今回は、シンガーソングライターのはたなかみどりさんにインタビュー!
学生時代は、町おこしや老人ホームの慰問、途上国でのコンサートなど様々な社会活動に取り組んでいました。
その後、大学4年の12月に内定を辞退、新卒フリーランスとして、グラフィックレコーダーとして活動。
現在は、シンガーソングライターとしての活動や「音楽とエンタメの力で、地球と人を搾取しない仕組みを作る」ことをビジョンに掲げたICHI FESという音楽フェスの主催をしています。
様々な活動に取り組むみどりさんのキャリアや考え方について取材しました。
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目次
現在の活動
ーーー現在はどんな活動をされていますか?
2020年からシンガーソングライターとして音楽活動をしており、2021年からICHI FESという音楽フェスの主催も毎年しています。
ここ数年は、春〜夏にかけて夫婦で改造したハイエースの中で暮らしながら、全国路上ツアーも行ってきました。
無謀なチャレンジをきっかけにシンガーソングライターに
ーーーシンガーソングライターをはじめたきっかけを教えてください
働き始めて数年後、とある友人の「無謀なチャレンジ」を応援したことがきっかけで、シンガーソングライターになりました。
応援をする中で、自分の中に閉まっていた幼い時の夢を思い出し、活動をはじめました。
ーーー友人の「無謀なチェレンジ」とはどんなチャレンジだったのですか?
エルトン・ジョンの「YOUR SONG(僕の歌は君の歌)」という曲を弾き語りで3か月後にライブするというチャレンジです。
友人は、楽譜も読めず、ピアノも弾けない中でのチャレンジだったため、かなり無謀な挑戦でした。
私が音楽系の大学に通っていたこともあり、友人にレッスンをすることになりました。
ーーーなぜ友人はその無謀なチャレンジをしようと思ったのですか?
友人は、当時コーチングのコーチを目指しており、自分がコーチとして活動していく上で、自分自身もチャレンジしていくことが大事だと考えていました。
そして、そのコーチングのスタイルとして、簡単にいうと、「コンフォートゾーンの外側×本当に心からやりたいこと」を自分のゴールとして設定するやり方でした。
友人にとって、”現状で手は届かないけど、とびっきりワクワクすること”をやってみようというチャレンジだったんですよね。
友人の応援をしている時期、私はちょうど仕事が安定してきて、コンフォートゾーンにいましたが、応援する中で自然と影響を受けて、自分は本当は何がやりたかったんだろうと考え、シンガーソングライターになりたいという想いが溢れてきました。
1日1曲作る日々の中で
ーーーその後すぐに仕事を辞めてシンガーソングライターになられたのでしょうか?
数か月間は、働きながら1日1曲を作ってSNSにアップすることを続けていました。
ですが、日々音楽と向き合う中で、だんだん音楽への熱が高まり、本業に力が入らなくなってきてしまい。。。
正直にそんな自分の想いを取引先の担当者に打ち明けたところ、すごく応援をしていただきました。
今の中途半端なままではいけないと思い、本業を辞めてシンガーソングライターに専念することになりました。
ICHI FESを始めたきっかけは「ap bank」
ーーーその後、ICHI FESという音楽フェスを主催されていますよね?どのようなきっかけで始めましたか?
きっかけは、学生時代に参加した「apbank fes」と呼ばれる、人や環境に優しいフェスです。
ap bankとは、音楽家の小林武史さんと、Mr.Childrenの櫻井和寿さん、そして、坂本龍一さんを加えた3名が拠出した資金をもとに、2003年に設立された、「市民のためのバンク」です。
『サステナブル』を大きな指標に据えながら、自然エネルギーや環境保全活動している方々への融資、復興支援活動など様々なプロジェクトを立ち上げている団体で、そのapbankが主催している野外イベントの「ap bank fes」に行ったことがあって。
すごく憧れを持っていました。
そして、「あの舞台に立ってみたい」という思いでもともと活動していましたが、段々と「今自分にその力がないなら、自分でフェスを作ったらいいのではないか」と思うようになって、それがきっかけで音楽フェスを作りはじめたんですよね。
もともと、学生時代から環境活動や社会活動などに力を入れていたこともあり、「人や地球にとって本当に良いものを音楽やエンタメの力で生み出す」ことにパッションがありました。
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音楽のボランティア団体を立ち上げだ学生時代
ーーー学生時代はどのような活動をされていましたか?
東日本大震災後の2012年、「宮城県石巻市」でボランティアをしたことをきっかけに、音楽のボランティア団体を立ち上げました。
最初は、震災復興から始まり、様々なジャンルの音楽仲間を70名ほど集めて「チャリティコンサート」などを行っていましたね。
そのうち「音楽で社会の為にできることってなんだろう」という問いに変わり、町おこしや老人ホームの慰問、途上国でのコンサートなど様々な分野の社会貢献活動へと軸を広げていきました。
その他にも、大阪の「西成区」と呼ばれる日雇い労働者やホームレスが集まる街で住み込みボランティアをしてみたり、20歳の時にはJICAの青年海外協力隊に応募してみたり。
その後は内閣府の「東南アジア青年の船」という青少年事業にも参加しました。
4年生の12月に内定辞退
ーーー卒業後はフリーランスとして働かれていますが、企業への就職は考えていましたか?NPOや民間企業で働くことも考えていました。
実は、ベンチャー気質の民間企業で内定をもらい、1年間インターンをしていて、働くことも決めていました。
ただ、4年生の12月ごろ、朝から深夜までパソコンの前で働き続ける生活に、「自分の本当に在りたい暮らし方・生き方ができているのか?」とギャップを感じるようになりました。
そして、その月に内定を辞退しました。
ーーーその後はどのような流れでフリーランスになられたのでしょうか?
内定を辞退したものの、やりたいことが明確にありませんでした。
また音楽の大学を出ていたので、いったんは非常勤で教師として働こうかなと思った時もあったのですが、どうしても「教員採用試験」へのモチベーションを保つことが難しかったり。
何かないかと考える日々の中、過去の経験からふと、グラフィックレコーディングだったら仕事にできるかもと思い、活動を始めました。
グラフィックレコーディングの、即興的に何かを表現するというのが、音楽と似ているのかもしれません。
ーーー新卒フリーランスは怖くはなかったですか?
グラフィックレコーディングだったら仕事にできるかもと思ったのが、3月21日だったため、もう怖さを感じてる暇はなかったです(笑)。
ギリギリ過ぎてやってみるしかありませんでした。
大切にしてる3つの考え方
ーーー大切にしている考えや価値や、その考えをもった原体験があれば教えてください。
「生きることは表現すること」「わたしの中に”答え”はある」「人は自然の一部だということ」の3つです。
1つ目の「生きることは表現すること」は、”なんの為に人が生まれてきたのか”の答えだと思っています。
お金を稼ぐためでも誰かに尽くすためでもなく、自分のいのちを表現するために人は生まれてきたのかなって思うんです。
これは音楽を突き詰めていった時に感じたことです。
ーーー2つ目の「わたしの中に”答え”はある」についてはいかがでしょうか?
「どうやったら幸せになれるのか」や「豊かに生きられるのか」の答えは、自分の中にあるものであり、自分の感情が教えてくれることだと思っています。
「感じる情報」と文字通りですが、自分の外側ではなく内側ともっと人が向き合っていくことがこれからの時代に必要になるのではないかと思ってるんです。
ーーー3つ目の「人は自然の一部だということ」についても教えてください。
3つ目は、学生時代に屋久島の森に入って感じたことなんですが、「森も私の一部だ」って溶けていくような感覚があって。
なので、”環境活動”というと、森と自分を分けている感じがしますが、本来は繋がっていて本当は自分たちも自然の一部だと思っています。
なので「自然の一部」として今の気候変動や世界の現状に対してどう感じるのか?と素直な感覚を大切にしたいですし、人と自然が共に生きる前提のビジネスや政治の議論がもっともっとされていくといいなあと思っています。
ICHI FESでもこの感覚を表現しようと挑戦しています。
今後のビジョンと理想とする社会
ーーー今後のビジョンを教えてください。
大きな目標は、10年以内に「ap bank」に出演すること。
その手前では、3年後に渋谷公会堂でライブをすることです。
また、ICHI FESでのビジョンは、「音楽とエンタメの力で、地球と人を搾取しない仕組みを作る」ことです。
音楽を楽しむことが、本当の意味で、地球や人にとって良い循環や化学反応を生むようなフェスにしたいですね。
それが数百人規模ではなく、数千人、数万人規模でできたらなと思っています。
※渋谷公会堂とは、渋谷公園通り沿いに立地する2,000人規模の会場。ミュージシャン・歌手にとってはこのホールでの公演の実施・成功が、世間大衆から一流への登竜門のようにみなされることもある。
ーーー理想とする社会とはどんなものなのでしょうか?
「いのちが秤にかけられない社会」であり、「いのちが本当に表現されている社会」ですかね。
前者は動物や植物含めていのちを秤にかけて値段がついていたり、本当に苦しい人が人らしく生きられなかったり、今も世界では戦争が起こっていたり。そういうことがない社会です。
誰もが大切にされることを当たり前にしたいし、人間だけじゃない命にも社会全体として、リスペクトを持てるといいなって思います。
後者は、言い換えれば、妥協せずに本気で生きる人・本気で人生を楽しみ切る人が増えてほしいです。
でもそのためには、「お金の不安から生きる」とか「誰かの目を気にして生きる」みたいなものを払拭する必要があります。
なので、まずは「お金がそんなにないと本当に生きられないんだっけ?」とか「誰かによく思われないと生きられないんだっけ?」とか、そんな問いを柔らかく立てることが必要なのかなと思っています。
そんな「柔らかな問い」を、自分の作る「音楽」やICHI FESという「フェス」の力を使って作っていきたいです。
応援メッセージ
ーーー最後に社会課題の道を志す学生へメッセージをお願いします。
「社会課題解決」は聞こえがいいですが、実際は地道だったり、心が折れてしまいそうな瞬間がたくさんある泥臭い道だと思っています。
また、「社会問題」は、ファッションやメイク、スポーツなどの話題と比べて、みんなが関心を持っていないことを痛感して「ひとりぼっちだなあ」と感じてしまうことも私にはありました。
だけど、そんな時に支えてくれるのは、「同じ思いを持つ仲間」の存在だと思っているんですよね。
うまくいったことを同じ目線で喜んだり、社会の現状を嘆いたり。そういった仲間がいることが本当に支えになってくれると思っています。
そういう意味で、例えば私たちの作っているICHI FESには、「同じ目線で考えている人との出会い」がたくさんあります。
フェスにきて、そういう人に出会いにきて欲しいなって思ったりしています。
一緒により豊かな社会を作っていきましょう!
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この記事の監修者
吉田宏輝
COCOCOLOREARTH代表、社会活動家。
COCOCOLOREARTHでは、社会課題解決を軸にした就職・転職活動を支援するインタビューメディアの代表として、100人以上の社会活動家にインタビュー、記事執筆やイベント登壇などを行う。