子どもを望む全ての人に納得できる選択肢を#1~ NPO法人FORECIA代表 佐藤高輝さん~

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今回インタビューさせて頂いたのは、不妊治療と仕事の両立を支援するNPO法人FORECIA代表の佐藤高輝さん。

第1弾では、現在の活動や活動に至るまでの経緯についてお届けします。

どうして不妊治療と仕事の両立の支援を始めたのでしょうか?

佐藤高輝(さとうこうき)
1985年生まれ。秋田県秋田市出身
高校卒業後、地元の建設系企業に就職
26歳で独立、エクステリア事業を個人事業から開始
2017年、NPO法人フォレシアを設立。不妊治療支援を開始
2020年、エクステリア事業の法人化を期に代表を交代し、自身はNPO法人フォレシアの不妊治療支援に注力する。

 

現在の活動

ーーー現在の活動について教えてください。

NPO法人フォレシア代表理事として、不妊治療と仕事の両立を支援する事業を行っています。

主な事業内容は、企業向けに福利厚生の一環として不妊治療の相談窓口の開設や研修です。

相談窓口では、頻繁な通院と仕事を両立させるためのスケジュールの組み方や上司に理解してもらいやすい伝え方などをお伝えしています。

ーーー不妊治療の研修ではどのようなことをしていますか。

研修では、『不妊治療とは何か?』という初歩から不妊治療に関する社会情勢や国の方針、当事者の方々が抱える悩みについてお伝えしています。

例えば、社会情勢については、来年に不妊治療が保険適用される予定であることや今年の4月から不妊治療の両立制度を作った企業には助成金が出ることなどです。

それらを知らない人が多いので、研修を通して伝えています。

また、研修だけではなく、不妊治療に関してもっと取り組みたい企業に向けては、社内アンケートを取り、どのような取り組みをしていくべきか分析して、実際に支援プランを作っています。

ーーー日本では不妊治療に関する理解が進んでいないことが課題であるように思いますが、その原因は何でしょうか。

生殖とキャリアに関する教育が不足していることだと思います。

日本は生殖に関する知識が途上国よりも低い場合もあり、先進国だと最下位に近いです。

そのような知識レベルでは、なかなか不妊治療への理解は進みません。

また、キャリアに関する知識も重要です。

今は女性の働き方改革等で女性のキャリア形成を支援する施策が増えている時代です。

しかし、その際に将来の妊娠・出産などの生殖医学的な面を考慮して決めている方は珍しいと思います。

晩婚化が進み、35歳以上で子どもを授かるケースは珍しくはありませんが、35歳以降は流産率や出産における様々なリスクが上がります。

実際、不妊治療をしている方でそのことを知らずに過ごしてきた方も多く、20代のうちから知りたかったと仰る方も多いです。

そのため、生殖やキャリアに関する教育的なアプローチは重要だと考えています。

活動を始めたきっかけ

ーーーそもそもなぜ不妊治療に関する支援を始めたのですか。

私自身が夫婦で不妊治療をしていた経験があるからです。

なかなか子どもができず、病院で検査した際に、自然妊娠は難しいと言われたので、不妊治療を始めました。

不妊治療の際、治療内容によって妻は週1~2回の頻度で通院が必要で、仕事との両立は大変でした。

治療は人工授精を6回行いましたが、妊娠できず、最終的に体外受精に移行しました。

そして、1度目の体外受精でやっと妊娠できましたが、その後死産になってしまい、分娩室で泣かない赤ちゃんを産む経験をしました。

その経験は、私たちにとって大変辛いことでした。

辛くて、一度は不妊治療を止めました。

2人で生きるのも良いよねと話して、2人の時間を作りました。

でも、最終的にはやはり子どもが欲しいという気持ちが大きく、納得するまで頑張ろうと治療を再開しました。

その後、1度目の挑戦で授かった子が、現在5歳の長女です。

その時に感じたことは、自分の子どもが大きくなった時にも同じような世の中なのかということです。

そして、自分たちの辛かった経験を子どもたちの世代にまで残したくないと強く感じました。

そこで、今までの利益の最大化を求めるビジネスからソーシャルビジネスへと意識が変わりました。

当事者として意識があった不妊治療について調べると、不妊治療の支援をしている団体は全国的に見ても少ない状況でした。

無いのなら、自分でやるしかないと思って、FORECIAを立ち上げました。

 活動の目標

ーーー活動を通してどんなことを目標にしていますか。

子どもを望む全ての人に納得できる選択肢を提供することです。

なので、決して不妊治療を推進しているわけではありません。

今の国内の不妊治療は仕事との両立負担、経済的負担、精神負担、地域の医療格差などがあり、子どもを望む方の負担が多いのが現状です。

日本の体外受精の実施件数は世界一です。

しかし、出産率は60ヵ国中最下位。

その要因の1つは、不妊についての教育がされておらず、不妊治療が遅れたり、長期化したりしていることです。

女性の働き方改革はとても重要で、社会全体で取り組まなくてはならないことである一方、妊娠・出産に関する正しい知識を提供せず、キャリアを推進しているのには違和感を持っています。

だからこそ、納得できる選択肢を提供するためには、教育支援が必要だと思っています。

ーーー次回予告

次回は、佐藤さんの今までのキャリアや不妊治療の支援を行う上で心がけていることをお伝えします。

ライタープロフィール
金子莉歩(かねこりほ)
子どもに関する社会課題に興味があります。
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