今回は、カンボジアのプノンペン王立大学で教育学を専攻し、仕事と学業を両立しながら学びを深めたMMさんにお話を伺いました。

今回のインタビューでは、現地の大学院に通いながらキャリアを築いていく上での悩みや工夫、そして学びから得たものについて伺いました。

留学先・経歴と留学までの流れ

まずは、MMさんの大学院・経歴をご紹介します。

〇大学院

Royal University of Phnom Penh(プノンペン王立大学)
(2019年秋~2022年夏)

・専攻(研究内容)
Master of Education(特別支援教育、インクルーシブ教育)

〇経歴

・1989年生まれ
・東京都立大学 都市教養学部 教育学・心理学コース卒業(2012年)
・銀行員、大学職員を経てカンボジアのベンチャー企業に就職
・プノンペン王立大学に進学
・国際協力機構 本部(開発協力人材室)に勤務の後、専門家として高等教育プロジェクトに派遣


社会人大学院とキャリアの悩み

Q: 大学院進学を検討したきっかけを教えてください。

A: 国際協力に携わる上で修士号が必要な仕事が多いことや、カンボジアの教育事情をより深く理解したいと思ったことがきっかけです。

また、当時はカンボジアで働き続けるつもりだったので、カンボジア国内の大学院を選びました。

決断したのは、カンボジアに渡航して半年後の2018年10月頃でした。

Q: 仕事との調整はどのように行いましたか?

A: 修士号の取得は職場にもポジティブに捉えられ、応援していただきました。

そのため、休職や退職はせず、仕事を続けながら学業に励むことができました。

Q: 進学前は、どのようなキャリアをイメージしていましたか?

A:入学前は、転職を目的としていたわけではなく、カンボジアで働くうえで必要な知識や経験を得ることを重視していました。

当時の私にとって、修士課程はキャリアの大きな転機ではなく、現地での仕事をより深めるための手段でした。

Q: 進学後、キャリア観は変わりましたか?

A:進学自体がキャリア観を大きく変えることはありませんでしたが、修士号を取得したことで、キャリアの選択肢が広がったと感じています。

たとえば、修士号を必須とする国際協力関係のポスト等です。


社会人大学院とお金の悩み

Q: 大学院進学の費用はどれくらいかかりましたか?

A: 学費は4300USD程度でした。

物価が日本の1/3程度ということもあり、日本や欧米諸国と比べて費用は安いと思います。

また、もともと現地で働いていたため、渡航費や引っ越し費用、保険などはかかりませんでした。

Q: 大学院の費用はどのように工面しましたか?

A: 外国人学生向けの奨学金はなかったので、自費負担しました。

 現地で仕事を続けていたので、在学中の生活費も問題ありませんでした。

Q:卒業後の年収が上がることを期待していましたか?

A:特に気にしていませんでしたが、修士号が必要なポジションの仕事に就くと年収が増える傾向にはなると思われます。


社会人大学院とプライベートの悩み

Q: プライベートの時間はどのように確保しましたか?

A: 平日は仕事、週末は授業というスケジュールでした。

プライベートの時間を確保するのは難しかったですが、週末の授業後に友人と食事に行くのが良い気分転換になりました。

Q: 大学院入学後、クラスメイトと交流する機会はありましたか?

A:大学院在学中も現在も、プライベートで交流する機会が多くあります。

グループで取り組む課題が多かったことがきっかけで、自然と仲良くなることができました。

社会人大学院と時間の悩み

Q:大学院の選定にはどのくらい時間がかかりましたか?

A:大学院のレベル感や立地、分野等を比較検討した結果、選択肢はそれほど多くなく、すぐに決めることができました。

また、特別支援教育を専門とする指導教員がいる大学が条件だったため、その点も選定をスムーズに進める要因でした。

Q:試験勉強にはどのくらい時間をかけましたか?

A:受験準備には約半年ほどかけ、小論文の対策に力を入れていました。

また、試験に向けてカンボジアの教育制度や現状を深く理解する必要があったため、文献やレポートを読み込み、知識をインプットしました。

Q: 勉強時間の確保で工夫していたことはありますか?

A: 平日の夜や週末の空き時間を活用して課題を進めました。

仕事をなるべく早く終わらせることで、勉強時間を確保していました。


社会人大学院と情報の悩み

Q: 情報収集はどのように行いましたか?

A:志望していた大学のWebサイトやFacebookから情報収集をしていましたが、英語での情報収集には限りがあったため、指導教員になってほしい先生に直接連絡を取り、研究室を訪問しました。

また、過去問や入試に関する具体的な情報は、大学に問い合わせて手に入れました。

Q: 情報収集にあたって大変だったことはありますか?

A:上述の通り、英語でアクセスできる情報が限られていることです。

クメール語(現地語)でしか入手できない情報に関しては、友人に翻訳を手伝ってもらいました。

また、情報収集に関してではありませんが、出願手続きや入学手続きが全てクメール語だったことも大変でした。

留学生受け入れが、まだそれほど多くないことが影響していたのではないかと思います。

Q: 次のキャリアを決めるにあたって、参考にした情報はありますか?

A:カンボジアで民間企業として現地の教育支援に携わる中で、公的機関を通じたアプローチにも関心が芽生えました。

そこで、PARTNER に登録をして、応募案件を検討しました。

最終的には、国際協力の現場で働きたい気持ち、家族との調整を考慮し、ベトナムでの専門家としての活動を選択しました。

大学院進学を考えている人へのアドバイス

Q: 大学院に進学する際、どのようなアドバイスがありますか?

A:大学院進学において最も大切なのは「進学の目的を明確にすること」だと感じました。

学位取得や資格取得はあくまで手段であり、それ自体が人生の目的になってしまうと、本来の意義を見失いがちです。

また、海外大学院への進学は、旅行とは異なり現地での「生活」を伴います。

そのため、生活面においても困難に直面することが多々あるかと思います。

一方で、日本で生活しているだけでは得られない貴重な経験や自身の価値観の変化なども感じることができます。

ぜひ、何事も楽しむマインドで、充実した現地での大学院生活を送っていただきたいです。

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