草の根の人々が経済・金融の主役になれる社会や、生きづらさを抱えた人も穏やかに楽しく生きられる社会をつくりたいとおっしゃる多賀さん。
生きづらさを抱えながらもたどり着いた、多賀さんの現在の活動や収入源をお伝えします!
多賀俊二さん
1965年生まれ、広島県呉市出身の55歳。
2013年中小企業診断士に登録。
1991年、金融機関の業界団体に就職し、25年間勤務。2016年4月独立!
草の根金融(社会課題を解決するため、一般の人が行う手作り金融の営み)の普及・発展を目指す。
2017年6月、直腸がんが見つかり、11月手術。
今は元気に復帰しているがんサバイバー。
現在の活動
ーーー現在はどのような活動をされていますか。
中小企業やNPO・ソーシャルビジネスに対する資金調達支援(補助金・助成金等)が活動の中心です。
体調が悪いときは、病院に行って診断をしてもらいますよね。
その際にお医者さんに告げることは、「○○症候群のステージ〇」といった難しい病名ではなくて、「おなかが痛い」「全身がだるい」といったざっくりした症状だと思います
実はお金がないというのは、体調が悪いことと一緒なんです。
私はお金の町医者のようなものなので、「お金がないんだけど、どうしたら良いかな?」と相談していただければ、問題を整理して解決策を提案し、必要な場合には、補助金など資金調達の支援を行っています。
ーーー収入源は何でしょうか?
無料で相談を受けていますが、相談者に支援を行った場合に限り、着手金(手間賃)をいただいております。
また、行政の相談員をするなど、中小企業診断士としての業務も受注しています。
活動を通してつくりたい社会
ーーー活動を通して、どんな社会をつくりたいとお考えですか?
2つあります。
1つ目は、草の根で活動する人々が経済・金融の主役になれる社会です。
つまり、大きな企業が経済や金融を支配して、一般の人が消費者として従属している構造を壊したいです。
特に2000年以降、ソーシャルファイナンスやNPOバンク、ファンドレイジングに関わってきた中で、そのように考えるようになりました。
2つ目は、助け合いの輪とセーフティネットが広がり、意欲ある人は可能性を全面に広げられる一方で、生きづらさを抱えた人も穏やかに楽しく生きられる社会です。
私自身が生きづらかったことが、こう考えるようになった大きな理由です。
私は資質に偏りがあり、学校や職場でよくいじられたり、いじめられたりしました。
今の社会では、そうした学校や職場の画一的なルールや同調圧力で、可能性を潰されている人間がいかに多いか。
私のように、資質に偏りのある人間は、強みを活かせばもっと色んなことができるのです。
例えば、学校では得意を伸ばすのではなく苦手を克服して、バランスの良い人間を作ろうとします。
バランス良くしようとすることで、本人の持っている大きな可能性が奪われてしまうことは多いのではないでしょうか。
こうした人の可能性を封じ込める見えない壁やバリアを取っ払いたいと考えています。
ーーー2つ目のつくりたい社会は、多賀さん自身が生きづらさを抱えてきたからこそ、言えるものなのかもしれませんね。
そうですね。
だからこそ、生きづらさを抱えている人の痛みには敏感で、共感性は高いと思います。
一億総活躍社会って実はしんどいんですよ。
みんなが活躍しなきゃいけないなんて考えは、大きなプレッシャーになると思います。
「こうあるべき」という社会で決められた枠、つまりは同調圧力が、仕事や人間関係において強まっている気がします。
コミュニケーションをとるのが苦手でも、返信遅くても、いいと思います。
同調圧力に耐えられない人間でも、自分の得意を活かして、やりたいことを見出して生きていければ良いんじゃないでしょうか。
また、生きづらさを抱えている場合でも、居場所があり、仲間がいれば、ちゃんと活動できます。
私が無料相談をやっているのは、今述べたような生きづらさを抱えながらも、自分のやりたいことを何とか模索しようとしている、しかしお金の問題で思うようにやりたいことができない人を見つけるためでもあります。
ーーー次回予告
NPOやソーシャルビジネスをしている人々の支援をされている多賀さん。
生きづらさを抱える人にも、そうでない人にも寄り添う気持ちがひしひしと伝わってきました。
第2章では、多賀さんのこれまでの歩みをお届けします!
社会的な金融のプロである多賀さん、実はパチンコにハマった経験があるのだとか…?!
どのような就活活動をされていたのかも伺いました。
ぜひお読みください!
多重債務から抜け出し社会的な金融のプロに#2〜くさの〜ね 多賀俊二さん〜
横山愛未(よこやままなみ)
大学1年生です。
特別支援教育やキャリア教育に興味があります。
多様な人の価値観や考え方、立場などに寄り添える人になりたいです。
Twitter:https://twitter.com/y_manami2020
この記事の監修者
吉田宏輝
COCOCOLOREARTH代表、社会活動家。
COCOCOLOREARTHでは、社会課題解決を軸にした就職・転職活動を支援するインタビューメディアの代表として、100人以上の社会活動家にインタビュー、記事執筆やイベント登壇などを行う。