社会的責任を果たすことが、単に企業の「善行」としてではなく、経営の中心的なテーマとして認識されるようになってきました。
この背景には「CSR」、つまり「Corporate Social Responsibility(企業の社会的責任)」があります。
CSRは単に社会的な問題を解決するだけでなく、企業にとってのメリットやデメリット、さらには新しい価値創出の手法「CSV」との関係性も深く持つ概念です。
この記事では、CSRの基本的な考え方、そのメリットやデメリット、成功事例、そしてその取り組みを広く伝える方法について詳しく解説します。
目次
CSRとは
CSRとは、corporate social responsibility(企業の社会的責任)の略称で、企業が組織活動を行うにあたって担う社会的責任です。
そして、「企業の社会的責任」とは、企業が社会や環境と共存し、持続可能な成長を図るため、その活動の影響について責任をとる企業行動であり、企業を取り巻く様々なステークホルダーからの信頼を得るための企業のあり方を指します。
最近では、大企業だけではなく、中小企業も力を入れて取り組み始めました。
CSR活動の例としては、環境保全や労働環境の改善、地域への貢献などが挙げられます。
CSRとCSVとの違い
CSVは、CSRと文字が似ているため、意味まで混同してしまいがちです。
しかし、大きく意味は異なります。
CSVとは、Creating Shared Valueの頭文字を取ったもので、「共有価値の創造」を意味しています。
CSVは、企業の売上をあげる「経済的価値」と社会課題を解決する「社会的価値」を両立させる経営戦略のフレームワークです。
そのため、根本的に意味が異なります。
≫CSV経営とは?生まれた背景やソーシャルビジネスとの違い、事例などを解説
CSRに取り組むメリット
企業のイメージアップ
CSRへの取り組みは企業のイメージアップにつながるとされています。
少し古いデータですが、東京商工会議所が行ったアンケートによると、CSR活動に取り組む目的を中小企業のうち79.9%が、大企業のうち98.3%が企業のイメージアップと回答しています。
参考:「企業の社会的責任(CSR)」についてのアンケート調査(東京商工会議所)
市場開拓の機会に
CSR活動に取り組む中で、新たな市場を開拓できたり、新たな製品が生まれたりするかもしれません。
持続可能な社会を目指すための新しいアイディアや技術を追求することが求められます。
さらに、持続可能な未来を目指すために、短期的な利益追求よりも長期的な視点での経営を重視する必要があり、結果的に新しいイノベーションが生まれやすいです。
ステークホルダーとの関係の強化
株主や従業員との関係の強化も期待できます。
従業員は、仕事が社会貢献に繋がっているという実感を得られることで働くモチベーションが向上します。
さらに、世界のESG投資の割合が35%を超えており、この数字は年々上昇していくことが考えられています。
株主の視点に立ってもCSRに取り組むメリットは大きいです。
また、近年では、SDGsの取り組みや企業の社会貢献性を就活の軸に置く学生が増えており、採用への影響も避けられないでしょう。
CSRに取り組むデメリット
コストの増加
CSRに取り組む上で一番の課題はコストでしょう。
CSRの活動費だけではなく、人件費や広告費までかかります。
さらに、投資したリターンが見えず、経営状況によっては取り組むハードルが高いでしょう。
SDGsウォッシュのリスク
SDGsウォッシュとは、実態以上にSDGsに取り組んでいると見せかけることです。
SDGsウォッシュと批判を受けると、CSRを全く行っていない企業よりも企業の評価が下がってしまう可能性が高いです。
具体的には、不買運動や取引の打ち切りなどが起こりうります。
CSRに取り組んでいたとしても、SDGsウォッシュを疑われては元も子もありません。
CSRを行う企業の事例
株式会社ファンケル
FANCLは、無添加化粧品の製造販売をメインにする企業です。
CSR部門では、『地域とハンディキャップの方々との交流』を軸に老人ホームや特別支援学校などに、メイクや身だしなみを整えるセミナーをしています。
また、商品のプラスチック包装を工夫することでごみ問題にも対応しようとしています。
株式会社ファンケルで働く人のインタビュー記事を読む
≫FANCLならではの社会貢献とは!?主役は従業員!#1 ~株式会社 ファンケル 臼杵ひろみさん~
KDDI株式会社
KDDI株式会社は日本全国で、携帯電話事業を中心に行っている企業です。
KDDIは、2020年・2021年の信頼される「CSR企業」ランキングで1位となりました。
2022年の信頼される「CSR企業」ランキングは、惜しくも3位となっています。
取り組みの具体例としては、通信を重要なライフラインの一つと認識した災害支援や子ども・高齢者の情報リテラシーを高める「スマホ・ケータイ安全教室」を開催しています。
また、海外でも教育支援やインターネット環境の拡大を実施しています。
サントリーホールディングス株式会社
サントリーは、洋酒やビール、清涼飲料水の製造・販売等を行う企業です。
持続可能な豊かな地球環境を次世代に引き継ぐべく、環境ビジョン2050を定め、「再生・自然環境の保全」、「環境負荷低減」の2つの軸で、グループ全体での環境経営を推進しています。
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当メディアCOCOCOLOREARTHでは、100人以上の社会活動家にインタビューを行ってきました。
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この記事の監修者
吉田宏輝
COCOCOLOREARTH代表、社会活動家。
COCOCOLOREARTHでは、社会課題解決を軸にした就職・転職活動を支援するインタビューメディアの代表として、100人以上の社会活動家にインタビュー、記事執筆やイベント登壇などを行う。