ピルだとか、生理だとか、避妊だとか。

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「日本って、なんて性について学ぶ機会の少ない国なんだろう。」

私はそう思います。

友だち同士で性について話すのはもちろんのこと、考えることすら恥ずかしいと思っている人がたくさんいるように感じます。

とっても大事なことなのに。

性についての無知は、自分や相手の身体を傷つける結果になりかねません。

 

今回このコラムでは、ピル(低用量ピルまたは経口避妊薬)をテーマに、生理や避妊のことについて綴ろうと思います。

 

1.ピル(経口避妊薬)とは?

 

冒頭に”ピル”というワードを出しましたが、そもそも”ピル”って何?という人も多いのではないでしょうか?

ピルの正式名称は低用量ピルまたは経口避妊薬といって、女性ホルモン剤のことを指します。

 

用途は主に2つあります。

 

①避妊

ここでは、ピルがどのように避妊効果を発揮するのかについての医学的な詳しい説明は省きたいと思います。 

簡単に説明すると、ピルは体内のホルモンの量を調整して排卵を抑制します 

排卵しないから、受精もしないという訳です。 

正しい使い方をすれば、その避妊効果は99.7%です。 

コンドームが82%ということを考えれば、より確実な方法と言えるでしょう。

 

②生理不順の改善、PMSや生理痛の緩和

ピルは通常、生理が始まった日から5日以内に服用を始め、21日連続で服用を続け7日間休薬します。

この休薬期間に通常、生理が始まります。

薬でホルモンのバランスを調整しているので、決まった時期に生理が来るという仕組みです。

また、ピルはPMS(*)や生理痛の緩和効果も期待できると言われています。

*PMS:生理が始まる前の数日間(3~10日)に起こる心と身体の様々な不調のことで、生理が始まると治まってきます。

2.日本とピル

では実際、日本でピルは避妊方法としてどの程度普及しているのでしょうか?

国連の発行している「避妊法2019(Contraceptive Use by Method 2019)」のデータ によると、日本のピル内服率は2.9%とされています。

英国26.1%、フランス33.1%、 米国13.7%と比べると、日本はピル後進国であることがわかります。

 

では、なぜ日本では避妊方法としてのピルがここまで普及しないのでしょうか?

理由は主に3つあると思います。

 

①保険が効かない

避妊が用途のピルに対しては日本では保険適用をしていません。

ピルはワンシート(1か月分)約3,000円程度が相場です。

得るには必ず医師の処方箋が必要ですので、診察料なども合わせると4,000円~5,000円程度かかることになります。

これを毎月支払うとなると、特に学生にとっては大きな負担かもしれません。

 

②日本の性教育であまりピルについて扱わない

日本の性教育に関しては以下のような方針があります。

”性教育を行う場合には,人間関係についての理解 やコミュニケーション能力を前提とすべきであり,その理解の上に性教育が行われるべきものであって,安易に具体的な避妊方法の指導等に走るべきではない。”[日衛誌 (Jpn. J. Hyg.) 第 73 巻 第 2 号 2018 年 5 月より]

”具体的な避妊方法”つまり、コンドームやピルなどについての詳細な情報や使い方は、学校の性教育の時間ではあまり触れられないということです。

これでは、いざパートナーと性的関係を持とうとしたときに、ピルという選択肢が浮かばないのも無理ありませんよね。

 

③ピルに対してネガティブなイメージがある

オーキッドクラブ(2012)が「ピルを持っている知人・女性のイメージ」を調査すると、1位は男女共に、「避妊について真剣に考えている」でした。

しかし、男性に関しては2位が「遊んでいそう」、3位が「夜の仕事をしていそう」でした。

自分の周り、特に自分のパートナーがピルについてネガティブなイメージを持っていると、ピルを使いたくても使えない・相談できないということに繋がってしまいます。

 

3.ピルが日本にも普及すべき理由

ピルの普及率が低い日本ですが、私はこれから普及させていくべきだと考えます。

それは主に以下2つの理由からです。

 

①避妊方法が男性主体のものしか無いのは危険

日本で現在、避妊方法として一番ポピュラーなのはコンドームです。

コンドームは男性器に付けて、女性の膣内に精子が入ることを防ぐものなので、男性に避妊の主導権があると言えます。

しかも、その成功率は82%

もしコンドームしか避妊方法を取らなければ、女性は自分の身体の安全を100%男性に委ねることになります

それって怖くないですか?

パートナーとの性交渉は大事なコミュニケーション手段の1つだと私は思います。

それはどちらかの犠牲を強いるものであっては絶対になりません

ピルなどの、男性主体のもの以外の避妊方法を持つ・知っていることは、自分や相手の身体を守るために必須だと私は思います。

 

②PMSや生理痛、生理不順の緩和

女性は共感できる方が多いと思いますが、PMSや生理痛って本当に辛い!

もちろん個人差はありますが、酷い人だと生理2、3日目なんかは痛すぎて寝たきりなんて人も少なくありません。

また、生理不順になるといつ生理が来るか分からない。

出先で急に始まって、コンビニに急いで生理用品を買いに行かなければならないなんてことも。

1か月の内1週間前後も生理に振り回されるなんて、正直最悪ですよね。

そんな状態を少しでも緩和してくれるかもしれないピルが、選択肢にあるかないかでは大きな違いだと私は思います。

4.筆者の想い

最近でこそ、多くの人が性について発信してくれるおかげで学ぶ機会も増えましたが、この国はやっぱりまだまだ性に関して窮屈な国だなと思います。

「パートナーが生理による体調不良は甘えだって言ってくる!」とか「パートナーがきちんと避妊してくれない!」なんて未だによく聞く話ですよね。

でもそれって原因は明らかで、友だちやパートナーときちんと性について話す機会を持てていないから、あるいは、話すための正しい知識を持っていないからだと私は思います。

同性間でも個人差があってよくわからないのに、ましてや性別をまたぐと相手の身体のことなんてほとんど分からないに等しいです。

 

だからこそ、性についてもっと学んでもっと話すことが大事なんです。

自分の身体も相手の身体も、守るべき大切なものだから。

 

ライタープロフィール
金子 歩乃歌
国際教養大学 3年
「性別が個人の夢を邪魔しない世界に」をビジョンに活動中。
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