今回は、認定NPO法人フローレンスで今年の6月から働く古岩井一彦さんにインタビュー

第二弾では、アルゼンチンでの幼少期から、会社で取り組んでいたこと、転職の経緯などについて伺いました。

なぜ長年働いた会社をやめる意思決定をしたのでしょうか?

プロフィール
古岩井一彦

シンクタンクという社会貢献性の高さへの憧れと、「効率化」と「手に職」という観点から、大和総研にシステムエンジニアとして入社。
8年目、大和証券グループ従業員組合に誘われ、専従の役員として3年間休職。
その経験が転機となり、復職後は、自ら希望して人事部門を中心としたキャリアを歩み、人事課長、人事部長などを経験。
その後の異動や、人生100年時代の過ごし方、会社貢献の限界、子どもの中学受験などが重なる中、自分自身のあり方を見つめ直し、ソーシャル分野への転身を決意し、2020年6月末に退職。
2021年6月から認定NPO法人フローレンスの人事スタッフとして転職。

※インタビューは2021年5月24日に行ったものになります。

アルゼンチンで過ごした学生時代

ーーー学生時代はどのように過ごしていましたか?

実は、父の転勤の関係で、ブラジルで生まれて、アルゼンチンで暮らしていました。

4歳までブラジルにいたのですが、当時の記憶はほとんどないですね。

帰国し、しばらく日本で暮らした後、小学5年生の2学期から中学3年生まで、アルゼンチンに住んでいました。

この当時の経験が今の考え方に少し影響しています。

アルゼンチンで通っていた日本人学校は、とても自由で抑圧されることがなかったです。

というのも、当時の日本の中学は上下関係が厳しく、当たり前のように体罰もありました。

そのため、26年間企業で働いていましたが、根本的には抑圧されるのが嫌いです。(笑)


自らキャリアの選択できた

ーーー入社後は、どのようなキャリアを歩まれましたか?

これまで26年間、ずっと大和総研で働いていました。

その中で、入社4年目に大きな転機がありました。

当時、仕事で閉塞感を感じ、真剣に転職を考え始めていたのですが、そのタイミングで、シリコンバレーに3カ月間、語学トレーニーとして派遣されたのです。

様々な国の人たちと共に学ぶ中で、「自分の意見をきちんと言う」ことの大切さを実感し、帰国後も、このことを実践した結果、労働組合の役員をすることになりました。

その後、人事部を経験するのですが、会社の中では珍しく、節目節目で「自分でキャリアを選択できる」道を歩んでいました。


社会課題に取り組むきっかけは、ある研修

ーーーそんな中で社会課題に取り組みたいと思ったきっかけは何ですか?

入社当時は、会社を退職してNPOで働くとは夢にも思っていませんでした。

転機は、今から2年半前に受けた社内のマネージャー向け「イクボス研修」(イクメンに理解のあるボスになるための研修)です。

そこで登壇されたNPO法人ファザーリング・ジャパン理事の川島高之さんの講演がきっかけになりました。

『人生100年時代を迎える中で、「ワーク」「ライフ」「ソーシャル」の3つの輪が大事で、どれも本業です。』という話をされていて、ソーシャルの選択肢の1つに「プロボノ」がある、ということを紹介されていました。

今までは「ワーク」と「ライフ」しか考えておらず、初めて聞いた言葉だったので、研修終了後に調べて関心を持つようになりました。

その中で、目先の経済的価値に囚われず、社会的意義のある行動をされている様々な社会起業家を知り、共感して寄付を始めたのですが、それ以上に自分も何かできないか、と感じるようになったのです。

そこで、実際にプロボノ紹介事業を行っている認定NPO法人サービスグラントの説明会に行き、他のプロボノメンバーと一緒にプロジェクトを担当し、10ヵ月かけて成果物を作成しました。

ーーーなぜすぐに行動できたのでしょうか??

組織に適合するために我慢が強いられて、自分の心身が疲弊していく中で、週末や長期休暇でリフレッシュすることだけを心待ちに過ごしているような状態が続いていた時に、この研修を受けたからですかね。

この状態で定年までの残り十数年を過ごすことや、その先にある定年後の生活に、喜びや希望が見いだせず、このまま死んだとしたら、後悔ばかりが募る人生になってしまうなと考えるようになりました。


会社内でのアクション

ーーー転職をする前に会社で何かアクションを起こすことは考えませんでしたか?

いくつかのアクションを起こしました。

例えば、プロボノの活動や意義を部下に説明していました。

「たとえ今の仕事にやりがいが見出せなくても、外に出た時に今の仕事が役立つ。」

「プロボノで活躍できれば、転職できると自信が持てる。」

「転職できるとわかっていれば、もっと社内で自分の思いや意見を主張できる。」

などと伝えいていましたね。

他には、たまたま機会があり社長に提案をしたのですが、一蹴されてしまいまして、、、
このことが転職を考える一つのきっかけにもなりました。

その後も、社内でアクションを起こすことも考えたのですが、ストレスや仕事の多忙によりドクターストップがかかり、転職することに決めました。

プロボノ活動が活きた転職

ーーー転職活動はどのように進めていったのですか?

組織に疲弊したので、コーチングなどでフリーランスをしながらプロボノをやろうと思っていました。

しかし、自分が持っている力は世の中に還元しないともったいないと思い、組織で働くことにしました。

いくつかの選考を受ける中で、NPO法人ETIC.のキャリア相談を受けた時に、コロナ禍で志を新たにした50代のソーシャル業界への転職が増えていると教えていただきました。

しかし、プロボノ活動を会社員時代からやっていたこともあり、「古岩井さんなら大丈夫ですよ」と言っていただけました。

そこで、履歴書などにその経験をしっかり書くことで本気度を伝えることができました。

ーーー次回予告

いかがでしたでしょうか?

次回は、古岩井さんのこれからやソーシャルアクションを起こすステップなどを伺いました。

「寄付をする→イベントに行く→ボランティアをしてみる→プロボノをする→

転職を考えてみる」このようなステップについて解説していただきました。

ソーシャルアクションが「大人のお作法」として当たり前の社会へ#3~認定NPO法人フローレンス古岩井一彦さん~