この記事を訪れている方は留学中に就職をしなければならず困っている方も多いのではないでしょうか。
私も最初は情報が少なかったため途方に暮れており、また日本に住んでいる学生と比べるとかなり遅く、最終学年の5月から就職をはじめました。
しかし、以下でお伝えする流れで第一志望の企業から内定をいただけました。
まず、私自身についてお伝えします。
私は22年の8月から、アメリカ・マサチューセッツ州で情報科学系の修士課程(マスタープログラム)に在学しており、現地ではなく日本で就職をすることを考えています。
有名なボストンキャリアフォーラムの会場まで1時間半程度で行ける場所に住んでいますが、11月は研究で多忙になるため、夏休み中に就活をひと段落させることにしました。
先ほども書きましたが、他の就活生と比べてスタートが遅かったのですが、私の専攻と深く関連している企業様から、夏休み中に内定をいただきました。
この記事では、留学中に内定をいただいた体験談をお伝えし、皆さんのお役に立てれば幸いです。
また、こちらの大学生活で見聞きしたことを共有し、現地就活やボスキャリを考えている方にも役立つような情報を伝えていければと思います。
>>【留学エージェント10選】おすすめ留学サイトを比較ランキングで紹介!
入社・選考の時期について
4月の入社時期に間に合わないって本当?
イギリス、アメリカ留学の後に就職する場合、多くのケースで本当です。
例えば最も一般的な9月入学の場合は卒業は5月になります。
したがって4月の入社時期には間に合わない可能性が高く、多くの場合は翌年の4月入社になるでしょう。
実際に私が選考に参加した企業からもそのように言われることがありました。
また必ず対面で選考したいとのことで、留学中に帰国しない場合は選考に参加するのが難しい場合もあります。
その一方で、私が選考に参加したいくつかの企業からは柔軟に対応します、と言っていただいたことも事実です。
このように今後は通年入社や9月入社を認めている企業も増えてくるかもしれません。
私が本格的に始めたのは卒業の約1年前
私が就活を始めたのは卒業の1年前の5月です。
その理由は、大学で5月中旬から8月が夏休みのため時間にかなり余裕があり、集中して取り組めると思ったためです。
最終的には8月の頭に内定が出たので就活を一旦区切りました。
では実際に以下でどのように就活をしたか見ていきましょう。
準備編
スーツの準備
私は家族に送ってもらいました。
しかし、留学中は就活に限らず、現地でセミフォーマルが必要になる場合もあります。
荷物に余裕がある場合はご自身で持ってきた方がいいかもしれません。
なお、私は日本で撮った証明写真をデータ化しPCに保存していますが、証明写真はアメリカでも撮影できます。
例えば、友人はWalgreensという薬局で身分証明書用の写真を撮っていました。
ES/ 面接対策
私が行ったのはESや面接で頻出の質問の回答を300字程度で一度書いてみることです。
例えば、「強み」「弱み」「ガクチカ」など、頻出の質問を紹介しているページが就活サイトを中心に多くあります。
Webページ例:就活面接の質問集|対策・コツをマナーから回答例まで解説
さらに私は自己分析をする際に答えを3つ用意することを心がけました。
そのことによって企業の求める人材に近い回答ができたり、「他にある?」と聞かれた時に焦らないで済んだと思います。
就活サイトへの登録
実際にアメリカ中で私が使ったサイトは以下の通りです。
マイナビ2024 – 学生向け就職情報サイトは、主に国内企業を検索、応募することができるサイトです。
掲載企業がかなり多いので、きっと就活の軸にあった企業を見つけることができると思います。
GlobalCareer.com は日英バイリンガル向けの逆オファーサイトになります。
こちらは留学経験者もかなり多いので、留学生特有の問題も比較的柔軟に対応してもらえるケースが多いです。
Career Forumはボストンキャリアフォーラム(ボスキャリ)などを運営している企業のサイトになります。
キャリアフォーラムに参加される方であれば日本に帰国せずとも対面で人事担当者と話ができるので非常に有益なイベントなのではないでしょうか。
なお、ボスキャリについては後ほど説明します。
また、こちらは登録型就活サイトではありませんが、COCOCOLOR EARTHは「社会課題解決」という軸で就活している方の企業探しにはぴったりです。
例えば私は災害対策に特に興味があったので以下のようなページを利用しました。
>> 災害・防災に取り組む企業10選!就職・転職におすすめのベンチャーから大企業
なお、私が使わなかったサービスを含め、就活サイトの比較記事なども掲載しているのでこちらをご覧ください。
>> 24卒・25卒の新卒おすすめの就活サイト10選!比較ランキングで紹介
>> 【就活エージェントおすすめ10選】比較ランキングで人気のエージェントを探そう
>>逆求人サイトおすすめランキング5選!スカウト型サイトを活用して選考をスキップ
企業への連絡
さて、留学している学生も他の学生と就活の流れが違って大変ですが、企業もイレギュラーな対応をする必要があります。
そのため、選考に進む前に一言連絡をし、対応してもらえるか確認をするといいでしょう。
実際は私が送った例文です。
株式会社 XX
人事部 ご担当者様
初めまして。XX大学XX学部のXXと申します。本日は留学中に貴社の選考に参加させていただけるかお尋ねしたく、ご連絡差し上げました。
私は私の専攻と関連が深い貴社のXXに大変興味を持っており、ぜひ貴社の採用選考に参加させていただきたいと考えております。
しかしながら私は現在米国に滞在しており、来年の5月に卒業予定です。この場合、貴社の今年度の選考に参加させていただくことは可能でしょうか。
お忙しいところ大変恐縮ではございますが、ご検討、ご返信をいただけましたら幸いでございます。
選考編
授業時期となるべく被らないように注意しよう
アメリカやヨーロッパに留学されている方で選考中、大きな問題になるのは時差だと思います。
現実問題として企業の営業時間に面接することになるので、こちらの夜中に面接をすることになってしまうことも多いです。
もし授業時期とかぶってしまうと、日中は授業や課題があるので夜遅くに面接をするのはかなり大変です。
そのため私は比較的時間に余裕のあるアメリカの大学の夏休み(5~8月)に集中して選考を受けるようにしました。
基本的には日本にいるときのオンライン選考と同じ
私は日本企業に就職を希望していたので、基本的には就活生と流れは同じで、書類選考-> ウェブテスト -> 面接 -> 内定という流れが多かったです。
もちろん企業によって多少違いはありますが、就活の流れは上にあげた就活サイトの就活対策ページを参考にしました。
特に、ソーシャルや社会貢献を軸に就活をされるのであれば、このようなページも読んでおきましょう。
>>社会貢献を軸に就活はできる?気をつけるべき3つのポイントを解説!
留学経験や英語力だけだと不十分?! アピールポイントの伝え方
経団連が2018年に行った、企業の人事担当者が選考の際に特に重視しているスキルや経験を5つ回答する調査で興味深いデータがありました。
そのなかで語学力と回答した企業は6.2%、留学経験と回答した企業は0.5%のみでした。
その一方で、コミュニケーション能力、主体性、チャレンジ精神、協調性、誠実性などがランキングの上位を占めています。
したがって、留学生活の中で、このような能力をどのように発揮したのかアピールする必要があると考えられます。
以下が私が実際に行った自己アピールの一部です。
私は留学中のXXのグループワークで、分析方法を議論した際、当初出ていたXXという分析だけではなく、XXやYYという分析方法も応用できるのではとチームメイトに提案しました。
この結果、指導教官から「非常に興味深く合理的な提案」というコメントと、XX点という高い評価もいただきました。
このような経験から私は主体的かつ合理的に仲間と議論できる人間だと思います。
このように留学経験の中から自身の強みが出た具体的なエピソードを探すといいのではないでしょうか。
就職のために他にできること:キャリアフォーラム編
毎年11月のボストンキャリアフォーラム
ボストンキャリアフォーラム、通称ボスキャリは、毎年11月にアメリカボストンで開かれる、日英バイリンガルと企業のマッチングイベントです。
おそらく、海外留学している学生にとって最も有名な就職イベントでしょう。
グローバル人材を求めている日系大企業や、外資系企業など170社が参加します。
詳しい情報はこちらから
ボストンキャリアフォーラム イベント情報 | CFN (CareerForum.Net)
ボスキャリの「その日内定」は半分間違い?
私がアメリカに来る前、友人から「ボスキャリ行けばその場で内定もらえる」という話を聞いたことがあります。
この話は半分本当ですが、若干ミスリーディングだなと感じました。
たしかに、ボストンキャリアフォーラムで面接をし、その場で内定を出す企業は多いです。
しかし、その面接は「最終」面接であり、その前にオンラインで選考を受ける場合がほとんどになります。
もちろん、ウォークインといって飛び込みで面接を受けることもできますが、実際に内定をもらう学生の多くは事前に興味がある企業にアプライしている傾向があるようです。
その場合は、事前にオンラインでウェブテストや面接を受け、ボストンキャリアフォーラムで最終面接をすることになるケースが多いです。
そのほかの参加可能なイベントも確認しよう
海外留学されている方でボストンに来ることが難しいという方もいらっしゃるでしょう。
そのような場合、東京、大阪、ロサンゼルス、ロンドンさらにはオンラインのキャリアフォーラムにも参加することができます。
キャリアフォーラム | CFN(CareerForum.Net)
ただし、東京で開催されるものを除き、ボストンよりも規模が小さくなってしまいます。
キャリアフォーラムに参加する前に、興味のある企業が来るかどうか確認することが重要です。
就職のために他にできること:現地就活編
私は日系企業に就職することを第一の選択肢にしていましたので実体験は多くありませんが、現地で聞いた話をお伝えしたいと思います。
まず、日本での就活と同様に企業を探す必要があります。
チャンネルとしては、大学・教授などからの紹介、LinkedInなどのインターネットで見つけた企業に応募する形になります。
なお、アメリカにもOB訪問のようなものがあるため、興味があればキャリア支援スタッフに相談してみましょう。
応募の次の段階は履歴書とカバーレター(志望動機書)などを送ることです。
そして、書類審査で合格すると最終的に面接を受けることになります。
ちなみにアメリカの大学のキャリア開発のスタッフと模擬面接をしたことがありますが、基本的には日本と同じような質問をされたので、やはり自己分析は重要になってくると思います。
また、ハーバードビジネススクールは “10 Common Job Interview Questions and How to Answer Them”というWebページを発行していますので興味のある方は確認してみましょう。
採用フローは似ているけど経験重視!
ここまでを見ると日本とあまり変わらないと思われる方も多いかもしれません。
しかし、決定的に違うのは1. ポテンシャル採用はなく、実力・経験重視 2. 総合職採用ではなくジョブ型採用です。
まず、日本だと「経験不問」と書かれている求人票が多く見られると思いますが、アメリカの求人票は必要なスキルや知識まで細かく規定されていることが多いです。
次に上と連動しますが、総合職採用ではなくジョブ型採用で、関わる業務欄も具体的に書かれており、部署異動もあまりありません。
このように「あるエリアのプロとして自身の技能や知識を会社に売って報酬を得る」という側面が日本よりも強いと感じます。
そのため、質問で「給料はいくらがいい?」のような、日本の新卒採用ではあまり見られない質問もあり得ます想定質問集には必ず目を通しましょう。
インターンシップに参加しよう
先ほど、アメリカは実力・経験重視とお伝えしました。
そのためアメリカの学生はインターンシップに参加する学生が多く、いかにレベルの高いインターンシップに参加できるかが一種の就活ステータスになっていると感じます。
例えば、インターンシップに参加している友人は、インターンで印象を与えられれば80%くらい内定する、と言っていました。
基本的にはインターンへの応募方法は就活と同じで、書類提出と面接です。
また私の学部の場合は、企業でのインターンシップの代わりに教授の研究プロジェクトに参加する学生も多く、単位として認められています。
そのため留学先によっては、教授がどのような研究をしているか、事前に確認しておくことも重要でしょう。
ビザ要件には注意しよう
留学中の就業はかなり制限されています。
例えば、アメリカの学生ビザでは学外のインターンシップは「カリキュラムの履修」や「職業訓練」を目的とするものしか認められません。
また、インターンシップを開始するには大学と国の許可が必要です。
このルールを破ると不法就労となり最悪の場合、国外退去となる可能性もありますので詳細はアメリカ大使館や大学に必ず確認するようにしましょう。
レジュメやカバーレターが命。添削してもらおう!
私もですが、留学しているとはいえ英語に不安のある学生も多いのではないでしょうか。
しかし、レジュメやカバーレターは、企業にとってのあなたの「第一印象」です。
また大学の教授が言うには、企業の人事担当者がレジュメを見て書類選考の合否を決めるのにかける時間は10秒程度とのことです。
したがって、強い印象を与えるものをわかりやすく書かなくてはいけません。
そこで、大学のキャリア開発スタッフや友人などに依頼し、わかりにくいところはないか、文法上間違っていることはないか、などを確認してもらいましょう。
最後に
ここまでで説明したように、留学中の就活はイレギュラーなことも多く日本で就活するよりも大変かもしれません。
その一方で留学という経験は大変貴重なものであり、「就活が大変そうだから」という理由で留学を諦めてしまうのはもったいないと感じます。
ここまでで記載した中で私が就活をする上で重要だと思うことをまとめると、
- メールを含めた文章上でのコミュニケーション能力。文章で伝えたいことを伝える力。
- 自己分析力。特に留学や英語を通じて自分が何を達成したか深掘りすること。
です。
このような力を磨きつつ、留学も就活もきちんと結果を出せるよう、日本にいる時から準備していくことが大切でしょう。