一般社団法人グラミン日本の融資は、新しい仕事を始める資金として1人当たり50万円が上限で、女性5人が1組になって月2回のミーティングを開きます。

マイクロファイナンスに関心はあっても、どんな会社や団体が実際に取り組んでいるのかは、調べないと見えてきません。

7つの会社・団体が、誰にどんな形で金融を届けているのかを見比べられます。

この記事では、自らマイクロファイナンスと説明する会社・団体と、金融が届きにくい人を別の角度から支える隣接分野の例を紹介します。

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マイクロファイナンスとは

マイクロファイナンスとは、低所得層や社会的に取り残された人々のために設計された金融サービスです。

この定義は、貧困層の支援を掲げる開発機関のパートナーシップ、CGAPによるものです。

参考:About Financial Inclusion(CGAP)

扱うのは融資だけではなく、貯蓄や保険、送金も含まれます。

銀行の口座や担保を持たない人が、収入の波や急な出費に対応できるようにすることが目的です。


マイクロファイナンスに取り組む企業一覧

7つの会社・団体の拠点と事業内容は、次のとおりです。

会社・団体拠点・対象事業内容ココキャリア
五常・アンド・カンパニー株式会社東京都/南アジア・東南アジアなど7カ国金融サービス事業者への出資・買収・設立掲載
Degas株式会社東京都/ガーナなど小規模農家への金融と衛星データのAI掲載
日本植物燃料株式会社東京都/モザンビーク電子農協基盤、電子バウチャー、現金・電子マネー給付ほか掲載
Global Mobility Service株式会社東京都/フィリピンなど車両データを使う与信の金融サービス掲載
一般社団法人グラミン日本東京都/日本国内低利・無担保の小口融資と就労支援なし
サグリ株式会社兵庫県・東京都/インドなど衛星データとAIによる農地の見える化掲載
NPO法人ARUN Seed東京都/カンボジアなど社会起業家への社会的投資と伴走支援なし

五常・アンド・カンパニー株式会社

公式サイト:五常・アンド・カンパニー株式会社

五常・アンド・カンパニー株式会社は、金融サービスを届ける事業者に出資し、その成長を支える持株会社です。

「世界中に金融包摂を届ける」をミッションに掲げ、自社をマイクロファイナンスのグローバルリーダーと紹介しています。

事業の舞台は、南アジア・東南アジアと中央アジア・コーカサスの7カ国です。

グループ会社を通じて、グループ融資や個人向け融資、預金、送金、保険を提供しています。

特徴はグループ融資で、メンバーが互いの返済に連帯責任を負い、低い貸倒率を実現してきたとしています。

五常・アンド・カンパニー株式会社の事業内容や創業理由を詳しく見る


Degas株式会社

公式サイト:Degas株式会社

Degas株式会社は、2018年の創業以来、ガーナの小規模農家に金融を届けている会社です。

種子や肥料などの資材と研修を農家に提供し、農家は収穫した作物の一部を納めて返済します。

農家の登録や返済の管理には専用のアプリを使い、集めたデータと機械学習で信用スコアを算出します。

金融を提供した農家は、85,000人を超えています。

2025年10月には、Kivaのクラウドファンディングで、北部ガーナの農家向けに最大60万米ドルの無利子ローンを募ると発表しました。

Degas株式会社の事業内容や創業理由を詳しく見る

日本植物燃料株式会社

公式サイト:日本植物燃料株式会社

日本植物燃料株式会社は、モザンビークの農村で、取引や給付を支える電子基盤をつくる会社です。

2012年に現地法人ADM社を設立し、電気の通らない農村で農業と金融情報のサービスを提供してきました。

事業の柱は、電子農協基盤の構築、電子バウチャー、現金・電子マネーの給付、再生可能エネルギーの4つです。

給付に使うNFCカードは銀行システムやモバイルマネーとAPIで接続でき、誰にいついくら配ったかを電子データで残せます。

手がけているのはマイクロファイナンスそのものではなく、金融が届く土台づくりです。

日本植物燃料株式会社の事業内容や創業理由を詳しく見る


Global Mobility Service株式会社

公式サイト:Global Mobility Service株式会社

Global Mobility Service株式会社は、車両のデータを使い、ローンを組みにくい人が車を持てるようにする会社です。

車両に載せたIoTデバイス「MCCS」で走行状況を集め、金融機関から得た支払い状況とあわせて、運転者の信用力を可視化します。

同社の調べでは、返済能力があっても従来の与信審査に通らない人は、世界に約13億人、日本国内に毎年約290万人います。

事業を表す言葉として掲げているのは、マイクロファイナンスではなく「金融包摂型のFinTech」です。

Global Mobility Service株式会社の事業内容や創業理由を詳しく見る

一般社団法人グラミン日本

公式サイト:一般社団法人グラミン日本

一般社団法人グラミン日本は、グラミン銀行のビジネスモデルを参考に、2018年に日本で創設されたマイクロファイナンス機関です。

東京都の貸金業登録を受け、困窮するシングルマザーを中心とした女性を支えています。

新しい仕事を始める資金を、1人当たり50万円を上限に、低利・無担保で融資します。

女性5人が1組のグループをつくり、融資担当者も加わって、月2回のミーティングで返済や事業の進み具合を話し合います。

就労支援では、デジタルスキル研修を修了したシングルマザーが、企業から受託した業務を担います。


サグリ株式会社

公式サイト:サグリ株式会社

サグリ株式会社は、衛星データとAIで農地を見える化し、農業の課題に取り組む会社です。

事業は「農地活用事業」と「アグリイノベーション事業」の2つで、中心にあるのは農地データの活用です。

2019年9月には、インドで子会社を設立しました。

2022年6月には、自社が開発した営農とマイクロファイナンスのサービスを、インドの農業関連サービス大手LEAFが導入したと発表しています。

2024年4月には、JICAのバングラデシュ金融包摂強化プロジェクトと連携し、農家の土壌分析などの実証を始めると発表しました。

サグリ株式会社の事業内容や創業理由を詳しく見る

NPO法人ARUN Seed

公式サイト:NPO法人ARUN Seed

NPO法人ARUN Seedは、世界で課題解決に取り組む起業家を、社会的投資と伴走で支援する団体です。

社会的投資とは、社会課題の解決と経済的な利益の両方を目指す投資手法です。

マイクロファイナンス機関ではなく、寄付や出資を受けて社会起業家に投資し、事業が育つまで伴走する立場です。

2009年のカンボジアの社会的企業への投資以来、11社に総額1,510,000ドルの社会的投資を行ったと公表しています。


マイクロファイナンスに関わる仕事・キャリア

この分野の仕事は、資金を借り手に届ける現場、審査や決済の仕組みをつくる技術、投資で起業家を支える立場に分かれます。

正社員の採用に限らず、プロボノやインターンから関わる道もあります。

資金を届ける現場の仕事

借り手を探し、返済の見通しを一緒に立て、事業が回り始めるまで付き合う仕事です。

一般社団法人グラミン日本では、女性5人のグループに融資担当者が加わり、月2回のミーティングで返済と事業の状況を確認しています。

Degas株式会社は、ガーナの農家への融資にあたって、営業、オペレーション、品質管理、現地を回るフィールドの役割を分けています。

対面の営業や店舗での接客、金融機関での融資や回収の経験が、そのまま持ち込めます。

海外拠点の場合は、現地の言語と生活に耐えられるかどうかが、専門性以上に問われます。

審査や決済の仕組みをつくる仕事

担保や信用情報がない人を、別のデータで評価できるようにする仕事です。

Global Mobility Service株式会社は車両のIoTデータ、サグリ株式会社は衛星データとAIによる農地の解析、日本植物燃料株式会社はNFCカードを使った電子基盤で、それぞれ与信や給付の土台をつくっています。

ソフトウェア開発、データ分析、機械学習、決済システムの設計、外部の金融機関とつなぐAPIの実装が主な業務です。

金融の知識より、事業会社やSIerでの開発経験のほうが入口になりやすい領域です。

投資と伴走で起業家を支える仕事

お金を貸すのではなく、出資して事業が育つまで伴走する立場です。

NPO法人ARUN Seedは、カンボジアなどの社会起業家への社会的投資と、投資後の支援を続けています。

投資先を調べるデューデリジェンス、投資後のモニタリング、出資者への報告資料の作成が中心の業務です。

金融機関の審査部門、監査法人やコンサルティングファーム、事業会社の経営企画での経験が活きます。

プロボノやインターンから関わる

本業を続けながら、週に数時間だけ関わる形もあります。

グラミン日本では、マイクロファイナンス事業のほか、法人寄付会員事業、経営企画、広報、内部監査をプロボノが担っています。

経理、法務、広報、ITといった職種の経験が、そのまま役割になります。

団体の規模が小さいほど、こうした関わり方から正式な職員になる例もあります。

ココキャリアで探す

マイクロファイナンスに取り組む企業は、ココキャリアの分類ページで一覧できます。

≫ココキャリアのマイクロファイナンスに取り組む企業一覧

募集の有無や条件は時期で変わるため、応募を考えるときは各社の採用ページで最新の情報を確認してください。

国際協力分野の仕事全体を見渡したい方は、次の記事から読み始められます。

≫国際協力を仕事にするとは?キャリアパスと入り口を徹底解説

よくある質問

7つの会社・団体を読み比べるときに、よく出てくる4つの質問をまとめました。

Q. マイクロファイナンス企業とマイクロファイナンス機関は同じですか?

A. 同じとは限りません。マイクロファイナンス機関は、マイクロファイナンスを提供する組織を指す呼び方で、一般社団法人グラミン日本は自らをこの言葉で紹介しています。五常・アンド・カンパニー株式会社も、マイクロファイナンスのグローバルリーダーと自己紹介しています。ほかの会社・団体は、農家金融や与信、社会的投資などが中心で、自社をマイクロファイナンスの担い手とは紹介していません。法人格も、株式会社、一般社団法人、NPO法人と、掲載の7つの中で分かれています。

Q. 日本国内でもマイクロファイナンスは利用できますか?

A. 一般社団法人グラミン日本が、2018年に日本で創設されたマイクロファイナンス機関として、国内で融資を行っています。対象は困窮するシングルマザーを中心とした女性で、新しい仕事を始める資金を1人当たり50万円を上限に、低利・無担保で融資するとしています。融資には審査と条件があり、融資金を借金の返済や生活資金には使えません。5人1組のグループで月2回のミーティングも開きます。利用の可否や条件は、公式サイトで確認してください。

Q. ARUN Seedの社会的投資は、マイクロファイナンスと同じですか?

A. 同じとは言えません。NPO法人ARUN Seedは、社会的投資を、社会課題の解決と経済的な利益の両方を目指す投資手法と説明しています。寄付や出資を受けて社会起業家へ投資し、伴走して支援する団体で、マイクロファイナンス機関とは名乗っていません。起業家を金融の力で支える、隣り合う分野の団体です。CGAPはマイクロファイナンスを、低所得層のために設計された金融サービスと定義しています。ARUN Seedの投資先は、社会起業家です。

Q. マイクロファイナンスに関わる仕事は、どこで探せますか?

A. 公式サイトの採用や参加のページが入口です。五常・アンド・カンパニー株式会社はLinkedInで求人を公開し、Degas株式会社にはコーポレート、農家金融、AIの3領域を示した採用ページがあります。NPO法人ARUN Seedには求人ページとインターンのページがあり、プロボノの表示もあります。一般社団法人グラミン日本には、プロボノの参加ページがあります。募集は時期で変わるため、最新の内容は各サイトでご覧ください。

まとめ

自社をマイクロファイナンスの担い手と紹介しているのは、五常・アンド・カンパニー株式会社と一般社団法人グラミン日本の2つでした。

残る5つは、農家金融、給付の仕組み、車両データによる与信、衛星データ、社会的投資と、それぞれ別の切り口でした。

農家、ドライバー、シングルマザー、起業家と、相手が変われば金融の届け方も変わります。

気になる相手に金融を届けている会社を1社選び、公式サイトの最新のお知らせで、いまの事業を確かめるのが出発点です。

掲載5社の企業ページや、国際協力・金融の分野の企業は、ココキャリアで探せます。

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