近年、私たちの生活や経済価値の向上のためにブルーエコノミーと呼ばれる考え方が注目されています。

ここでは、ブルーエコノミーの特徴に加え、ブルーファイナンスおよびグリーンエコノミーとの違いについても解説していきます。

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ブルーエコノミーとは?

ブルーエコノミーとは、地球の約7割を占める海洋に着目し、海洋資源の持続可能な利用を通じた経済価値および社会価値の向上を目指す考え方です。

具体的には水産業や海運業の発展、洋上風力発電や海底地下資源などを対象としており、これらの活動を通じてさらなる技術革新や持続的成長を目指していくことを指します。

ブルーエコノミーは、2012年にリオデジャネイロで開催された持続可能な開発会議の場において出てきたものですが、もともとは同会議の中で主張されたグリーンエコノミーから派生しました。

グリーンエコノミーとブルーエコノミーの違い

グリーンエコノミーとは、環境問題のリスクと生態系への影響を考慮したうえで、人間の生活の質の向上や社会不平等を解消するための経済のあり方のことを指します。

つまり、環境に配慮した活動モデル全般を指すグリーンエコノミーに対し、海洋に特化した活動モデルのことをブルーエコノミーと呼びます。

このブルーエコノミーですが、2030年までに関連市場規模が約500兆円まで達すると見込まれており、今後の伸びしろとして非常に期待されている活動です。

参照:日本企業の勝ち筋たる、「ブルーエコノミー」とは|Deloitte Japan


ブルーファイナンスとは?

ブルーファイナンスとは、ブルーエコノミーを通じた経済活動の発展のため、海洋環境の保全にあてられる資金調達のことを指しています。

もともとは、2018年にセーシェル共和国が世界で初めて、ソブリン・ブルー・ポンドを発行したのが始まりです。

例えば、風力発電などの再生可能エネルギーの利用に対し、資金の提供を行うことで新たな風力発電の導入や技術革新のための投資などが行われています。

参照:セーシェル、世界初のソブリン・ブルー・ボンドを発行 持続可能な海洋・漁業プロジェクトを支援


ブルーエコノミーとブルーファイナンスの違い

ここまで、ブルーエコノミーとブルーファイナンスについて解説してきました。

2つの主な違いとしては、ブルーエコノミーと呼ばれる海洋関連の経済活動の総称と、それに対する資金調達をするという活動手法の違いによるものです。

また、ブルーエコノミーについては世界的に高い注目を浴びている一方で、ブルーファイナンスに関しては現時点でそれほど注目度が高くないという特徴があります。

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日本のブルーエコノミーに対する取り組み

ここでは、実際の日本でのブルーエコノミーの取り組み状況について紹介していきます。

日本は世界と比べて海洋資源が非常に豊富な国家でありながら、2019年時点でのエネルギー自給率が12.1%とOECD加盟国36カ国のうち35位と非常に低い水準です。

そのような状況下で2022年に水産庁では、水産基本計画の柱として「水産資源管理の推進」、「養殖や輸出拡大に伴う産業拡大」、「漁村を軸とした地方創生」を掲げています。

そんな日本ですが、現在特に力を入れているのは、海洋生態系に取り込んだ炭素量を定量的に評価する「ブルーカーボン」についてです。

例えば山口県周南市では、ブルーカーボンの活用の一環として、大島干潟の環境保全活動を推進しています。

主に土砂によって作られた人工干潟に対してアマモなどの養殖場が形成されており、二酸化炭素削減に向けた海洋環境の構築を図っています。

このような形で、日本でも積極的に環境保全活動が開始されているのが現状です。

参照
2021−日本が抱えているエネルギー問題(前編)|資源エネルギー庁
ブルーカーボン推進事業 – 山口県周南市

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ブルーエコノミーの課題

そんなブルーエコノミーですが、持続可能な利用を通じた経済価値および社会価値の向上のためにはいくつか課題があります。

ここでは主に3つの課題について紹介します。

IUU漁業の監視

まず1つ目は、IUU漁業を無くすことです。

IUUとは、「Illegal・Unreported・Unregurated」の頭文字のことを指しており、いわば「違法・無報告・無規制」で実施されている漁業のことを指しています。

決められていない場所での漁獲や乱獲などは、相場よりも安く販売され、真面目な漁業者に大きな不利益を与えてしまうことにつながります。

それが結果的に生態系を乱してしまうことになるので、正しく漁業が実施されているのかを監視することが必要です。

再生可能エネルギーの活用

2つ目は、再生可能エネルギーを有効活用することです。

地球表面の7割を占める海洋上において、再生可能エネルギーの可能性は高いものの、大部分が未開発にあるのが現状です。

その中で、浮遊式の太陽光発電や洋上での風力タービンなどを用いた淡水化や養殖活動も考えられます。

特に島国の場合は、それらの技術革新や新たな雇用獲得による相乗効果が期待されています。

海洋プラスチック汚染の削減

3つ目は、海洋プラスチックによる汚染を無くすことです。

環境省の調査によれば、2010年の統計上、毎年約800万トンものプラスチックごみが海洋へ流れていることが判明しています。

その中でも、漁業によって生じた網やブイなどが半分以上を占めていることから、リサイクルの積極的活用や自然分解されるプラスチックの利用などが求められます。

海洋プラスチック問題とは?海洋汚染やごみ問題と私たちにできること
アップサイクルとは?意味や具体例、リサイクルやリメイクとの違いを解説

参照
持続可能なブルーエコノミー推進に向けた世界の動き |東京財団政策研究所
第 3節 海洋プラスチックごみ汚染・生物多様性の損失|環境省


まとめ

ここまでブルーエコノミーの概要や、ブルーファイナンスおよびグリーンエコノミーとの違いについて紹介してきました。

私たちの生活がより豊かになるためにも、ブルーエコノミー活動の動向に注目しながら、具体的にどう貢献できるのかをぜひ考えてみて下さい。

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