環境問題 社会課題コラム

サーキュラーエコノミーとは? アメリカで話題の「LOOP」や江戸時代の事例を解説

「ゴミの王様」という一風変わった異名を持つ人がいるのを知っていますか?

アメリカの実業家トム・ザッキーは、世界的なリサイクル会社を運営しています。

日本では、伊藤忠商事が業務・資本提携をしているほか、小売業ではイオン・イオンスタイルが参画「LOOP」というサービスの本格的な実用化に向け実証実験が行われています。

「LOOP」って何だろう?

Young man and woman thinking, feeling doubtful and confused. Vector illustration in hand drawn style

「LOOP」とは、アメリカのテラサイクルという会社が始めたリユース容器での商品の提供サービスです。

耐久性とデザイン性に優れた商品を提供し、使用後に無料回収することで再利用することができる循環型のプラットフォームとして注目を浴びています。

また、スーパーなどの店頭で販売、回収を行うだけでなく、ECサイトで販売、各家庭へ配達、回収も行っています。

すでに世界5カ国以上に導入され、現在200社以上が商品の提供を行っています。

日本では、今年からイオンがパートナーシップを結び、5月からは一部店舗で販売をはじめました。

日本の提携企業は現在24社となっています。

「LOOP」が目指しているもの

トムザッキーが目指してるのは、資源の循環性を高め、環境に対する負荷を減らしていく循環型社会です。

「LOOP」を運営しているテラサイクルは2001年、トム・ザッキーによって設立されました。

トムザッキーはこの時19歳でプリンストン大学1年生でした。

コンポストの中のミミズにヒントを得てミミズを使った肥料の製造を始めたのです。

そして、再生ペットボトルを製造し、肥料を販売し成功を収めました。

その後、さまざまな廃棄物を回収し再資源化し、彼は「ゴミの王様」と呼ばれるようになりました。 

トム・ザッキーは、海洋プラスチックからシャンプーボトルを製造するなど、リサイクルを通じて社会課題解決に取り組み、2019年には「捨てるという概念を捨てる」をモットーにさまざまな新しいリサイクル技術を開発し「LOOP」を立ち上げました。

「LOOP」はサーキュラーエコノミーのプラットフォームとも言われています。

サーキュラーエコノミーとは

サーキュラーエコノミーとは

サーキュラーエコノミーとは、廃棄物を出さずに資源を循環させる経済の仕組みです。

製品を発案・設計する段階から資源を考慮し、汚染物(CO2など)や廃棄物を出さない(土に帰る)システムです。

円を描くように循環させるためサーキュラーエコノミーといい「CE」と略されることもあります。

製品と原料を使い続ける、自然システムを再現することが求められ、SDGsおよびパリ協定の目標に求められている経済のモデルです。

私たちの現在地は?

サーキュラーエコノミーに対し、従来の経済のモデルはリニアエコノミーもしくはリサイクリング(リユース)エコノミーと言われています。

リニアエコノミーは直線型経済のことです。廃棄物が出るため問題があるとすぐわかります。

リサイクリング(リユース)エコノミーは図のようにサークルが閉じておらず、廃棄物が出ることが前提となっています。

日本は、リサイクリング(リユース)エコノミーが主流となっており成果を上げています。

環境省の「第4次循環型社会形成推進基本計画」の概要によると循環利用率※は2015年の時点で16%、Circular material use rate によると欧州は11%となっています。

また、日本は世界的にみてリサイクル率も高く、リニアエコノミーからリサイクリング(リユース)エコノミーへの転換は成功したと言えるでしょう。

※循環利用率:社会で使われた資源のうちどれだけのものが循環利用されたかを表したもの

海外のサーキュラーエコノミー導入例

「Allbirds」

​​ニュージーランドのティム・ブラウンとジョーイ・ツゥイリンジャーが始めたシューズを中心に展開しているアパレルブランドです。

創業時より環境負荷低減に重点を置き、素材調達から廃棄までの過程でCO2削減を数値化し公表しています。

また再生可能な素材として​​持続可能な天然素材とリサイクル素材を使用している上に、製品寿命にも配慮した設計をしています。

さらに、CO2削減のため、再生エネルギーの利用と海上輸送をメインにしています。

商品が顧客の手に渡った後も責任を持ち、​​商品のメンテナンス(洗濯)の仕方についてもアドバイスを行っています。

日本での導入事例

Multicultural people standing together isolated flat vector illustration. Cartoon diverse characters of multinational community members. Society and public concept

サーキュラーエコノミーの先進国は欧州と言われています。

オランダのアムステルダムでは2050年までに100%サーキュラーエコノミーを実現することを目標に掲げています。

日本は遅れをとっていますが、意外にも身近なところで導入されています。

「アイカサ」

シェアリングサービスを利用したことはありますか?

シェアリングサービスとは個人や企業が所有している資産を他の人に貸し出すサービスのことです。

カーシェアリングが有名ですが、ファッション、農業などさまざまな分野で展開されています。

実は、サーキュラーエコノミーの概念の中にシェアリングエコノミーがあるのです。

ここでは「アイカサ」というシェアリングサービスを紹介します。

「アイカサ」は、JR東日本の子会社と提携し、駅を活用した「傘シェアリングスポット」を導入しました。

日本の年間ビニール傘消費量と一人当たりの所有率は世界一位。

そのうち6割が捨てられ地球に埋められています。

「アイカサ」は傘をシェアすることによりこの問題を解決しようとしています。

シェアされる傘はグラスファイバーを使った丈夫な作りですが、リペアラブルで何度も使用可能です。また、一回の利用でCO2を692g削減できます。

​​2021年1月には山手線全駅に傘立てを設置完了し、設置箇所は全国に広がっています。

https://www.i-kasa.com/sustainability

このようにしてシェアリングサービスは少しずつ私たちの生活にも浸透し始めています。

サーキュラーエコノミーを少し身近に感じていただけたでしょうか?

昔から日本にもあった循環型システム

牛乳配達

新聞のように朝、自宅に届けてくれる牛乳配達は知っていますか?

翌日配達の時に瓶を回収し、再利用する仕組みになっています。

今はあまり見かけなくなったこの牛乳配達。
昭和時代には牛乳と同様に瓶のビールを配達、回収する酒屋さんがたくさんありました。

ここで使用されている瓶はリターナブル瓶と言われるものです。このシステムに製造過程から環境に配慮することができればサーキュラーエコノミーの完成です。

江戸時代のアップサイクル

サーキュラーエコノミーでは​循環することを想定して製品が設計されます。

アップサイクルは、循環する際に元のものより価値の高いものを作り出す仕組みのことです。

江戸時代の稲作を例に挙げてみます。

籾を取った後の「わら」は「わらじ」や「縄」に使われていました。

「わら」から「わらじ」になることによって価値が上がります。

そして、「わらじ」は最後に燃やして肥料になり、それがまた稲作に生かされる仕組みになり循環していることがわかりますね。

他にも精米時にでる「ぬか」は「ぬか味噌」や「せっけん」として利用されていました。

このように自然と循環型社会が出来上がっていました。

さいごに

日本人の意識

​環境省によると、​​循環型の社会への移行に関して「生活水準を変えずにリサイクルすればよい」「現在の生活水準を落とすこととなり受け入れられない」という意見が1/4を占めました。※1

またCO2排出などによる気候変動への対策をするにあたって、生活の質が下がってしまうと考える割合が60%に上り、世界平均の26%を大きく上回る結果になっているます※2。

このことから日本人はこれから起こるであろう変化に対するマイナス面に目がいっているようです。

※1 ​​​​環境省 循環型社会の形成に関する意識調査報告書(概要)
※2 2015年 世界市民会議

メリットを考えてポジティブに

アクセンチュア株式会社によると、サーキュラーエコノミーの経済効果による利益は2030年までに4.5兆ドルに上ると試算しています。

まだ欧州連合(EU)は、サーキュラーエコノミーに転換することにより、新たな雇用と価値の創造を生み出そうとしています。

環境だけでなく、私たちの生活もよりよい方向に向かっていくのではないでしょうか。

循環型社会、そしてサーキュラーエコノミーへの転換をポジティブにとらえて変化を楽しでいきたいですね。

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