「ソーシャルスタートアップ」という言葉を耳にする機会が増えました。
社会起業家・NPO・ソーシャルビジネスとどう違うのか、混乱している方も多いのではないでしょうか。
ソーシャルスタートアップとは、社会課題の解決を目的としながら、スタートアップ的な成長速度と事業モデルで事業を拡大していく組織のことです。
この記事では、ソーシャルスタートアップの定義・社会起業家やNPOとの違い・特徴・代表的な事例・関わり方まで解説します。
目次
ソーシャルスタートアップとは
ソーシャルスタートアップとは、社会課題の解決をミッションに掲げながら、スタートアップ的な手法(ベンチャーキャピタルからの資金調達・急成長・テクノロジー活用など)で事業を推進する組織です。
「社会的インパクト」と「事業としての急成長」を両立させることを目指している点が特徴です。
社会起業家・NPO・ソーシャルビジネスとの違い
混同されやすい概念を整理します。
| 概念 | 主な組織形態 | 成長スピード | 資金調達 | 利益の取り扱い |
|---|---|---|---|---|
| 社会起業家 | 問わない(人の呼び方) | 問わない | 問わない | 問わない |
| NPO | NPO法人 | ゆっくり〜中程度 | 寄付・助成金 | 分配禁止 |
| ソーシャルビジネス | 株式会社・NPO等 | 問わない | 事業収益中心 | 問わない |
| ソーシャルスタートアップ | 株式会社が多い | 急成長を志向 | VC・社会的投資 | 利益を再投資・配当可 |
ソーシャルスタートアップは「社会起業家が設立したスタートアップ」とも言えますが、特に「急成長・スケール」を志向している点が他と異なります。
NPOとの最大の違いは、ベンチャーキャピタル(VC)や社会的投資家から出資を受け、事業のスケールを追求する点です。
スタートアップと何が違うのか
一般的なスタートアップとの違いは「ミッションの置き場所」です。
通常のスタートアップは市場の課題を解決して利益を最大化することを主目的とします。
ソーシャルスタートアップは、社会課題の解決そのものをミッションとして掲げており、事業の成功指標に「社会的インパクト」が明示的に含まれています。
ソーシャルスタートアップの3つの特徴
ソーシャルスタートアップの3つの特徴について解説します。
テクノロジーと社会課題解決の融合
ソーシャルスタートアップの多くは、テクノロジーを活用して社会課題解決のコストを下げ、スケールを可能にする事業設計をしています。
アプリ・プラットフォーム・データ分析・AI・IoTなどを組み合わせ、従来は人手と時間がかかっていた課題解決を効率化します。
社会的投資・インパクト投資との親和性
ソーシャルスタートアップはインパクト投資(社会的インパクトと財務的リターンを両立する投資)の対象になりやすいです。
社会的なミッションと事業成長を両立させることで、ESGを重視する投資家・ファンドから資金を調達できる環境が整ってきています。
スピードと実験的な姿勢
スタートアップの手法(仮説検証・ピボット・アジャイル開発など)を社会課題解決に適用するのがソーシャルスタートアップの特徴です。
「完璧な解決策を作ってから動く」のではなく、「小さく試して、改善しながらスケールさせる」アプローチを取ります。
日本のソーシャルスタートアップの事例
日本のソーシャルスタートアップの事例について解説します。
株式会社ボーダレス・ジャパン
「社会問題をビジネスで解決する」をグループミッションに掲げ、50以上の事業を国内外で展開するソーシャルスタートアップグループです。
難民支援・貧困問題・環境問題など多様な課題を対象に、各事業が独立採算で運営される「社会起業家の集合体」とも言える組織形態が特徴です。
事業の利益を新しい社会起業家の立ち上げ支援に回す仕組みが、グループ全体の成長を支えています。
株式会社エシカル・スピリッツ
廃棄酒や余剰農産物を原料にしたクラフトジンを製造・販売する食品ロス解決型スタートアップです。
食品廃棄という社会課題に対し、高付加価値商品として市場で勝負するビジネスモデルを構築し、収益と社会的インパクトの両立を体現しています。
株式会社ピリカ
ごみ拾いのSNSアプリ「ピリカ」を開発・運営し、環境問題への市民参加を促進するスタートアップです。
データを活用して行政・企業のごみ問題対策を支援するBtoBビジネスも展開し、社会的インパクトを事業として継続させる仕組みを作っています。
ソーシャルスタートアップで働く・関わるには
ソーシャルスタートアップで働く・関わるにはについて解説します。
就職・転職で関わる
ソーシャルスタートアップへの就職・転職は、DRIVEキャリア・Wantedly・各社の公式採用ページから情報を得られます。
スタートアップとしての成長フェーズにある組織が多いため、「社会課題への関心」と「ビジネス・事業推進のスキル」の両方が評価されやすいです。
事業開発・マーケティング・エンジニアリング・ファイナンスなど、一般的なビジネス職の経験者が活躍できる場面が多くあります。
インターン・副業から試す
大学生・若手社会人向けにインターンシップを実施しているソーシャルスタートアップも増えています。
副業として関わる場合は、Wantedly・YOUTURN・社会課題特化の副業マッチングサービスなどが入口になります。
起業という選択肢
ソーシャルスタートアップを自ら立ち上げる場合は、ETIC.・MAKOTO WILLなどの社会起業家支援プログラムへの参加が有効な出発点です。
ビジネスアイデアと社会課題への深い理解を組み合わせた仮説を持ちながら、メンターや投資家とのつながりを作ることが、起業準備の現実的なルートです。
まとめ
ソーシャルスタートアップとは、社会課題解決をミッションに掲げながら、スタートアップ的な成長スピードと資金調達手法で事業をスケールさせることを目指す組織です。
NPOが「非営利の枠組みで課題に向き合う」のに対し、ソーシャルスタートアップは「事業成長そのものが社会的インパクトの拡大につながる」仕組みを作ることを志向しています。
社会課題に関わりながらビジネスとしての成長にも携わりたい人には、ソーシャルスタートアップは魅力的なキャリアの選択肢です。
まずは関心のある分野で活動する組織を調べ、採用情報やイベントから接点を作ってみることから始めてみてください。

この記事の監修者
吉田宏輝
COCOCOLOREARTH代表、社会活動家。
COCOCOLOREARTHでは、社会課題解決を軸にした就職・転職活動を支援するインタビューメディアの代表として、100人以上の社会活動家にインタビュー、記事執筆やイベント登壇などを行う。
