バイオミミクリーという言葉を知っていますか?

バイオミミクリーとは、動植物や昆虫の生態を参考に、技術開発や製品開発を行うことです。

今、環境問題解決への糸口の一つとして注目されています。

実際に私たちの身近にも、バイオミミクリーの技術が使われているものが多いです。

今回は、バイオミミクリーとは何か、実例とともに見ていきましょう

バイオミミクリーとは

バイオミミクリーとは、自然界の仕組みを技術開発や製品開発に活かすことです。

「Bio」は生物を意味し、「Mimicry」は模倣を意味します。

自然は、38億年かけた進化の元で様々な課題を解決してきました。

つまりバイオミミクリーは、地球の知恵を模倣するものです。

持続可能な社会に向けて様々な場面で活用されています。

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バイオミメティクスとの違い

「バイオミミクリー」と似ている言葉の、「バイオミメティクス」があります。

「バイオミメティクス」は1950年代後半に、アメリカの学者、オットー・シュミットによって提唱されました。

これは、バイオミミクリーに関する学問分野の総称です。

その中で、自然界への観点を強めたものを「バイオミミクリー」と言います。


バイオミミクリーの身近な活用事例

特別な機械などだけでなく、私たちの身近にも、バイオミミクリーが活用されています。

今回は5つの例を見ていきましょう。

新幹線

当時、世界最速の300キロを出すことに成功した新幹線500系。

騒音問題を解決するために、カワセミが参考にされました。

カワセミは餌を取るために高速で水面に飛び込みますが、しぶきが少ないのが特徴です。

製作者の1人である中津さんは、この特徴に着目しました。

そして、クチバシが水の抵抗を最も少なくする為に鋭いことが分かりました。

この発見によって、走行抵抗が30%削減されるだけでなく、消費電力も15%削減されました。

水上ゴミ回収ドローン

世界一大きい魚と呼ばれるジンベイザメの特性を活かした、水上ゴミ回収ドローンです。

その名も「Water Shark」

ジンベイザメは平く大きい口を持ち、あまり動かずにプランクトンや甲殻類にありつきます。

この動きを模したことで、ドローンは水上ゴミを一気に大量に回収できるようになりました。

1日16時間稼働し、最大200リットルのゴミを回収します。

船舶用塗料

日本ペイントマリンという企業は、マグロの生態を生かした船舶塗料「LF-Sea」を開発しました。

マグロは時速100キロで海を回遊します。

時速100キロで泳げる理由には、皮膚の表面から、海水との摩擦抵抗を減らす体液を出すことが関係しています。

一方、船舶用塗料は防汚機能と水の抵抗を減らして燃費を向上させる機能が求められます。

日本ペイントマリンは、船舶用塗料にマグロの皮膚の粘膜を応用することを考えたのです。

その結果、従来の製品と比べ、約4%の燃費低減となりました。

医療用接着

瞬時に止血するメカニズムが、フジツボという生物から生み出されました。

現代では、毎年約190万もの人が大量出血で亡くなっています。

大量出血の原因には、手術中の出血が挙げられます。

手術の際の出血で、傷口を塞ぐ作業は困難です。

加えて、早急な出血を要するケースも多いです。

従来は止血に数分かかる凝結剤を使用しています。

しかし、それでは間に合わない患者も多く、従来とは異なる止血法が必要でした。

フジツボは、額に当たる部分のセメント腺からタンパク質を分泌しています。

その分泌液には、接着効果を発揮できるような脂質成分が含まれており、対象物の汚れを洗い流します。

これらの性能を生かして、早急な止血を可能にする接着剤が発明されました。

面ファスナー

今回挙げた中で、一番身近にあるだろう面ファスナー。

これは野生ゴボウの実が元になっています。

野生ゴボウの実は、先端がフックのような鉤(かぎ)を持ち、動物の毛や洋服に付いたらなかなか取れません。

これは、子孫繁栄のために、くっつくことで種子を運んでもらう仕組みです。

スイス人のジョルジュ・ド・メストラルという発明家が、犬の毛に付いた野生ゴボウの実が取りにくかった事から着想を得ました。


まとめ

バイオミミクリーとは、生態系を模した技術を人々の生活に役立てることです。

環境問題解決への糸口の一つとしても注目されています。

身の回りのほんの小さなものにも活用されているかも知れません。

周りにどんな物があるか探してみてはいかがでしょうか。