2024年12月のCOCOCOLOREARTHには、
・ESG情報開示の現場負荷を軽減するAI回答自動生成サービス
・家庭のキッチンから省エネ・節水を後押しする次世代水栓
・培土の再利用でサーキュラーエコノミー型農業をめざす取り組み
・飲食店・メーカー・家庭の三方向からフードロス削減に挑むアワード
・市制施行70周年を機に、まち全体でSDGsを体感する大型イベント
といった、多様な分野のニュースが届きました。
本記事では、2024年12月にCOCOCOLOREARTHで紹介したプレスリリースをダイジェストでご紹介します。
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目次
◆今月のトピックサマリー
・「回答業務」をAIがサポートし、ESGへの取り組みを加速する仕組み
・最大80%節水を実現するキッチン水栓に見る、暮らし起点の省エネ
・使用済み培土を果樹栽培に活かす、農業由来サーキュラーエコノミー
・ビジネスと生活者双方からフードロス削減を讃えるアワードの広がり
・「食」と未来技術をテーマに、まちぐるみでSDGsを体感する相模原市の挑戦
◆ESGアンケートの回答案をAIが自動生成
「Answer Ease by SmartESG」提供開始
※本記事は、シェルパ・アンド・カンパニー株式会社様からの情報提供で作成しております。
企業向けESG情報開示支援クラウド「SmartESG」を提供するシェルパ・アンド・カンパニー株式会社は、サステナビリティ・ESG評価関連アンケートの回答案をAIが自動生成する「Answer Ease by SmartESG」の提供を2024年12月17日から開始しました。
上場企業を中心に、企業はESG評価機関やサプライチェーン、メディアなどから年間数百件にも及ぶアンケートに対応しており、サステナビリティ関連部署だけで月100時間以上を費やすケースもあると言われています。「Answer Ease by SmartESG」は、企業の公開情報や過去の回答内容をもとにAIが回答案を作成し、担当者は内容確認とブラッシュアップに集中できるようにすることで、回答業務の工数削減と質の向上を同時にねらうサービスです。
PoCで利用した企業からは、「助手を一人雇ったようだ」「アンケート対応工数がおおむね半減した」といった声も寄せられています。回答案には根拠となるURLも紐づけられるため、情報の裏取りもしやすくなり、社内での説明責任も果たしやすくなるのが特徴です。
本機能は、ESG関連アンケート全般への対応をめざし、今後も順次対象を拡大予定。SmartESG本体を導入していない企業でも、本機能単体で利用できる点も大きなポイントです。
◆最大80%節水を実現するキッチン水栓が省エネ大賞を受賞
「meliordesign 5a faucet」
※本記事は、株式会社DG TAKANO様からの情報提供で作成しております。
株式会社DG TAKANOが開発したキッチン水栓「meliordesign 5a faucet」が、2024年度省エネ大賞〈製品・ビジネスモデル部門〉において「省エネルギーセンター会長賞」を受賞しました。
この水栓には、DG TAKANOが2009年に開発した節水ノズル「Bubble90」の技術が活かされています。空気を含んだ水の玉を連続して放射する「脈動流」を、電力を使わずに生成することで、高い洗浄力を保ちながら水量を大幅に削減できるのが特徴です。
新モデルの「meliordesign 5a faucet」では、Bubble90を樹脂製に改良し、一般的な水栓と比べて最大80%、一般的な節水水栓と比べても約50%の節水効果を実現。水量が減ることで食器洗いに必要なガスや電気も削減でき、CO2排出量の削減にもつながります。
デザイン面では、シリコンバレーのデザイン会社Whipsawとのコラボレーションにより、機能性と美しさを両立。人と地球が共存できる未来を見据えた「次世代のキッチン水栓」として、国内外から注目を集めています。
◆使用済みココカラピートを果樹栽培へ再活用
農業を起点としたサーキュラーエコノミーの実践
※本記事は、ココカラ合同会社様からの情報提供で作成しております。
施設園芸向け培土ブランド「ココカラピート(ヤシガラ培土)」の製造販売を手がけるココカラ合同会社は、使用済み培土の再利用に取り組んでいます。インドの自社工場での研究開発に加え、国内の導入先で果樹栽培への活用事例が生まれていることから、そのインタビューを公式サイトで公開しました。
果樹栽培に適した土壌には、有機質が豊富で、窒素・リン酸・カリ・石灰・苦土・ホウ素・マンガンなどの微量栄養素がバランスよく含まれていることに加え、「排水性」と「保水性」の両立が求められます。ココカラピートを使い終わった後の培土を土にすき込むことで、果樹が育ちやすい環境をつくることができるといいます。
【事例1】北海道・株式会社寅福
トマト栽培で使用した「ココカラバッグ」と植物残渣をかくはんして堆肥化し、自社のワイン用ぶどう畑やアスパラガスのハウス、近隣農家への無償提供に活用。2024年には青森県むつ市の「寅福菜園むつ市農場」で大規模なトマト栽培もスタートし、循環型スマート農業のモデルとして注目されています。
【事例2】兵庫県・淡路の島菜園(GREENARIUM)
観光いちご農園を運営する同社では、ココカラの「グローバッグ」でイチゴやトマト栽培を行った後のココピートを再利用し、メロン・桃・ぶどうの栽培に活用。根域を制限する「ルートラットポット」や防草シート、木チップとの組み合わせにより、効率的で持続可能な果樹栽培へとつなげています。
こうした取り組みは、農業を起点としたサーキュラーエコノミーの好例であり、「使って終わり」ではない農業資材のあり方を提案しています。
◆「フードロス削減アワード2024」大賞が決定
飲食店・メーカー・家庭から、フードロス削減の工夫が集結
※本記事は、株式会社クラダシ様からの情報提供で作成しております。
ソーシャルグッドマーケット「Kuradashi」を運営する株式会社クラダシは、「フードロス削減アワード2024」の大賞受賞者を、2024年12月19日にシティラボ東京で開催した授賞セレモニーにて発表しました。
本アワードは、「飲食店部門」「食品メーカー部門」「家庭部門」の3部門で、フードロス削減に貢献する取り組みやアイデアを募集するもの。一次審査を通過した各部門5件(計15件)のノミネートから、一般投票と審査員評価にもとづき大賞が決定しました。
各部門の大賞受賞者は以下の通りです。
・飲食店部門:竹栄株式会社・プラスフード事務局
…約300店舗が登録する札幌エリアの飲食店などの「余り」を、月額会費制ユーザーが無料で受け取れるフードシェアリングサービス「プラスフード」。飲食店・ユーザー・社会の三方良しのモデルとして、他地域展開の可能性も評価されました。
・食品メーカー部門:株式会社ベンナーズ
…未利用魚を活用する定期便サービス「フィシュル!」。日本ならではの豊富な魚種を生かし、フィレ加工や調味済み商品、レシピ提案まで一体で設計された、「食の三方よし」を目指す取り組みが高く評価されました。
・家庭部門:中谷 愛さん
…「食べ切る未来へ!家庭で始めるフードロスゼロチャレンジ」。
「3日で使い切る冷蔵庫」「パーツごとリサイクル」「アプリで期限の見える化」など、家族で楽しみながら続けられるルールづくりが特徴です。ゲーム感覚で実践できる点や、家族コミュニケーションとしての側面が評価されました。
アワード全体では、独創性・社会的インパクト・持続可能性・波及効果・創意工夫といった観点から審査が行われ、ノミネート一覧には飲食店・メーカー・家庭それぞれの多彩なアイデアが並びました。
Kuradashiは今後も、「もったいないを価値へ」というコンセプトのもと、マーケット運営や基金、パートナー企業との協働を通じて、フードロス削減の輪を広げていくとしています。
◆市制施行70周年を記念してパワーアップ
「相模原SDGs EXPO」2025年1月開催へ
※本記事は、相模原市からの情報提供で作成しております。
内閣府から「SDGs未来都市」に認定されている相模原市は、市制施行70周年を記念し、2025年1月25日(土)・26日(日)に「相模原SDGs EXPO」を開催します。市民・企業・団体が一体となってSDGsを学び、体験できるオープンイベントとして、内容をパワーアップしての開催です。
1日目(1月25日/会場:アリオ橋本)は、「みんなと共に身近なSDGsを考える1日」がテーマ。食品ロスを切り口に相模原の未来を考える基調講演やトークイベントが予定されています。
・基調講演:高橋巧一氏(株式会社日本フードエコロジーセンター代表取締役)
・トークショー(家庭から考えるSDGs):おうち料理研究家・みきママ × 相模原市副市長・大川亜沙奈氏
・児童による発表:橋本小学校の児童が、地域産品を活用した宇宙大豆クッキーの販売など、SDGsな取り組みを発表
また、約50団体の「さがみはらSDGsパートナー」によるブース出展や、アップサイクルポーチづくりなどのワークショップも行われ、家族連れでも楽しみながら学べるプログラム構成となっています。
2日目(1月26日/会場:相模総合補給廠一部返還地ほか)は、「未来技術を体験し、楽しみながら相模原の未来を感じる1日」。
・「空飛ぶクルマ」のデモ飛行や試乗、VR体験
・曲がる薄型太陽光パネルを搭載したEV三輪車など、次世代モビリティの展示・試乗
・吉本興業芸人(くまだまさし、3時のヒロイン、バンビーノ)による「よしもと×SDGs×さがみはら」スペシャルステージ
・大阪・関西万博公式キャラクター「ミャクミャク」も登場する、ご当地キャラクタークイズ大会
・働くクルマの展示や、約50団体によるブース、各種SDGsワークショップ、約20台のキッチンカーによる「温かい食べ物コーナー」
など、未来技術体験とまちづくり、食を掛け合わせた多彩なコンテンツが予定されています。
市内外からの来場者を迎え、「SDGs未来都市・さがみはら」を体感できる2日間になりそうです。
◆編集部から:2024年12月を振り返って
2024年12月のニュースを通して見えてきたのは、
・ESG情報開示や省エネ製品、農業資材の再利用など、「環境・サステナビリティ」を支えるインフラ面での進化
・フードロス削減アワードや相模原SDGs EXPOのように、「参加する」「応援する」を軸に、人々の行動変容を後押しする企画の広がり
といった流れでした。
どの取り組みにも共通しているのは、「一部の専門家や意識の高い人だけのもの」にせず、
・業務負荷を減らすことで、企業が本質的なサステナビリティ活動に時間を使えるようにする
・家庭のキッチンや農場など、生活や仕事の現場から変化を起こす
・イベントやアワードを通じて、楽しく・誇りを持って「参加したくなる」場をつくる
という、継続可能な仕組みづくりの視点です。
読者一人ひとりにとっても、
・自社や所属組織のESG・環境・フードロスの取り組みを、もう一度見直してみる
・買い物や料理、イベント参加など、身近な行動を通じて「どんな未来に加担したいか」を考えてみる
といった小さな一歩から、今月のニュースとつながっていけるはずです。
※本記事で紹介したニュースは、各プレスリリースおよび公式情報をもとに、COCOCOLOREARTH編集部が再構成しています。
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この記事の監修者
吉田宏輝
COCOCOLOREARTH代表、社会活動家。
COCOCOLOREARTHでは、社会課題解決を軸にした就職・転職活動を支援するインタビューメディアの代表として、100人以上の社会活動家にインタビュー、記事執筆やイベント登壇などを行う。
