今回は、ソーシャルグッドリンク寿倉さんにインタビュー!
ソーシャルグッドな商品やサービスと、ソーシャルグッドなメディアをつなぐ事業を運営しています。
ご自身の運営する会社でのストレスや過労から、深刻な病気を患ったことをきっかけに、ソーシャルビジネスを立ち上げた寿倉さん。
ソーシャルグッドリンクの魅力や寿倉さんの考え方について取材しました。
目次
ソーシャルグッドリンクはどんなサービス?
ーーー早速ですが、ソーシャルグッドリンクとはどのようなサービスでしょうか?
ソーシャルグッドリンクは、社会を良くする商品・サービスと社会を良くする情報発信者をつなぐ成果報酬型の広告プラットフォームです。ブロガーやインフルエンサーさんには「ソーシャルグッドなアフィリエイトASP」と表現したほうがわかりやすいかも知れませんね。
ソーシャルビジネスの多くは、広告を出しても採算がとれず商品販売や認知拡大に課題を感じています。
また、ブロガーやインフルエンサーは社会を良くする情報発信をしたくても収入を得られず発信を継続できないという課題をもっています。
この2つを解決するため、商品やサービスが売れたときにだけ広告費が発生する成果報酬型のサービスを提供しています。
ーーーアフィリエイトとは、具体的にはどのような広告なのでしょうか?
アフィリエイトとは、広告主の商品やサービスをメディアやブログ・SNSで紹介し、その成果に応じて報酬が発生するインターネット広告の一種です。
ユーザーが商品やサービスを購入すると、広告主からメディア会員に報酬が支払われます。
ーーーありがとうございます。それではソーシャルグッドリンクはどのような役割を担うのでしょうか?
この「広告主」と「メディア会員」をつなぐのがソーシャルグッドリンクです。
具体的には、広告主とメディア会員のマッチングやシステム管理、支払管理などを行います。
その他には、1つ1つのお取引は少額であることが多く、数百円のお振り込みを何十何百と行なうのは双方に大きな負担ですので、私たちで取りまとめて行なうことでコストダウンするというような地味な役割も担っています。
ーーーありがとうございます!具体的にはどのような広告主やメディア会員が参加していますか?
ーーーありがとうございます!具体的にはどのような広告主やメディア会員が参加していますか?
広告主としては、バングラデシュの雇用創出に取り組むレザーブランド「JOGGO」さんや難民問題に取り組むエシカルなパソコン「ZEROPC」さん、発芽大豆を使った大豆ミート「Soycle」さん、エシカルを支援するプラットフォーム「trophee」さんなどに参加いただいています。
また、メディア会員では、「みんチョイス」さんや「長財布マニア」さん 、「名入れギフト.com」さん、「COCOCOLOREARTH」さんなどに参加いただいています。
広告主とメディアだけでなく、NPOや支援団体さんへの新しい寄付のかたちとしても取り組んでいます。
社会を良くする商品・サービスを購入することがNPOなどの支援団体の活動資金になるという、良い循環を作ることは自分の中でとても大切にしています。
社会を良くしたい全ての人たちがつながって支援し合える流れを作っていきたいですね。
保育士か証券マンかで迷ったファーストキャリア
ここからは、寿倉さんのキャリアについて質問しています。
ーーー学生時代はどのようなことをされていましたか?
小さい頃から子どもが好きで、保育士になりたいと思っていました。
なので、大学に通いながら認可外保育園でアルバイトをしたり、保育士の資格を取得するため勉強をしたりしていました。
しかし、どうしても保育の仕事だけでは生活が苦しく、株式投資のWEBサイトを立ち上げて運営していました。
ーーー学生の頃は保育士をされていたんですね。
卒業後のキャリアを考える大きな分岐として、好きなことか(保育士)お金を稼ぐか(証券マン)のどちらを選ぶかを試していた感じですね。
新卒では、経済的な理由から、保育士の道は断念して大和証券に入社しました。
ーーーその後、証券マンからアフィリエイト業界へキャリアチェンジされたのでしょうか?
そうですね。
新卒2年目の時に、たまたま読んだ社長ブログに感銘を受けて、ジョインしたことがきっかけで、アフィリエイト業界にキャリアチェンジしました。
実は、今は「Yogibo」というソファーメーカーですが、当時はまだ10名前後のベンチャー企業でアフィリエイトASPを行っていました。
新人の僕にも責任ある仕事を任せていただき、多くのことを学ばせていただきました。
その後、学生の頃のように自分でもサイト運営をしたいという想いが強くなり、株式会社マイスタースタジオを設立しました。
株式会社マイスタースタジオでは、口コミ・評判サイト「みん評」など30以上のサイト運営や広告の運用代行、出版などを行ってきました。
ソーシャルグッドリンクを立ち上げのきっかけ
ーーーソーシャルビジネスに関心を持ったきっかけを教えてください。
ストレスや過労によるメニエル病や緑内障など、深刻な健康問題が生じたことがきっかけです。
今も緑内障は進行中のため、片目は見えなくなってしまう可能性もありますし、メニエル病の後遺症で耳鳴りもあります。
お金をたくさん稼いでいれば幸せになると信じて働いてきましたが、そうではなかったと気づかされました。
ちょうどその頃、テレビでボーダレス・ジャパンの田口さんのドキュメンタリー番組に感銘を受け、ソーシャルビジネスに関心を持ち始めました。
ーーーそのような背景でソーシャルグッドリンクを立ち上げられたのですね。
そうですね。
ただ、すぐにソーシャルグッドリンクの形に至ったわけではありません。
最初は、常に問題を感じている知的障がい児やその家族支援の方向で進めていたのですが、自分のスキルセットと全く合わずに頓挫してしまいました。
ーーーその後どのような経緯で、ソーシャルグッドリンクの形にたどり着いたのでしょうか?
この時の経験から、障がい者就労支援事業所の多くが自社商品の売上が伸びず、B型事業所の平均月収は1万円前後であることを知りました。
また、福祉業界以外のソーシャルビジネスの多くも、広告を打って採算をとることが難しく、売上の拡大が難しいという同じ課題を抱えていることも感じました。
そこで、両者の支援を目的として、広告主が赤字にならない完全成果型の広告プラットフォーム事業にたどり着いたのです。
知的障がい児と家族支援の時は、苦手なことを想いだけで何とかしようとしてうまくいきませんでした。
そのため、「自分の得意」と「社会課題」をうまく結び付けることを意識して、事業を立ち上げました。
道徳なき経済は犯罪であり、経済なき道徳は寝言である。
ーーー寿倉さんがソーシャルビジネスを運営するにあたり、大切にしている考え方はありますでしょうか?
少しきつい表現かもしれませんが、二宮尊徳の「道徳なき経済は犯罪であり、経済なき道徳は寝言である。」という言葉を大切にしています。
世界各国に同じような格言があり、僕はこれを真理だと感じています。
もちろん、ボランティアを否定しているわけではありません。
しかし、資本主義社会に生きている以上、ボランティアするにも経済は無視することはできないです。
社会課題の解決のためには持続的に経済を回すことも同時に必要で、このバランスが重要だと考えています。
ーーー今の事業を行う中で、必要だと感じたスキルや知識を教えてください。
スキルや知識で考えるならWebマーケティングのスキルです。
しかし、それらはあったほうが有利くらいのものだと思います。
本当に必要なことは、利益が出にくい状況でも続ける力です。
それは気持ちの上でもそうですし、実際の財務的な面でもそうです。
社会課題の解決を目的とした場合、なかなか利益を出しにくい状況が長く続くことが多いと思っています。
ソーシャルグッドリンクを例に挙げると、一般の営利企業と違って大きな広告費が動くわけではないのに加えて、手数料を多く取ってしまうと誰も助けられないということで、二重の難しさを抱えています。
そんな中でも、まずは広告主やメディア会員にしっかり利益をあげてもらうことが重要ですので、ソーシャルグッドリンクのマネタイズは、どうしてもその後になってしまいます。
これは、ソーシャルビジネス全般に言えることかと思いますが、こういった中でもやりくりしながら続ける力というのは重要だと思っています。
ーーーありがとうございます!利益が出にくい中でも続けるコツなどありますか?
人それぞれやり方は異なると思いますが、僕は小さく始めることをおすすめします。
まずは、自分一人が運営できる状態を作ることに専念して、見切り発車で事業を拡大しないほうが良いでしょう。
もちろん、ビジネス経験が豊富な方であれば、VCから資金調達するなどもあると思います。
ソーシャルグッドリンクの今後の展開
ーーーソーシャルグッドリンクの今後の事業展開を教えてください。
現在は、広告プラットフォームの役割を担っていますが、もう少し幅を広げたいです。
例えば、社会を良くする情報発信を行なう素晴らしいメディアなのに運営が継続できずに終了されてしまう例も少なくありません。
活動を継続するためのより幅広い広告支援や、どうしても運営できないときにはメディアが目指した未来像も含めて大切に引継いでいただく先をおつなぎするなども今後やっていきたいと思っています。
これ以外にも、広告の枠を超えて様々なソーシャルビジネスをつなぐハブになりたいと思っています。せっかくの社会を良くする萌芽が消えないようにしたいですね。
ーーー最後に社会課題の道を志す学生へメッセージをお願いします。
学生の頃から社会課題の道を志すのは、本当に素晴らしいことだと思います。
自分が学生の頃を思い返すと、僕なんかが学生さんにメッセージと言うのはおこがましいなと思います。
ぜひ、学生時代だけでなく、社会人になっても続けてほしいですね。
もちろん、自分自身が別のことに取り組みたくなったら、信じた道を行くのが良いでしょう。
しかし、収入にならないからというだけの理由であれば勿体ないと思います。
活動を小さくとも上手くマネタイズする・自分が関わりたい領域でしっかり採算が回っている企業で働いて学びながら活動を続ける。
または、全く関係のない会社に就職したとしても無理のない範囲で、ボランティアとしてその活動に関わる、など様々な方法があります。今のその想いを大切に、継続してもらえたら嬉しいです。
もし少しでもお役に立てそうであれば、遠慮なく声をかけてください。社会課題に取り組む仲間として応援します!
1982年大阪生まれ、立命館大学卒。
メディアや証券、保育など様々な業界を経験後、2005年にアフィリエイトASPを運営する株式会社ウェブシャーク(現Yogibo)初期に参画、2008年に株式会社マイスタースタジオ設立、2016年に株式会社テミスホールディングス(現ラッコ)のメディア事業を管掌、同社取締役を経て2022年より社会を良くする商品・サービスを広げることを目的とした成果報酬型の広告プラットフォーム ソーシャルグッドリンクを創業、同社代表を務める。
著書: 現場のプロがやさしく書いた Webサイト運営・プロデュースの教科書(マイナビ出版)など
この記事の監修者
吉田宏輝
COCOCOLOREARTH代表、社会活動家。
COCOCOLOREARTHでは、社会課題解決を軸にした就職・転職活動を支援するインタビューメディアの代表として、100人以上の社会活動家にインタビュー、記事執筆やイベント登壇などを行う。