2025年4月のCOCOCOLOREARTHには、
・過疎地域の空き家を「私設公園」としてよみがえらせる、大学×地域住民の協働プロジェクト
・高校生発案から始まった、店頭での「てまえどり」を後押しする食品ロス削減の実証実験
・「エコな商品を選びたい」けれど「追加コストは難しい」という生活者のリアルを可視化した調査
・大阪・関西万博の会場で展開される食品ロス削減サービス「万博タベスケ」
・自治体DXツールを俯瞰する「地方創生×自治体DXツールカオスマップ」
・未利用資源を活かしたコスメブランドの、サステナブルコスメアワード2部門受賞
・北海道・斜里町での観光DX実証実験と、AI旅行アプリを活用した周遊促進の取り組み
など、「地方創生」「食品ロス削減」「エシカル消費」「自治体DX・観光DX」といったテーマが集まりました。
本記事では、2025年4月にCOCOCOLOREARTHで紹介したプレスリリースをダイジェストでご紹介します。
目次
◆過疎地域の空き家を「私設公園」に
武蔵野大学 建築デザイン学科×群馬県みどり市「わがままパーク・プロジェクト」
※本記事は、武蔵野大学様からの情報提供で作成しております。
武蔵野大学工学部建築デザイン学科の太田裕通講師と学生16名は、過疎地域に指定された群馬県みどり市大間々町で、20年以上空き家だった遊休不動産(空き家2棟・駐車場・庭を含む約450㎡)を活用し、自治による「私設公園」をつくる「わがままパーク・プロジェクト」をスタートしました。
2025年4月から、地元の子どもたちを主役にしたワークショップを連続開催し、「遊べる場所・気軽に集まれる場所がない」という住民の声をもとに、公園の在り方を一緒にデザインしていきます。2025年11月のオープンを目指し、アイデア出しから設計、施工ワークショップまでを一連のプロセスとして計画している点も特徴です。
本プロジェクトには、学生だけでなく、地元住民で構成される「わがままパーク」プロジェクトメンバー、親子コミュニティ、みどり市、まちづくり会社などが参画。空き家活用と子ども主体のまちづくりを掛け合わせた、地方創生の新たなモデルケースとしての展開が期待されています。
◆高校生のアイデアから生まれた「てまえどり」実証実験
食品ロス削減サービス『ハピタベ』×静岡大学「エコラボ」
※本記事は、株式会社ミライデザインGX様からの情報提供で作成しております。
株式会社ミライデザインGXが提供する、食品の「てまえどり」を促進するサービス『ハピタベ』は、静岡大学が事務局を務める「アオハル!エコロジーラボ(エコラボ)」と連携し、食品ロス削減の実証実験を行いました。
実験は、高校生・大学生メンターによるチームが「食品ロスを減らすキャンペーン」を企画したことをきっかけに実現。スーパーマーケットの店頭で、賞味期限・消費期限が近い商品を『ハピタベ』を通じて見える化し、てまえどりを促す取り組みを行った結果、9日間で828品の廃棄回避につながりました。
今後は、店頭だけでなく、特設ブースやイベントなど様々な場面での活用、静岡県の温暖化対策アプリ『クルポ』との連携などを通じて、若い世代と一緒に食品ロス削減と脱炭素行動を広げていく方針です。
◆「エコな商品を選びたい」7割、「追加コストは難しい」約半数
データコム株式会社による環境意識と消費行動のアンケート調査
※本記事は、データコム株式会社様からの情報提供で作成しております。
小売業向けの商品・顧客分析ソリューションを提供するデータコム株式会社は、全国の20〜60代の男女450人を対象に、環境問題と消費行動に関する意識調査を実施しました。
主な結果は以下の通りです。
・普段から環境問題について「考えている」「たまに考える」人はあわせて約5割
・身近な環境問題として最も多く挙げられたのは「食品ロス」(約66%)
・取り組みやすい対策としては「マイバッグ・マイボトル」「必要な分だけ買う」「詰め替え用の利用」など、日常の小さな工夫が上位に
・約7割が「環境に配慮した商品・サービスを利用したい」と回答
・一方で、環境配慮型の商品に「追加で支払える金額」は「0円」が約4割、100円未満までを含めると9割近くを占める結果に
「環境に優しい選択をしたい」という意思はある一方で、物価高騰なども背景に「追加コストを払う余力がない」生活者のリアルが浮かび上がりました。企業側には、価格面のハードルを下げつつ、日常的に取り組みやすい選択肢を増やしていくことが求められているといえます。
◆大阪・関西万博の会場で食品ロス削減
フードシェアリングサービス「万博タベスケ」の提供決定
※本記事は、株式会社G-Place様からの情報提供で作成しております。
自治体向けの業務支援を行う株式会社G-Placeは、2025年4月13日〜10月13日に大阪市夢洲で開催される「2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)」において、食品ロス削減に向けたフードシェアリングサービス「万博タベスケ」を提供することを発表しました。
「万博タベスケ」は、会場内で廃棄される可能性が高い食品を、来場者がウェブ上で確認し、お得な価格で購入できるサービスです(利用料は無料、商品の購入代金のみ発生)。同社が全国の自治体向けに提供してきた「タベスケ」の実績をもとに構築されており、
・万博会場内での具体的な食品ロス削減
・来場者一人ひとりの「SDGsにつながる行動」の後押し
・削減量などのデータを可視化し、取り組みの効果を定量的に評価
といったことを目標にしています。
大阪・関西万博が掲げる「いのち輝く未来社会のデザイン」というテーマのもと、会場内での飲食体験と食品ロス削減をつなぐ取り組みとして注目されます。
◆自治体DX・GovTechの全体像を俯瞰
ムビサクが「地方創生×自治体DXツールカオスマップ 2025年版」を公開
※本記事は、アルファノート株式会社様からの情報提供で作成しております。
動画制作サービス「ムビサク」を提供するアルファノート株式会社は、「2025年版 地方創生×自治体DXツールカオスマップ(GovTech:ガブテック)」を公開しました。
行政手続きのオンライン化、住民向けの問い合わせチャットボット、地域通貨・ポイント、観光・シティプロモーション、防災・防犯、スマートシティなど、自治体DX領域は急速に拡大・複雑化しています。そのなかで自治体や地域事業者が適切なツールを選ぶのは難しくなっており、全体像を整理したカオスマップへのニーズが高まっていました。
今回公開されたカオスマップでは、地方創生や自治体DXに関わる全133種類のサービスをカテゴリ別に整理し、一覧できるようになっています。掲載ツールの詳細はムビサクのサイト上で確認でき、転載・引用の際のルールも明記されています。
現場の職員不足や業務の複雑化が進むなか、「どの課題に、どのツールがフィットするのか」を考えるための一つの指針として、自治体DX推進の実務に役立つ内容です。
◆未利用資源を活かしたモノづくりが評価
長寿乃里「然-しかり-」がサステナブルコスメアワード2部門で受賞
※本記事は、株式会社長寿乃里様からの情報提供で作成しております。
完然無添加のスキンケア商品を展開する株式会社長寿乃里は、「2024年サステナブルコスメアワード」にて、
・然-しかり- よかせっけん:地方創生部門 審査員賞
・然-しかり- ぼんたんクレンジング:アップサイクル部門 審査員賞
の2部門で受賞しました。
「よかせっけん」は、南九州に広がる火山灰シラスという未利用資源を活用した練り石けん。独自加工によって天然ミネラル「シリカ」を豊富に含むパウダーを配合し、もっちりとした泡で毛穴汚れを落としながら、地方の資源活用・雇用にもつながるプロダクトとして評価されました。
「ぼんたんクレンジング」は、これまで産業廃棄物として処理されてきた鹿児島県阿久根市産のぼんたんの果皮を、クレンジングオイルの原料としてアップサイクルした商品です。果皮に含まれる天然の洗浄成分リモネンに着目し、天然由来成分を高配合したクレンジングとして商品化。原料が九州各地の事業者の手を経て価値ある製品へと生まれ変わるストーリーも含め、「サステナブルなモノづくり」として高い評価を受けました。
外装不良品や終売品などを再流通させる取り組み「COSME Re-Go-Round STORE」への参加など、コスメの再循環を目指す取り組みも進められています。
◆AI旅行計画アプリで観光DX
北海道斜里町×Plaru、観光周遊とデータ活用の実証実験
※本記事は、北海道斜里町様・株式会社Plaru様からの情報提供で作成しております。
北海道斜里町とAI旅行計画アプリ「Plaru(ぷらる)」を提供する株式会社Plaruは、観光周遊促進と観光施策の高度化を目的とした実証実験を開始しました。
世界自然遺産・知床を有する斜里町は豊かな自然と文化資源に恵まれる一方で、観光客の動きやニーズを十分に把握するためのデータが不足しているという課題を抱えていました。今回の実証実験では、「Plaru」を活用して旅行者の周遊ルートや滞在時間などのデータを取得し、それをもとに効果的な観光施策の立案・実行を目指します。
「Plaru」は、出発地・到着地・時間・趣味嗜好を入力すると、AIがパーソナライズされた旅行プランを提案するアプリです。
・AIによるルート検索機能
・観光スポットと空港/駅/宿の位置関係を可視化する観光マップ
・スポットの追加・削除や順番入れ替えがしやすいカスタマイズ機能
などを備えており、観光庁が掲げる「観光地経営の高度化」に向けたデータドリブンな観光DXの一端を担うことが期待されています。
◆編集部から:2025年4月を振り返って
4月のニュースを振り返ると、
・学生や子ども、若い世代が主体となって、空き家活用や食品ロス削減に取り組む動き
・生活者の「環境に配慮したい」という意思と、「追加コストは難しい」という現実のギャップをデータで可視化する試み
・万博会場や観光地といった「人が集まる場」で、DXやデータ活用を通じて食品ロス削減や周遊促進に取り組む事例
・未利用資源のアップサイクルや地方産品の活用を通じて、「美」と「循環」を両立させるコスメブランドの挑戦
・自治体DXツールのカオスマップなど、「見える化」によって現場の意思決定を支える取り組み
といったキーワードが浮かび上がってきます。
読者の皆さんにとっては、
・近所のスーパーで「てまえどり」を意識して商品を選んでみる
・旅の計画づくりに、地域の魅力を深く知るためのデジタルツールを使ってみる
・火山灰や果皮など、普段は捨てられてしまう素材を活かした商品に目を向けてみる
・自治体や企業が発信するアンケートや実証実験に参加してみる
といった小さなアクションから、今回のニュースとつながっていけるはずです。
※本記事で紹介したニュースは、各プレスリリースおよび公式情報をもとに、COCOCOLOREARTH編集部が再構成しています。
参考記事
【武蔵野大学】建築デザイン学科の学生が過疎地域である「群馬県みどり市大間々町」の遊休不動産を活用した私設公園づくりに貢献!
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北海道斜里町との観光施策向上のための取り組み

この記事の監修者
吉田宏輝
COCOCOLOREARTH代表、社会活動家。
COCOCOLOREARTHでは、社会課題解決を軸にした就職・転職活動を支援するインタビューメディアの代表として、100人以上の社会活動家にインタビュー、記事執筆やイベント登壇などを行う。
