レンズを通して社会を見つめ、写真で社会をよく変えようとする汰木さん。

2020年8月にソー写ルグッド株式会社を立ち上げ、オンライン写真館や20-for-1プロボノといった新しい取り組みで社会を明るく照らす。

そんな汰木さんは2年ほど前から被災地でのボランティア撮影を続けてきた。それはなぜなのだろう。

今回は汰木さんの過去に迫る。

プロフィール

汰木志保(ゆるき しほ)
岐阜県出身。フリーランスフォトグラファーとして主に企業撮影を中心に10年活動。その間国際NGOの専属フォトグラファーとしても活動し、世界各地の様子を記録した。
西日本豪雨をきっかけに災害の実状に関する情報発信「ボラ写PROJECT」を立ち上げ、社会福祉協議会や災害支援団体と連携しながら撮影を繰り返し行なってきた。写真の力をもっと社会に活かしたいという思いが強くなり、2020年8月にソー写ルグッド株式会社を設立。現在は写真撮影を中心に事業を展開している。

ーーーボランティアで被災地の撮影を始めたきっかけなどはありますか?

2018年に起きた西日本豪雨災害のボランティアに行ったことです。災害ボランティアには前々から興味がありましたが行動できずにいました。

例えば東日本大震災の時、動こうにもどう動けば良いかわからないし、被害にあわれた地域に対する怖さもあって募金するだけにとどまっていたんです。

もちろん募金も素晴らしいことなんですが、もう少しできるはずだと思い、やっと足を踏み出せたのが西日本豪雨災害でした。

向かった先の広島県江田島市では、当時災害ボランティアが少なく困っていたんです。

その現状を知った私は、自分が得意な撮影という形でお手伝いをしたいと思いました。

そこから社会福祉協議会さんと連携して現地で働くボランティアの方々を写真に収めることに。

そうして情報発信を行うと、多くの方がボランティアに訪れてくださいました。

このことをきっかけに写真の力を改めて感じ、写真を使って何かをしたいと思うようになったんです。

ーーーなるほど。そうして始めたのがボラ写PROJECTですか?

はい。このボラ写っていうのは私が作った造語なんですけど、意味が二つあって

①.ボランティアの方を撮影した写真。

②ボランティアをしながら撮影すること、または撮影したもの。

こんな写真を撮り、その写真を使って人々に関心を持ってもらうためにイベント等の活動を行っていくのが、ボラ写PROJECTで2018年の西日本豪雨災害から2020年に会社を立ち上げるまで続けていました。

↑汰木さんが西日本豪雨災害で撮られた写真。

ーーー造語とは思えないほどしっくりと来ますね、ボラ写。とても素敵です。ボラ写PROJECTを始める前から写真のお仕事はされていたんですか?

8年程フリーランスでフォトグラファーをしていました。

ーーー8年程、、高校を卒業してからの話を聞かせていただいてよろしいですか?

高校までは岐阜で過ごして、卒業してから名古屋の大学の商学部に進学しました。

でも、家が裕福でなかったので、家庭を支えなければならなくて…

どうしても行きたくて大学に入学したものの、やはり経済的に苦しく大学を中退しました。

そしてすぐに働けるところに勤めて働いたのが2年程です。

そうして働く中で、もともと持っていた海外渡航の夢を叶えようと、バイトなども兼任してお金を貯め、ワーキングホリデーでオーストラリアに。

はじめは語学学校に通い、そのあとリゾートホテルのレストランスタッフとして働きました。

1年弱経って帰国し、経験を活かせる英語環境での仕事を探したところ見つけたのが船の仕事です。

世界一周客船のクルーとして、レストランのカスタマーサービスで働きました。

その時にせっかくの世界一周で思い出を残したくて、近くの家電屋で1眼レフを手に取ったのがカメラとの出会いです。

そうして旅にでると、カメラは言語を超えたコミュニケーション手段になるし、忘れっぽいわたしが情景を残す手段にもなりました。そこで写真に興味が湧いたんです。

船を降りて日本へ帰った後は、写真の会社にアシスタントとして入って写真を勉強しました。

そこで2年くらい働いたら、「いいや巣立っちゃえ」と思ってフリーランスに。そうしてお仕事をいただいて働く中で西日本豪雨災害が起きました。

ーーーえ、波乱万丈ですね、もう小説が書けそう(笑)。何より行動力がすさまじいですね。

興味持ったらやらないと気が済まないんですよ(笑)

やらないときは全然やらないんですけど、気になったらどんどんやっちゃいます。

ーーーすごいですね。いつからなんですか?

行動力が伴ってきたのは、学生の頃でしょうか。

自分で何かしないとなにも変わらないなと思えたんです。特に大学をやめたときが衝撃的でした。

大学に入る時は奨学金を借りる手続きなどをいろいろとして、なんとかお金を工面したんです。

なのに、やめるときは書類を1枚書いて事務科に通され、校長と話しただけ。

その校長も「あ、じゃ5年くらいは猶予あるから戻りたかったらいつでも戻ってきてね」みたいな軽い感じで(笑)

こんなサラっと紙切れ1枚で終わるんだって。こんな簡単に終わっちゃうのかって。

その時、自分のアクションでどうにでも人生は変わっていくと思いました。

ーーーなるほど。自分の人生ですもんね。
あと、こうして話していて思うんですけど汰木さんすごく明るいですよね。

そうですか?

ーーーすごく気さくで話しやすいです。だからたくさんの人が集まってくるかと思うんですけど…

そうですね。ボラ写PROJECTをやっていた時には、たくさんの有志の方に支えていただきました。

皆さん、ご好意で手伝ったり応援してくださったりしました。

ーーーやっぱり汰木さんには人を惹きつける力がありますよ!その力を感じた瞬間などはありますか?

そうですね、2019年の夏に行ったイベント

それが一番人の力を感じたときかもしれません。

西日本豪雨の半年後に東京で写真イベントを開いた後、発災した1年後に広島でも同じようにやりたいなと思って開催したイベントです。

月1で広島に通って、東京の写真イベントのお礼を兼ねてご挨拶に伺っては、「今度は同様の写真展イベントを、広島で開催したいんです」と話していました。

すると色々な人が「それなら○○さんを紹介するよ」と人を紹介してくださり、多くの人に出会えました。

その偶然なつながりに助けられイベントを成し遂げることができたんです。

ーーー素敵な人たちがつながっていますね

それは自信を持って言えますね。ほんとに恵まれています。

災害ボランティアは少しハードルが高くて敬遠していたんです。

でも、実際に行ってみると本当に素敵な人しかいなくて、だれかの為に一生懸命汗を流されて活動していて尊敬できる方がたくさんいました。

そういう方々と出会って、純粋に撮りたいと思えたんです。

ーーー運命の出会いですね

そうです、本当に。夢中で撮っていました。

素敵な人生を自分自身で作り上げてきた汰木さんは、彼女にしか歩めない人生を歩んで写真にたどり着いた。

そして西日本豪雨災害で素敵な人と巡り合い、魅力的な人生を歩んでいる。

写真で社会をよくするという想いを持つ彼女は写真にどんな想いをもつのか。

次回は汰木さんの思う写真の力、そして彼女の夢に迫る。

写真には人を動かす力がある#3 ~ソー写ルグッド株式会社 汰木志保さん~

 汰木さんから皆さまへメッセージ

ソー写ルグッド株式会社では緊急事態宣言中、「撮って応援!オンライン写真館」というプロジェクトを行っています。コロナ禍で撮影できずお困りの方へ、無料でオンライン撮影させていただきます。詳しくはこちらの特設ページをご覧いただきお申し込みください。また、ひとりでも多くの方に届ける為、シェアしていただけると大変嬉しいです。

「撮って応援!オンライン写真館」:https://socialgoodphotography.com/reliefthroughphotography/

そして当社のCSR活動として行っているボラ写PROJECTは、持続可能な取り組みとして「20-for-1プロボノ」を行っています。これは、弊社が撮影案件を20件受注すると、その収益で1件プロボノ撮影をいたします。様々な社会課題に取り組む非営利団体様などへ伺い、活動の様子などを撮影します。その写真を広報などに使っていただき、こちらからもその取り組みを紹介し世の中に広げていく活動をしています。

非営利団体で活動されている方で、この記事を読んで「撮影してほしい!」というご希望がある方、ぜひお問い合わせください。

また、社会課題に関心のあるフォトグラファーさんとどんどん繋がって行きたいと思います。そんな方がいらっしゃれば、ぜひお気軽にお声がけいただければ嬉しいです。

ソー写ルグッド株式会社:https://socialgoodphotography.com/

お問い合わせ:info@socialgoodphotography.com