みなさんは、銀行にお金を預けたり、保険や年金のためにお金を払ったりすることは普段当たり前にしていますよね。

 

これらを通して、私たちのお金は、間接的にいろいろな企業への投資や融資に使われています。

投融資先の企業が石炭開発をしていたり、児童労働を強制している企業だった場合、私たちは知らない間にそれらに加担してしまっているということになります。

そして、このお金の動きをより良い方向へ変えるためにエシカルな金融が大きな役割を果たします。

実は、企業は、私たちがモノを買った時に払うお金、つまり消費からの売上からだけでなく、別の手段でお金を得ています。

企業が新しい大きな事業や会社を作るためには、莫大なお金が必要なので、銀行や投資家からお金を出してもらっています。

このように企業にとっては、この「融資」と「投資」がとっても大きな意味を持っています。

それらの巨額な資金を社会的に良い企業へ流れるようにする金融の在り方を、ここでは「エシカル金融」と呼びます。

エシカル金融によって、社会的・倫理的にあまり良くない企業へ資金が行かないようになり、そのような企業は淘汰されていきます。

中長期的に巨額な金額で大きな影響を与えるエシカル金融が非常に重要になってくるとも考えられます。

人や社会・環境に配慮した消費行動であるエシカル消費が注目されていますが、

私たちができることはエシカル消費だけではありません。社会や環境に良い事業をする企業にお金を回すエシカルな金融にも私たちは携わることができます。

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エシカル金融(ESG金融・サステナブルファイナンス)って?

エシカル金融とは

エシカル金融という言葉より、実はビジネス・社会人の世界では「ESG金融」という言葉が広がっています。サステナブル・ファイナンスと言われたりもします。

ESGというのは、「環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)」の頭文字を取ったものです。

金融機関が企業にお金を融資や投資で回す際に考慮する指標と言えます。

その他にも、経済的なリターンだけでなく、社会的リターンも評価する「社会的インパクト投資」という方法もあります。

つまり、

「その対象企業は、社会的に良い企業なのか?」

「環境に良い事業を展開している(環境に悪影響を及ぼさない)企業なのか?」

「ガバナンス(企業統治)はしっかりしている企業か?」

の観点から企業を投資対象に値するかどうかを判断する一つの指標です。

これまでは、決算などの定量的な財務情報(ROEなど)重視で企業を評価していました。しかし、リーマンショック以後、環境や人権問題などへの注目もあり、非財務情報である『見えない価値』に重きを置く投資家が増えました。

利益のみ追求する経営ではなく、社会課題をしっかり見据え、それに対して積極的に投資をする中長期的目線に立った経営をする企業が注目されるようになりました。

エシカル金融での3パターンのアプローチ

具体的に、ESG金融がどうやって企業を変えるのか、3つのポイントを解説します。

  1. 石油・石炭、非人道的な武器の事業を展開するなど社会的に良くない企業にはお金をださない。(ダイベストメント)
  2. 社会的に良い事業へ移行しようとする企業にお金を出して支援する。(トランジション・ファイナンス)
  3. 社会・環境にいい事業(再生可能エネルギーなど)を展開する企業にお金を出して支援する。

ただ単にダイベストメントをしたりESGに対して積極的な企業だけに投資をしたりすれば良いというわけではありません。

まだESGに対して積極的ではない企業に対してコミュニケーションを取っていくことが重要だという見方もあります。

その一つの例は、ESGにあまりコミットしていない企業に、対話を通して改善を図るような機関投資家などの金融機関にお金を回すということです。

今、政府が「2050年までの脱炭素」を達成するために、金融機関にこのESG金融を行うように、かなり働きかけています。

アメリカでも、バイデン大統領の気候変動対策や、トランプ大統領時代に脱退したパリ協定にも復活したりと、グリーン政策を推し進めています。

このような流れは世界中で起きているのです。

これまでの話をまとめると、

企業活動には、設備投資や事業展開に莫大なお金が必要で、そのお金を左右するのが金融です。

つまり、持続可能でより良い社会の実現にとって、金融の役割が大きいと言われている理由はここにあります。


具体的にできること(入門編2つ)

私たちにできることは主に2つあります。

ダイベストメント

一つ目は、自分のお金を預けている銀行が、社会的・倫理的にあまりよくないとされている企業に投融資していないか、ESGに対してどのような方針・見解を持っているか調べることです。

これを”ダイベストメント”といいます。

 

投資信託

2つ目は、自分にもメリットのある方法です。

それは、自分のお金を増やしながら、社会に貢献できる“投資信託”です。

投資信託というのは、運用のプロであるファンドマネージャーがたくさんの人から集めたお金をまとめて、いろいろな株式や債券などに分散して投資する仕組みです。

個別株への株式投資などを自分でやるよりも、ずっと初心者向きと言われています。

理由としてこの3つのメリットがあります。

  1. リスクを抑えられる「長期・積立・分散」
  2. 500円など少額から投資できる。
  3. 社会的に良い企業へ貢献できる

銀行に普通預金などで貯金だけしていても、低金利な現在ではお金は増えない上に、自分の知らないところで、社会的に良いとは思えない企業に自分のお金が融資に使われているかもしれません。

貯金の一部を投資信託を通して、社会をより良くしようと挑戦する様々な企業に回すことも社会貢献の一つだと思います。

もちろん、「投資」ではあるのでリスクがゼロというわけにはいきません。もしやってみたいなという人はぜひ手数料やリスクについて調べた上で購入を検討してみてください。

ちなみに、ひふみ投信、鎌倉投信、コモンズ投信などの資産運用会社が運用している投資信託は、社会貢献性の強い理念の元で運用されています。

ただ、上記の通り、投資信託はあくまで投資でありリスクが伴うので、購入する場合はご自身でリスクや手数料(信託報酬他)などについて理解した上で購入するかどうかをご判断いただけると幸いです

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まとめ

持続可能な社会の実現にとってESG金融の役割が非常に重要です。

これまでの内容に関心を持った方は、ESGが考慮された投資信託から始めて、社会貢献の一助を体感してみるのも良いかもしれません。

「具体的にどのように投資や融資の対象を決めるの?」

「自分の関心に合うところは?」

「投資というと、つみたてNISAとかイデコ(iDeCo)とかも聞くけどよく分からない…」

など疑問があるかと思います。

今回ご紹介した以外にも、

個別企業の株式をを数百円単位から購入
ソーシャルレンディング(融資型クラウドファンディング)で社会性の高いプロジェクトを応援

など様々な方法もあります。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

Efico(エシカル金融コミュニティ)
「”社会にいい”の選択肢を広げる」「自分も社会もお金が循環する社会貢献」をテーマに、イベント開催や情報発信しています。
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