今回はNPO「weMORI」の清水イアンさんにインタビューしました。

清水さんは寄付するという形で森林保護に取り組めるアプリ「weMORI」の開発を行っています。

第2章ではアプリに注目したきっかけや大学時代の活動について伺いました。

プロフィール

清水イアン
東京を拠点に活動する環境アクティビスト・コンサルタント。大学在学中、米国生まれの世界的な気候変動非営利団体「350.org」の日本支部の設立を支援。2018年に同団体を退社以来、日本全国各地にて、持続可能性と気候変動についての教育・講演活動に従事。J-WAVEラジオ出演他、環境について共に考えていく社会を目指すコミュニティ「Spiral Club」を創設。
2019年11月より、アレキサンダー・ヤーレ・シガーズ氏とweMORIを共同設立。

アプリ発案のきっかけ

ーーーアプリで簡単に森林を守れる仕組みがとてもユニークだと感じたのですが、発案のきっかけを教えてください。また、なぜアプリに注目されたのでしょうか

特にアプリである必要はありません。

重要なのは、アクションへのハードルを下げること、そして継続性を生み出すことです。

その観点から、アプリは試す価値のある発想だと考えました。

NGOの「350.org」に参加していたのですが、やめた後に教育と啓発活動をしばらくやっていました。

中学や高校、大学に行って気候変動について講演を開いたり、ラジオでも頻繁に話したりもしていました。

でもそのような活動をしていく中で、自分がどれだけのインパクトをもたらしているのか全くわからなくなりました。

このラジオは20万人の人が聴いているよと言われるのですが、僕の言葉でその人たちの行動をどれだけ変えれるのかわからないし、教育に関しても、今6年生の子たちにこんな言葉を伝えて、100人のうち2人がいつか興味を持ってくれるかもしれないという活動でした。

これはもちろん必要なことで、誰かがやり続けなくてはいけませんが、何か具体的なインパクトを今すぐ出さなきゃいけないというのが、優先順位として高くなりました。

その時に森の保護と再生をやりたくて、世界の色々な環境保全団体について調べ始めました。

そこで思ったのが、どれもサイトが似ていてよくわからないし、右角の寄付ボタンを押して住所を入力するのがめんどくさいなと思いました。

そして寄付した後にその団体とどのように関係が続くのかというと、メールが届いて「寄付ありがとうございます。よければまた寄付しませんか?」と、メールで関係を維持しようとするのです。

このように、ウェブサイトの差別化が全くできていない、手続きがめんどくさい、自分が具体的にどう貢献したのかが見えない、寄付した後の団体とのコミュニケーションが薄いというのが、人々のモチベーションやアクションを妨げていると思ったんですね。

そこでたどり着いたのが「weMORI」です。

まず1タップで簡単に寄付ができること、現地の様子をいつでも見れることが特徴ですが、アプリを通してやればアクションへのハードルを越えられると思って始めました。


大学時代

ーーー大学在学中、NGO「350.org」に参加されていますが、その活動を始めたきっかけを教えてください

環境問題を無視して生きていくことはできないと強く感じていたからです。

そして、350.orgの活動はとても面白く、大きな可能性がありました。

350.orgはダイベストメント(投資撤退)という手法を世界中に広めたのです。

そのような形で気候変動にまつわる政策や企業の決定を変えていくというのは先例がなく、これほど学べる環境はないとすごく興味を持ちました。

今思えばラディカルすぎましたが、国連に行かない、就活もしないということは決めていました。

そこで、お世話になった人に「そういうことなら1人でも多くの人に会いなさい」と言われました。

そして出会ったのでが350.org Japanの1人目のスタッフで、彼にインターンとして働かないかと誘っていただきました。

ーーーそれまではどのようなことをされていましたか

環境問題に関心を持ち始めたのが大学2、3年のときでした。

実はその前はミュージシャンになりたくて2年休学して、復学したときに気候危機に出会いました。

出会ったというよりも、どれほどの問題なのか知るという感じで、その時は本当にめちゃくちゃ辛かったです。

たぶん、人生の中で一番辛い時期でした。

今までは物事は良い方向に進んでいると思っていました。

そして、自分よりもよほど賢い人が大切な物事を進めている世の中が、今よりもはるかに悪い方向に傾いているはずがないと思っていました。

でもそんな僕が環境危機に出会ったときに、世の中のあらゆるものを信じられなくなりました。

自分の世界が完全にひっくり返ったような感覚です。

なんで破滅とわかっている道を歩んでいるんだろう、みたいな。

全てが継続性のないシステムに加担しているように見えました。

みんなが当たり前のように肉を食べていたり、化石燃料による電力を使ったり、きっと環境になんて全く配慮していない大学の校舎とか、それに見向きもしない先生を見て、自分の現実が崩壊しました。

親しい友人もちょっとはこの問題を知っているけど、それほど問題意識は持ってないだろうと思って、彼らすらも理解できなくなるような日々でした。

その後に、環境社会学を学び始めました。

当時、環境界隈で語られていたのは、CO2が毎年どれだけ排出されているのかということだけで、社会学的視点から環境危機を読み解いているものが見当たらなかったからです。

でも、それが何よりも重要だと思っていたので環境学と社会学を学び始めました。

学んでいるうちに、企業が環境危機に加担していることが多いと感じました。

また、国連への信頼が低かったです。

2009年にコペンハーゲンのCOPで合意を達成することができなかったですし、アメリカが京都議定書から離脱したからです。

国連は環境において大した功績を残せていないし、企業に行ったとしても自分が思うように環境問題と向き合えないと思いました。

ーーー次回予告

第3章ではNPOというキャリアを選んだ理由、今後の展望、読者へのメッセージをお伝えします。

最も大事なのはどんなことがあってもやりぬく覚悟があるかどうか#3〜weMORI清水イアンさん〜

アプリweMORIインストールはこちら!

https://apps.apple.com/il/app/wemori/id1534996337

https://play.google.com/store/apps/details?id=org.wemori.app&hl=en_US&gl=US

ライタープロフィール

るりまる
津田塾大学 多文化・国際協力学科3年
韓国、非婚意識、ジェンダーに興味あり
Twitter:@rrmaaru39