ロヒンギャ難民についてあなたは知っていますか?
ロヒンギャという民族は、長い間迫害を受け、今も日々の生活に苦しんでいます。
彼らは「世界で最も迫害されている民族」と認められていて、2022年9月末時点のUNHCRの統計によると、バングラデシュの難民キャンプで避難生活を余儀なくされているロヒンギャ難民は94万人以上です。
なぜこのような事態になってしまったのでしょうか。
また、国際社会はこの問題にどう対処しているでしょうか。
歴史とともに現状を追っていきましょう。
目次
ロヒンギャ難民とは
ロヒンギャ難民とは、ミャンマーで迫害を受け他国に避難するロヒンギャ族です。
そして、ロヒンギャ族とは、ミャンマー西部のラカイン州で暮らしてきたイスラム系少数民族です。
ミャンマーからは、不法移民とみなされるため国籍を持ちません。
加えて、ベンガリという蔑称で長年差別されています。
数十年にわたる差別と迫害を受け、多くの人が国外に避難しています。
2017年で人口は世界中で200万人に上るそうです。
なぜ、ロヒンギャ民族は迫害を受けているのでしょうか?
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ロヒンギャ族が迫害される理由
さまざまな理由から迫害の原因となっています。
ここでは2つ紹介します。
- 宗教
- 見た目と言語の違い
宗教
まず1つ目が「宗教」です。
ミャンマーでは、人口の約9割が仏教徒なのに対し、ロヒンギャのイスラム教は1割ほどです。
通常、仏教徒は他の宗教に対して特に差別意識は抱きませんが、イスラム教に関しては違います。
理由としては、イスラム教徒は宗教的慣習から出生率が高く、「人口が増え、ミャンマーを乗っ取るのではないか」という考えを仏教徒は持っているからです。
見た目と言語の違い
2つ目は、「見た目と言語の違いに対する差別的な感情」です。
ロヒンギャはベンガル系であり、ミャンマーの土着民族であるビルマ人に対して、肌の色が濃く、骨格がはっきりしているなどの特徴があります。
また、ロヒンギャ語を使い、ビルマ語を上手く使えません。
これらの特徴から迫害につながっていると考えられます。
ロヒンギャ族迫害の歴史
ロヒンギャが迫害される背景には、複雑な歴史があります。
1948年にビルマ(現ミャンマー)がイギリスから独立した当時は、現在のような迫害はありませんでした。
1962年の軍事クーデター
1962年にネ・ウィン独裁政権による軍事支配が始まり、ロヒンギャに対する迫害に転じました。
ネ・ウィンは、「ビルマ式社会主義」を掲げ、少数民族の締め上げなどの強権政治を行ったのです。
そこで、ロヒンギャに対し不法移民対策を実行しました。
よって、バングラデシュに避難する流れが生まれます。
国籍の剥奪
1982年の改正国籍法で、ロヒンギャは国籍を失いました。
その後も軍事政権が続きます。
当時、アウン・サン・スー・チーが民主化運動を先導しており、彼女をロヒンギャの人々が支持しました。
それに対して軍事政権が彼らの身柄を拘束し、重労働をさせるなどの強い弾圧を始めます。
1990年代にも多くの人々がバングラデシュに避難しましたが、彼らは受け入れられませんでした。
難民とも認められない
2012年に仏教徒とロヒンギャの間で大きな衝突が起こりました。
ロヒンギャを中心に約14万人が住む場所を失い、政府による国内のキャンプに強制収容されました。
このことにより、国外に流出するロヒンギャが増加しましたが、周辺国から難民ではないとされ、受け入れを拒まれています。
起きてしまったジェノサイド
2017年8月25日に、ロヒンギャの武装勢力「アラカン・ロヒンギャ救世軍」が多くの警察や軍施設を襲撃しました。
これに対し、ロヒンギャの村全体に火がつけられ、ジェノサイド(大量虐殺)が起こります。
人々は徒歩で山に避難したり、海から船で避難したりしましたが、途中で命を落とした人も多いのです。
ロヒンギャ難民の現状
多くの人が国外、主にバングラデシュに避難しています。
しかし、どの国からも保護されていないので、たとえ避難できても安全な生活は保証されていません。
近年、国際世論もロヒンギャを支援する動きが活発になっていますが、ミャンマーは依然としてロヒンギャに対して迫害を続けています。
一方で、2021年2月以降のミャンマー国内の混乱によってさらに難民の帰還は難しくなりました。
このように、問題解決はされず、現在も難民が出続けています。
ロヒンギャ難民とバングラデシュでの現状
ジェノサイド以降、数十万人規模のロヒンギャが流入しました。
その内の多くが女性と子どもだったそうです。
大量の難民
当初、バングラデシュの国民はロヒンギャに同情的でしたが、近年変化しています。
非常に多くの難民を受け入れている村では、地元住民の生活に大きな悪影響があるそうです。
加えて、バングラデシュは世界で最も人口密度が高いと言われていて、これ以上の難民の流入に懸念が見受けられます。
衛生面
また、難民の生活環境は、支援が追いつかず、不衛生で厳しい状態です。
十分な食料や水が無く、医療が受けられない人や栄養失調の子どもが多いです。
加えて、バングラデシュは途上国であり、災害も頻発するため、必死に避難してきたのに命を落としてしまう人もいます。
ロヒンギャ難民問題に対して行われている支援
支援内容は食糧・物資供給、医療・教育など様々な分野に跨ります。
物資の支援では、バングラデシュでのモンスーンに対応できるように毛布などの防寒アイテムや防水シートが送られているそうです。
また、ヘルスセンターを設置し、感染症を予防する措置もなされています。
他にも、保護者と逸れてしまった子どもも多く、様々な機関が連携して親子が再会できるような取り組みをしています。
中には、難民を家庭に受け入れる協力をしている団体もあるそうです。
このように多くの支援はされていますが、難民の生活は厳しいままです。
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ロヒンギャ難民問題に対して私たちにできること
この問題は、遠く離れた国の出来事のように感じますが、私たちにも出来ることがあります。
寄付をする
1つ目は「寄付をする」ことです。
多くの支援団体があり、どれも活動の継続の為には資金が欠かせません。
一人一人が出す金額は少なくても、多くの人の協力があれば莫大な金額になり、支援につながります。
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正しい情報を得て伝える
2つ目は「正しい情報を得て伝える」ことです。
自分で得た情報を周りの友達や家族に知ってもらいましょう。
この問題について関心を持つ人が増えれば、解決に向けて社会の動きも変わって行くのではないでしょうか。
ボランティアをする
3つ目は「ボランティアをする」ことです。
現地へ行くボランティアや、日本で募金の呼びかけ、イベントを開催することができます。
ロヒンギャの若者が将来的に幸せな生活を送るためにも、私たち、国際社会の協力は必要不可欠です。
まとめ
ロヒンギャ難民問題は、多くの複雑な要因が絡み合う事態であり、単純な解決策は存在しません。
彼らが直面している迫害は、宗教的、民族的偏見に基づくものから、政治的な利害関係によるものまで多岐にわたります。
私たちが目を向けるべきは、彼らが経験する人権侵害の現状と、その生活環境の改善です。
寄付やボランティア活動、そして正確な情報を共有することは、この問題への意識を高め、彼らの苦痛を少しでも和らげる手助けとなるでしょう。
この記事の監修者
吉田宏輝
COCOCOLOREARTH代表、社会活動家。
COCOCOLOREARTHでは、社会課題解決を軸にした就職・転職活動を支援するインタビューメディアの代表として、100人以上の社会活動家にインタビュー、記事執筆やイベント登壇などを行う。