この記事のまとめ
マジョリティとは「多数派・大多数」を意味し、マイノリティ(少数派)の対義語です。数の多さだけでなく、社会的な力関係も含む概念として、政治・社会・性的指向など幅広い分野で用いられます。
最近マイノリティ(少数派)という言葉をニュースで耳にすることが増えているのではないでしょうか。
マイノリティと同時によく論じられるのが、「マジョリティ」という言葉です。
マジョリティはマイノリティの反対で「多数派」を指します。
マイノリティの権利や尊厳を尊重する風潮が近年強まっている一方で、「サイレントマジョリティ」が議論に上がることも増えてきました。
この記事では「マジョリティとマイノリティ」の違いや具体例をわかりやすく説明します。LGBTQ などの問題を深く考えるきっかけにしていただければ幸いです。
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マジョリティとは?
マジョリティとは、ある集団の中で最も数が多い部分、つまり大多数を指す言葉です。
ビジネスや社会学で使われるこの用語は、意思決定やトレンド分析において重要な役割を果たしています。また、単純に数が多いというだけでなく、社会的な力を持っている派閥という意味も含みます。
例えば、日本国内に住んでいる日本人がその代表的な例として挙げられます。
マジョリティとマイノリティの違い
マジョリティとマイノリティの違いを整理すると、以下のとおりです。
| 項目 | マジョリティ(多数派) | マイノリティ(少数派) |
|---|---|---|
| 数の規模 | 集団内で多数を占める | 集団内で少数にとどまる |
| 社会的力 | 意思決定に強い影響力を持つ | 意思決定に関与しにくい場合が多い |
| 具体例 | 日本国内の日本人、異性愛者 | 在日外国人、LGBTQ+当事者 |
マジョリティが多数派を指す一方で、マイノリティは「少数派」という意味を持ちます。いずれも絶対的な数だけではなく、力関係を示す概念でもあります。
マジョリティの重要性
大前提として、少数派を尊重することが重要です。しかし、現代の民主主義においては多数決が原則であり、多数派の意見が通ることが多いのも事実です。
だからこそ、多数派が公共の課題を正しく認識し、少数派にも配慮しながら意思決定を行うことが求められます。
サイレントマジョリティとは
サイレントマジョリティとは、その名のとおり「物言わぬ多数派」という意味です。
この概念を初めて広めたのはニクソン元大統領です。1960年代から70年代初頭にかけて、アメリカはベトナム戦争で泥沼にはまり、反戦論が盛んに叫ばれていました。
しかし、ニクソンは「反戦を叫んでいるのは一部であり、アメリカ人の多くは声を挙げていないだけで暴力的な反戦運動には眉をひそめている」と演説しました。また、「活動的なマイノリティが静かなマジョリティの意見を押さえつけてしまうと、自由な社会の未来はない」と訴えたのです。
この演説の前の1968年大統領選でのニクソンの選挙人得票率は55.9%でした。しかし演説の3年後、1972年の大統領選でニクソンは選挙人得票率96.7%という驚異的な得票率で再選されました。
【参考】
左傾化する若者「ジェネレーションレフト」の祖先 東京大学・中野教授に聞くアメリカ史(後編)
Nixon’s Silent Majority Speech
1968 | The American Presidency Project
1972 | The American Presidency Project
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ノイジーマイノリティとは
ノイジーマイノリティとは、サイレントマジョリティの反対で「声をあげる少数派」という意味です。ベトナム戦争の事例でいえば、反戦運動を展開していた人々がこれにあたります。
ニクソン元大統領の演説を聞くと、ノイジーマイノリティが悪という印象を受けるかもしれませんが、そうとは一概には言えません。反対にサイレントマジョリティであり続けると、忖度や思考停止状態に陥ってしまうという指摘もあります。
【参考】
空気に操られる怖さ、民主主義を児童書で伝える 「脱サイレント・マジョリティー」がテーマ:東京新聞 TOKYO Web
マジョリティ主義とは
マジョリティ主義とは、特定の識別要素を持つ多数派が力を持ち、物事の最終決定権を持つべきという主張のことです。
特定の識別要素には人種・宗教・社会的地位・所属などが含まれます。例えば、日本の国会でも与党の法律案が通ることが多いのは、多数決の原理に基づいています。
このように多数決は民主主義の根幹を成すものである一方で、「多数派による少数派への圧政」という危険性もはらんでいるという主張があります。多数派の力が過度に行使されないよう、制度的なチェックが重要です。
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マジョリティとマイノリティの具体例3選
マジョリティとマイノリティの具体例を3つ紹介します。
- 社会的マジョリティとマイノリティ
- 政治的マジョリティとマイノリティ
- セクシュアルマジョリティとセクシュアルマイノリティ
社会的マジョリティとマイノリティ
社会的なマジョリティとマイノリティの対立を示す例として、スリランカの民族問題があります。
スリランカの民族を大きく分けると、人口の約75%を占める仏教系のシンハラ人と、約15%と約8%を占めるヒンドゥー教系のタミル人などがいます。イギリスは植民地政策として、スリランカ国内の対立を煽るためにタミル人を優遇しました。
スリランカは独立後、シンハラ人優遇策を掲げたスリランカ自由党(SLFP)が1956年の選挙で圧勝しました。しかし、この政策でタミル人が反発し、過激武装組織の結成を含めた対抗措置をとることになります。
1980年代前半から政府軍とタミル人武装組織の対立が激化し、インフラの破壊・地雷の敷設・約7万人の戦死者・28万人に及ぶ国内避難民の発生などの甚大な被害が出ました。現在は停戦が成され、タミル人自治区の設置に向けた議論が続いていますが、民族融和など課題が山積しています。
他にも少数民族と多数派が対立した事例として、ロヒンギャ問題があります。
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政治的マジョリティとマイノリティ
政党間だけでなく、性別によっても政治的なマジョリティ・マイノリティが存在します。
2021年の世界経済フォーラムによれば、日本の男女格差指数は156か国中120位でした。また、2021年時点で国会議員に占める女性議員の比率は、衆議院で9.9%、参議院で23%にとどまっています。
職場に多様性があるとより革新的になるという指摘もあり、女性をはじめとする多様な性別の人が政治に進出しやすくするための環境整備が求められています。
参考
How diversity makes teams more innovative | Rocío Lorenzo | TED
政治の男女格差を減らそう | NHK | WEB特集
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セクシュアルマジョリティとセクシュアルマイノリティ
男性・女性という二元的な性別がセクシュアルマジョリティとされる一方で、LGBTQ+ と自認する人も一定数存在します。
近年、日本でLGBT 理解増進法が可決されましたが、同性婚については裁判所で判断が分かれており、引き続き議論が必要な状況です。性的マイノリティへの理解を深めることが、多様な社会を築く第一歩といえます。
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アメリカの実例
白人とネイティブアメリカン
ネイティブアメリカンは、ヨーロッパ人の入植前からアメリカ大陸に暮らしてきた先住民族です。ヨーロッパとは異なる生活様式・宗教・口頭伝承の文化を持っていましたが、入植者による迫害・同化政策によって民族のアイデンティティが大きく失われました。
植民地時代以降、インディアン戦争での敗北・強制移住・持ち込まれた疾病などにより多くの命が失われました。その後、民族意識を取り戻すための近現代的な運動が続けられており、権利・文化の保護が少しずつ進んでいます。
しかし、失われた文化や土地を完全に取り戻すことは容易ではありません。2018年時点でのネイティブアメリカンの貧困率は25.4%を超えており、現在も厳しい生活環境が続いています。
【参考】
Racial Wealth Snapshot: Native Americans » NCRC
Home Page | National Museum of the American Indian
白人と黒人
アメリカでは歴史的に、黒人は奴隷制や人種隔離政策(セグリゲーション)のもとで白人の圧政を受けてきました。例えば、黒人は白人と離れた席で授業を受ける、大学に入学できないなどの差別が法律によって制度化されていた時代がありました。
現在、黒人と白人は法律上は平等ですが、2019年時点で黒人の貧困割合は白人の約2倍以上に達しており(黒人:18.8%、白人:7.3%)、構造的な格差が残っています。
参考:Poverty Rates for Blacks and Hispanics Reached Historic Lows in 2019 (census.gov)
マジョリティの課題と私たちにできること
マジョリティは民主主義で意思決定をするうえで欠かせない概念です。しかし、多数派を優遇しすぎたり少数派を弾圧したりすると、ネイティブアメリカンの事例のように数百年にわたる問題になりかねません。
スリランカの事例では、多数派であるシンハラ人を優遇した結果、インフラ破壊や内戦・テロなどで多数派自身にも甚大な被害が生じました。
難しいことではありますが、マイノリティも住みやすいよう配慮しながら意思決定を行うことが、社会全体の安定につながります。まずは身近なところで「サイレントマジョリティ」をやめ、声をあげることが変化のきっかけになるかもしれません。
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よくある質問(Q&A)
- Q. マジョリティとマイノリティの違いを一言で教えてください。
- A. マジョリティは「多数派・大多数」を、マイノリティは「少数派」を意味します。単なる数の差だけでなく、社会的な力の差も含む概念です。
- Q. サイレントマジョリティとはどういう意味ですか?
- A. 「物言わぬ多数派」という意味です。意見を持っていながら公には声をあげない大多数の人々を指します。ニクソン元大統領が1969年の演説でこの概念を広めました。
- Q. マジョリティ主義の問題点は何ですか?
- A. 多数決の原理が行き過ぎると、少数派の権利や意見が無視される「多数派による圧政」につながる危険性があります。民主主義においても少数派の保護が重要です。
- Q. 日本でのマジョリティとマイノリティの例を教えてください。
- A. 日本人・異性愛者・シスジェンダーなどがマジョリティの例です。在日外国人・LGBTQ+ 当事者・障がいを持つ方などがマイノリティの例として挙げられます。
- Q. マジョリティであることには責任がありますか?
- A. はい。多数派は意思決定に強い影響力を持つため、少数派の立場や声に耳を傾け、配慮ある行動をとる社会的責任があると考えられています。
