皆さんは、どれほどの生物が絶滅危惧種に指定されているか知っていますか?
世界では42,459種もの生物が絶滅の危機にあり、日本の中だけでも3,772種もの絶滅危惧種が存在します。
当たり前に存在していると思われがちな動物も、絶滅危惧種である可能性があります。
例えば、チンパンジーやトラは、動物園ではお馴染みの動物ですが、絶滅危惧種です。
人間の行動が動物を絶滅に追い込んでいます。
「どのような生物が絶滅の危機にあり、なぜ絶滅の危機に瀕するのか、私たちに何ができるのか」見ていきましょう。
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目次
絶滅危惧種とは
絶滅危惧種とは、その名の通り、絶滅の危機に瀕する生物のことです。
現在、世界には3,000万かそれ以上の種類の生物が存在します。
しかし、その約27%もの種類の生物が絶滅の危機に瀕しています。
参考:動物図鑑~今その動物はどんな危機にある?~ |注目の活動特集|WWFジャパン
生物が絶滅危惧種に陥る原因
生物が絶滅危惧種に陥る原因はいくつかありますが、ここでは4つ紹介します。
人間の活動(開発・乱獲)
人間の活動が生物の絶滅に大きく関係しています。
まずは開発についてです。
開発のために森林破壊を行うことで、生物が生息地域を失ってしまいます。
次に、乱獲に関してです。
乱獲によって、多数の生物が一気に個体数を減らしてしまいます。
例えばヤシガニは、乱獲によって多くの個体数が減少しましたが、沖縄県石垣市で「ヤシガニ保護条例」を制定したことで減少が抑えられたそうです。
自然への働きかけの縮小
以前は人の手で植物を刈る習慣があり、土地のバランスが保たれていました。
しかし、過疎化や文明の発達により、その土地を使わなくなり、土地が放置されてしまうと、元々生息していた生物がいなくなってしまいます。
外来種や環境汚染による影響
まず、人間が買ってたペットを捨てることで、外来種が自然に持ち込まれています。
外来種が固有種を食べてしまい、繁殖することによって固有種が減少してしまいます。
日本に繁殖した外来種としては、ブラックバスが有名です。
また、化学物質による環境汚染も生物に大きな影響を与えています。
地球温暖化の影響
地球温暖化によって、環境が大きく変わることで生息できなくなったり、他の地域の生物が進出してきたりして、従来の生物が減少しています。
例えば、北極地域では温暖化の影響で氷が溶け、氷上の動物が住居を追われています。
絶滅危惧種が多い国ランキング
2021年時点での上位10ヵ国のランキングです。
1位:マダガスカル 3.717種
2位:エクアドル 2,608種
3位:メキシコ 2,219種
4位:インドネシア 2,168種
5位:マレーシア 2,056種
6位:ブラジル 2,040種
7位:アメリカ合衆国 1,877種
8位:オーストラリア 1,828種
9位:フィリピン 1,561種
10位:コロンビア 1,511種
レッドリストと絶滅危惧種の3つのカテゴリー
絶滅危惧種に関して、レッドリストが存在します。
まず、レッドリストについて説明します。
レッドリストとは、絶滅の危機にある生物をまとめたもので、日本の生物については環境省が調査しています。
世界では、IUCN(国際自然保護連合)が調査しています
また、絶滅危惧種はいくつかのカテゴリーに分けられ、ここでは主な3つを紹介します。
3つのカテゴリー
絶滅危惧種は、絶滅危険度によって3つに分類されます。
ここでは環境省の分類を紹介します。
絶滅危惧ⅠA類(CR):近い将来における絶滅の危険性が極めて高い
絶滅危惧ⅠB類(EN):近い将来における絶滅の危険性が高い
絶滅危惧Ⅱ類(VU)絶滅の危険性が増大している
絶滅危惧種一覧から17選
エジプトリクガメ

絶滅危惧ⅠA類(CR)
生息地:イスラエル南部、エジプト北部、リビア北西部
絶滅理由:収集やペット用の違法取引
オランウータン

絶滅危惧ⅠA類(CR)
生息地:東南アジアの熱帯林
絶滅理由:人間による森林破壊、気候変動
シロサイ

絶滅危惧ⅠA類(CR)
生息地:アフリカ東南部
絶滅理由:密猟
スマトラサイ

絶滅危惧ⅠA類(CR)
生息地:東南アジアの熱帯の森
絶滅理由:密猟
ソデグロヅル

絶滅危惧ⅠA類(CR)
生息地:ロシア北極圏やシベリア西部
絶滅理由:繁殖地の開発
ヨーロッパウナギ

絶滅危惧ⅠA類(CR)
生息地:ヨーロッパ大陸の河川
絶滅理由:気候変動、乱獲、水質汚染
アジアゾウ

絶滅危惧ⅠB類(EN)
生息地:南アジアから東南アジア
絶滅理由:生息地の減少
ガラパゴスペンギン

絶滅危惧ⅠB類(EN)
生息地:ガラパゴス諸島
絶滅理由:捕食、海洋汚染、気候変動
チンパンジー

絶滅危惧ⅠB類(EN)
生息地:西・中央アフリカ周辺
絶滅理由:狩猟、森林開発
トラ

絶滅危惧ⅠB類(EN)
絶滅理由:生息地の開発、密猟
マレーバク

絶滅危惧ⅠB類(EN)
生息地:ミャンマー南部からマレー半島
絶滅理由:生息地の減少、食肉用の捕獲、動物園での利用
レッサーパンダ

絶滅危惧ⅠB類(EN)
生息地:ミャンマー北部からヒマラヤ南東部
絶滅理由:開発における生息地の減少
ワオキツネザル

絶滅危惧ⅠB類(EN)
生息地:マダガスカル島南部
絶滅理由:生息地の減少、違法ペットの取引
ジャイアントパンダ

絶滅危惧Ⅱ類(VU)
生息地:中国中西部やチベット東部
絶滅理由:生息環境の変容、密猟
ツキノワグマ

絶滅危惧Ⅱ類(VU)
生息地:極東ロシア、東南アジア、ヒマラヤ、イラン
絶滅理由:生息地の変化、密猟
ホッキョクグマ

絶滅危惧Ⅱ類(VU)
生息地:北極圏
絶滅理由:地球温暖化による生息地の減少
クロマグロ
絶滅危惧Ⅱ類(VU)
生息地:太平洋の熱帯・温帯地域
絶滅理由:乱獲
日本の絶滅危惧種の有名な動物一覧から9選
イリオモテヤマネコ

絶滅危惧ⅠA類(CR)
生息地:西表島
絶滅理由:開発による生息地の変容、交通事故
国の天然記念物
コウノトリ

絶滅危惧ⅠA類(CR)
生息地:東アジア
絶滅理由:明治時代の乱獲、生息地の減少、有機水銀を含む農薬の使用
ジュゴン

絶滅危惧ⅠA類(CR)
生息地:南西部の海域
絶滅理由:生息地の減少、近親交配、混獲
トキ

絶滅危惧ⅠA類(CR)
絶滅理由:天敵による被害、明治以降の乱獲や農業による餌動物の減少
ヤンバルクイナ

絶滅危惧ⅠA類(CR)
生息地:沖縄
絶滅理由:外来種のフイリマングースと野生の猫や犬による捕食
ラッコ

絶滅危惧ⅠA類(CR)
生息地:北海道周辺の海域
絶滅理由:海岸の開発、混獲
ハヤブサ

絶滅危惧Ⅱ類(VU)
生息地:全国を周遊
絶滅理由:開発による生息地減少、レジャー活動による妨害
エゾナキウサギ
準絶滅危惧種(NT)
生息地:山や山地
絶滅理由:開発による生息地の減少
トド

準絶滅危惧種(NT)
生息地:北海道周辺の海域
絶滅理由:漁業関係者から有害とされ大規模な駆除が行われている
アワビ

絶滅理由:乱獲や密漁、地球温暖化
IUCN(国際自然保護連合)が、2022年12月9日にクロアワビ、メガイアワビ、マダカアワビを絶滅危惧種に指定しました。
世界に54種類存在する内、20種類が絶滅の危機に瀕しています。
参考:アワビ、漁獲量10分の1で「絶滅危惧種」に。その理由は? | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン)
参考:いきものログ
野生動植物を守る国際条約
世界には、野生動植物を守るために定められている条約があります。
ここでは2つ紹介します。
水鳥を守るラムサール条約
ラムサール条約は、1971年に制定され、正式には「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約」です。
水鳥の住む湿地を守るもので、「保全と再生、ワイズユース(賢明な利用)、交流と学習」という3つを基盤にしています。
ワイズユースとは、生態系を維持しつつ利用する、持続可能な利用のことです。
湿地を守り、賢く使い、学習することで自然保護を目指します。
野生動植物を守るワシントン条約
ワシントン条約は、1973年に制定され、正式には「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約」と言います。
国際取引に規制を設けることで、野生生物の過度な乱獲を防ぐことが目的です。
具体的には、象牙やサイの角などが取引規制の対象です。
参考:環境省_ワシントン条約とは|ワシントン条約と種の保存法
絶滅危惧種を守るために、私たちができること
私たちの日頃の行動で、生物を守ることができます。
ここでは3つ挙げます。
エシカル消費を心掛ける
まず、毛皮や象牙など、希少な動物の素材を買わないことが挙げられます。
そうすることで、その生物が乱獲されるのを防ぐことに繋がります。
ワシントン条約で、日本には特定の種に由来する製品は持ち込めないです。
≫エシカル消費とは?企業が取り組む重要性やメリット、事例を解説!
動物を守る認証がついた製品を選ぶ
FSC®認証とは、持続可能な森林管理の元で作られた木製素材の認証マークです。
MSC®認証とは、「海のエコラベル」とも呼ばれ、持続可能な漁業に対する認証マークです。
これらの認証のある製品を買うことは、環境を守ることにつながります。
参考:海を守るマーク(1) 天然水産物の認証制度 MSCについて |WWFジャパン
外来種の扱いに注意する
2の原因でも述べたように、外来種を持ち込まないことが重要です。
ペットとして飼うなら徹底した管理の上に、自然に放たれること無いようにしましょう。
また、ペットを遺棄することは、どんな種類の生物でもしてはなりません。
まとめ
世界にはとても多くの生物が絶滅の危機に瀕しています。
その原因には人間の行動も大きく関わっています。
私たちの些細な行動が生物を追いやることに繋がっているかもしれません。
しかしそれは、気をつければ防ぐこともできます。
生物の多様性に関して関心を持ち、考えていきましょう。