や防災拠点での生活基盤を支え、汚水処理の確保に貢献する重要なライフラインとして位置づけられています。

建設業から環境分野へ—価値観の変化

ーーー環境問題に関心を持った原体験やきっかけを教えてください。

成人するまでの間、瀬戸内海沿いで暮らしていたことが、環境問題に興味を持つ原点です。

身近に美しい自然があり、それが当たり前の風景として存在していたからこそ、自然環境への関心が育まれました。

また、新卒で入社した建設業での経験も大きな転機となりました。

ーーーどのような転機でしょうか?

海洋土木を手がける建設会社で、防波堤や橋などをつくる仕事に携わっていました。

はじめは「人々の生活を守る仕事に就いた」と前向きに捉えていましたが、現場を重ねるうちにその認識が変わっていきました。

海の中でコンクリートを使う作業や、人工構造物によって自然の水辺が失われていく様子を目の当たりにする中で、「人の暮らしには必要な工事かもしれないが、他の生き物の住処を奪っているのではないか」とジレンマを強く感じるようになったのです。

環境分野への転換と再進学の決意

ーーージレンマを抱くようになったんですね。その後はどのようにキャリアを考えましたか?

その後「環境コンサルタントのような仕事ができたら」と思うようになりました。

環境への影響を適切に評価し、より良い方向へと導くような役割に魅力を感じたんです。

しかし、現実は甘くありませんでした。

専門学校卒という学歴では、求人の応募条件すら満たせないことがほとんどで、「大卒以上」「環境分野での実務経験必須」といった文字に落胆しました。

自分にはこの道を進む資格がないのでは」と思い悩む日々が続きました。

さらに、当時の建設業界全体にも将来への不安がありました。

高度経済成長期のような勢いはなくなり、このまま同じ業界で働き続けて本当に安定した生活が送れるのか。

将来、家族を持つことまで視野に入れたとき、初めて「このままでいいのか」と真剣に自問するようになり、それが再進学を決意する大きなきっかけになったのです。

ーーーとても大きな決断ですね。

正直、環境分野への転身を考え始めた当初は、「やめとけ」と何度も周囲から止められました。

でも、私は反対されるとむしろ燃えるタイプなんです(笑)。

転職と進学、どちらも本気で考えていたので、思い切って両親にも相談しました。

建設業を自営していた父からは、「やりたいなら応援する」と背中を押してもらいました。

その一言で腹が決まりましたね。

「もう逃げられない」と覚悟を決め、1年間しっかり勉強した末に海洋大学へ進学しました。

研究航海で広がった視野—「豊かな海」の現実

ーーー大学・大学院で印象に残っている経験はありますか?

大学院時代、太平洋の研究航海に参加しました。

船に乗る前は、「太平洋は豊かな海で、生命に満ちあふれている」というイメージをなんとなく抱いていたんです。

でも、実際に目にした光景は、まったく違っていました。

航海で訪れたのは亜熱帯の外洋で、そこは“海の砂漠”と呼ばれるほど栄養分が少なく、プランクトンもほとんどいない海でした。

人が暮らしていたり、雨や下水、腐葉土からの栄養が流れ込んでくる沿岸部とは違い、外洋は栄養の供給源がほとんどないんです。

その代わり、水は驚くほど透き通っていて、美しいと感じるほど澄んでいました。

でも、その「美しさ」は、人間から見たものであって、生き物たちにとっては過酷な“砂漠”だったんです。

この経験から、私は初めて「人間が理想とする“綺麗な海”を追求しすぎると、かえって生態系にとっては厳しい環境になることもある」と気づかされました。

「人と自然が共存できる、ちょうどいい環境とは?」という問いが自分の中に生まれ、考え続けるようになりました。

就職活動の軸は「環境保全」と「ソーシャルインパクト」

ーーー就活で大切にしていた軸はありますか?

大切にしていた軸は2つです。

ひとつは「水環境の保全」、もうひとつは「社会に与えるインパクトの大きさ」です。

環境保全というテーマは、個人でも日常生活の中で取り組めることがたくさんあります。

でもせっかく企業に属して働くなら、個人では到底届かないような大きなスケールの仕事がしたいと思ったんです。

社会にどれだけ影響を与えられるか、自分の仕事がどこまで広がっていくのか。

そういった“ソーシャルインパクト”も重視していました。

ーーー大切にしている考えや価値観や、その考えをもった原体験があれば教えてください。

高校では強豪校のハンドボール部に入り、厳しい練習に必死で食らいつきました。

中学時代は一度も勝てず、やり方もわからなかった私が、正しい方法で努力を重ねることで結果が出ることを実感できた貴重な経験でした。

このとき学んだ「努力は等しく返ってくる」という感覚は、今も自分の軸になっています。

成果だけでなく、人間関係や考え方、将来的なつながりとしても返ってくると信じて、何事にも正直に向き合うようにしています。

“恥ずかしがり屋”な情熱家たち

ーーー会社のビジョンに対して、社内にはどのような人が多いですか?

「美しい水を守る」というビジョンに共感している人が多いと感じます。

ただ、みんなあまり表には出さないんですよね。
恥ずかしがり屋というか、自分から「環境が大事なんだ」と語る人は少ないです。

でも話してみると、実は環境問題にすごく関心を持っていたりして、内に秘めた思いを感じることがあります。

ーーー心のうちに情熱を秘めているんですね。

実際のところ、自分から積極的に行動を起こす人は、社内では1〜2割ほどかもしれません。

でも、総務のメンバーが海岸清掃のイベントを企画したときには、30人近くが参加してくれて、しかも家族連れの方もいました。

その様子を見て、「ああ、みんな表には出さないけど、ちゃんと思ってるんだな」と強く感じたんです。

活躍しているのは「手を挙げる人」

ーーー社内で活躍している人の共通点はありますか?

私の中では、「手を挙げた人が活躍する」イメージが強いですね。

誰もやらないことに挑戦したり、機会がない中でも「やってみたい」と声を上げるような、“ファーストペンギン”です。

例えば、通常は営業の新卒社員は支店配属が基本ですが、「営業所でもいい」と手を挙げた新卒社員がいて、10年以上ぶりに営業所に配属されました。配属から2年ほど経ちますが、現場でも評判が良く、とても活躍しています。

他にも、新規事業や社内システム、AI活用などに自ら挑戦する若手も多く、外部から表彰されることもあります。

そういった前向きな行動が、活躍のチャンスを広げていると思います。

世界一の浄化槽メーカーを目指す

ーーー今後のビジョンがあれば教えてください。

「会社を世界一の浄化槽メーカーにする」その経営戦略の中核を担いたいです。

現在は長期計画の策定に携わっていて、「この目標を実現するために何が必要か」を日々考えています。

40歳という節目を迎え、これからのキャリアでこのビジョンを実現することにワクワクしています。

現場経験と経営企画の視点を両方持てる今だからこそ、仲間と協力しながら、戦略の中核を担う一人でありたいと思っています。

ーーー最後に学生へ応援メッセージをお願いします。

学生時代に感じた興味や関心は、社会に出ると忘れてしまいがちです。

でも、実はそれを“体現”できるのが社会人の面白さだと思います。

私自身も学生の頃に抱いた環境への関心を今の仕事で深め続けています。

だからこそ、学生時代に芽生えた気持ちをそのまま終わらせず、社会人になってからも追求し続けてほしいです。

きっとそこに、自分ならではのやりがいや価値が見えてくると思います。

もし、環境分野や社会課題への関心があるなら、ぜひ弊社に応募してください。

志を持った仲間と一緒に、世界の水環境をより良くしていけることを楽しみにしています。

採用情報

「日本のフジクリーン」から「世界のフジクリーン」へ。
この目標を掲げている私達が求めているのは、ずばり「一緒にチャレンジしてくれる人」です。

これから私たちが進もうとしている道は、私たちはもちろん、まだ誰も歩んだことがない道です。
だからこそ、前例にとらわれることなく、
失敗を恐れずに、新しいアイデアがあればどんどん挑戦してほしいと思います。

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