2025年8月のCOCOCOLOREARTHには、
・森林レンタルや国産トリュフ開発を通じて、森と中山間地域と都市の共生をめざす「ゼブラ企業宣言」
・展示会・イベントで大量に廃棄されてきたパネル資材を、生分解性素材と再資源化スキームで循環させる実証事業
・「凸凹が活きる社会」を掲げ、障害福祉業界で国内初のB Corp認証を取得したソーシャルフランチャイズ
など、「ビジネスのあり方そのものをアップデートする」ソーシャルグッドなニュースが集まりました。
本記事では、2025年8月にCOCOCOLOREARTHで紹介したプレスリリースをダイジェストでご紹介します。
目次
◆今月のトピックサマリー
・森林レンタル「フォレンタ」や国産トリュフ事業を手がけるシシガミカンパニーが、ゼブラ企業としての立場を正式に宣言
・展示会・イベントのパネル資材に、生分解性発泡体を活用した「使い捨てにしない」資源循環スキームの実証を開始
・発達障害特性の“凸凹”に着目した就労・自立支援を行うデコボコベースが、障害福祉業界で国内初となるB Corp認証を取得
◆ゼブラ企業宣言で「森・中山間地域・都市」の共生へ
森林レンタル「フォレンタ」を展開するシシガミカンパニー
※本記事は、株式会社シシガミカンパニー様からの情報提供で作成しております。
森林レンタルサービス「フォレンタ」などを展開する森林ベンチャー・株式会社シシガミカンパニー(岐阜県東白川村 代表取締役CEO:田口房国)は、2025年8月、「ゼブラ企業」として自社事業を位置づけ、推進していくことを宣言しました。
ゼブラ企業とは、ユニコーン企業のような時価総額至上主義とは異なり、「事業利益」と「社会貢献」の両立を志向する企業のこと。白と黒の縞模様を持ち群れで行動するシマウマになぞらえ、社会課題解決と持続的な成長を目指す企業群として提唱されてきた概念です。
シシガミカンパニーは「森林を次世代に胸を張って引き継げる財産にする」をミッションに、2024年に設立されたスタートアップ。主力事業である森林レンタル「フォレンタ」では、森林を100〜300坪程度の区画に分け、年間契約でキャンパーなどに貸し出しています。利用者はキャンプのほか、山菜・キノコ採り、ブッシュクラフトなどを楽しめる、自己実現型のレジャー空間として森を活用できます。
特徴的なのは、あえて過度なインフラ整備を行わない点です。既存の林道や空きスペースを活用し、新たな造成や建設を最小限にすることで、自然環境への負荷を抑えつつ、初期投資を低く抑えた高収益なビジネスモデルを実現。予約管理やチェックインも行わず、利用者との信頼関係に基づく運営スタイルにより、ランニングコストを削減しながら、利用者の8割が2年目以降も契約を継続する人気サービスとなっています。
一方で、同社は森林所有者の「収入にならない森」に関する課題や、中山間地域の人口減少・関係人口不足、都市部で自然にアクセスしにくい生活者の課題にも向き合っています。森林レンタルのフランチャイズ展開を通じて、森林所有者への定期収入の提供、全国30カ所(令和7年7月時点)に広がるネットワークづくり、地域へのリピーター来訪や地元商店の利用など、中山間地域の関係人口創出に取り組んでいます。
さらに、国産トリュフの生産開発にも着手し、森林や耕作放棄地を活用した新しい特産品づくりの可能性を探っています。樹種や日照、土壌条件などを組み合わせた実証を進め、栽培方法が確立できれば、森林所有者や耕作放棄地の活用を検討している人々にノウハウを共有し、中山間地域の新たな収益源にしていく構想です。
「急成長より共生」「競争より共創」「目先の利益より長く続く豊かさ」を掲げるゼブラ企業宣言は、森という社会的資産の価値を再定義しながら、自然・地域・人との関係を大切にしたビジネスのあり方を示すものと言えるでしょう。
◆展示パネルを“使い捨て”から“再資源化”へ
キンコーズ×積水化成品「RETONA FOAM BIO」資源循環スキーム実証
※本記事は、キンコーズ・ジャパン株式会社様からの情報提供で作成しております。
キンコーズ・ジャパン株式会社(本社:東京都港区 代表取締役社長:渡辺浩基)は、積水化成品工業株式会社(本社:大阪市北区 代表取締役社長:古林育将)と連携し、生分解性発泡体「RETONA FOAM BIO(レトナフォームバイオ)」を活用した展示会・販促イベント資材の再資源化スキーム構築に向けた実証を開始したことを発表しました。
背景にあるのは、展示会やイベントで使用される大量のパネル資材が、短期間で廃棄されてしまう現状です。デザイン性の高いディスプレイやPOPが、会期終了後にはほとんどが焼却・埋立てに回される「使い捨て構造」は、資源消費と廃棄物の両面で大きな環境負荷となってきました。
今回の実証では、バイオマス由来で生分解性を持つ新素材「RETONA FOAM BIO」をパネルの芯材として使用。キンコーズが培ってきた展示資材制作のノウハウを活かし、印刷テストや耐久性の評価を行いました。2025年7月2日〜4日に東京ビッグサイトで開催された展示会「推し活EXPO」では、同素材を用いたディスプレイをブース内で展開し、会期中の発色や掲示状態での強度など、実用性の検証も行われました。
来場者からは、推し活がテーマの展示会でありながら、パネル素材そのものへの質問や関心も寄せられ、環境配慮型素材へのニーズの高さがうかがえたといいます。
今後、両社は「RETONA FOAM BIO」を展示会や販促イベント、商業施設などのディスプレイ資材として積極的に提案・展開するとともに、使用後のパネルを回収し、再資源化までを含めた循環スキームを構築していく方針です。パートナー企業との連携も視野に入れながら、「つくる→使う→捨てる」で終わらせない、展示資材の新しいライフサイクルモデルの実現を目指しています。
◆障害福祉業界で国内初のB Corp認証を取得
「凸凹が活きる社会を創る。」デコボコベースのソーシャルフランチャイズ
※本記事は、デコボコベース株式会社様からの情報提供で作成しております。
「凸凹が活きる社会を創る。」というビジョンのもと、障害児者の経済的自立を支援するソーシャルフランチャイズを展開するデコボコベース株式会社(本社:東京都港区 代表取締役社長:松井清貴)は、2025年7月30日付で国際的な企業認証制度「B Corporation™(B Corp™)」を取得したことを発表しました。国内の障害福祉業界では初めての取得となります。
B Corpは、環境・従業員・コミュニティ・顧客・ガバナンスなど、あらゆるステークホルダーへのポジティブなインパクトを総合的に評価する認証制度で、「ビジネスの力でより良い世界をつくる」企業に与えられます。
デコボコベースは、発達障害特性など「見えにくく、分かりにくい障害」の“凸凹”に着目し、それぞれの特性を強みとして活かせる就労・自立の場づくりに取り組んできました。ビジョンに共感するパートナー企業とともに全国展開する「ソーシャルフランチャイズ」モデルを採用し、「売上利益の追求ではなく、ソーシャルインパクトの最大化」をミッションに掲げています。
こうした取り組みの結果、全国約130法人と連携し、延べ36,249名(2024年11月時点)の障害児者の就労・自立を支援。事業所数は332事業所に達し、全国カバー率は89%(2024年12月時点)にまで拡大しています。自治体や教育機関向けの理解促進研修、企業向けの障害者雇用サポートなども行い、多層的に「凸凹が活きる社会」の土台づくりを進めています。
松井社長はコメントの中で、「今回の認証取得を新たなスタートラインとし、DXが遅れているとされる業界の課題にも、当社の新サービス『凸凹エージェント』『凸凹システム』『凸凹ガイド』などを通じて挑戦していく」と言及。ビジョンの実現に向け、テクノロジーも積極的に取り入れながら、持続可能で公正な社会づくりに貢献していく姿勢を示しました。
◆編集部から:2025年8月を振り返って
2025年8月のニュースを振り返ると、
・森という社会資産を、レンタルや国産トリュフ開発を通じて「次の世代につなぐ財産」に変えていくゼブラ企業の挑戦
・目に見えづらかった「展示会のごみ」を、生分解性素材と再資源化スキームで循環させようとする試み
・“凸凹”という言葉で障害特性を捉え直し、全国規模のネットワークで経済的自立を支えるソーシャルフランチャイズの進化
といった、「ビジネスそのものの設計図を、社会課題解決にフィットする形に描き直す」動きが共通しているように感じます。
どの取り組みも、「今ある資源や仕組みを、どう活かし直すか」という視点を持っています。
・森林=木材生産だけではなく、関係人口や自己実現の場、トリュフ栽培のフィールドとして捉え直す
・展示パネル=イベントが終わったら捨てるものではなく、素材選びから回収・再資源化まで含めた循環の一部にする
・障害福祉事業=支援の場を点在させるのではなく、インパクトを最大化するネットワークとして設計し直す
読者の皆さん自身も、
・自分の仕事や身の回りで「当たり前に捨てているもの」「仕方ないと思っている構造」はないか
・そこに「循環」や「共生」という視点を足したら、どんな未来が描けそうか
と問い直してみることで、今回紹介したニュースと自分の活動をつなぐヒントが見えてくるかもしれません。
※本記事で紹介したニュースは、各プレスリリースおよび公式情報をもとに、COCOCOLOREARTH編集部が再構成しています。
参考記事
ゼブラ企業宣言!新たな森林活用を通じて自然環境と中山間地域、都市部の共生を目指すシシガミカンパニー
展示パネル資材を“使い捨て”から“再資源化”へ 〜キンコーズと積水化成品 パネル資源循環スキーム実証を開始〜
B Corp™認証を障害福祉業界で初取得! 「凸凹が活きる社会を創る。」ビジョン実現へ、また1歩前進

この記事の監修者
吉田宏輝
COCOCOLOREARTH代表、社会活動家。
COCOCOLOREARTHでは、社会課題解決を軸にした就職・転職活動を支援するインタビューメディアの代表として、100人以上の社会活動家にインタビュー、記事執筆やイベント登壇などを行う。
