以下の文章を読んで、場面を想像してみてください。

路上で交通事故がありました。
大型トラックがある男性とその息子をひきました。
父親は即死です。
息子は病院に運ばれました。
病院の外科医は『この子は私の息子!』と悲鳴を上げました。

皆さんは、この状況を理解することができましたか。

多くの人は「あれ、死んだはずの父親は?」と思ったのではないでしょうか。

残念ながら、この解釈にはもうすでにジェンダーバイアスが含まれてしまっています。

ジェンダーバイアスとは一体どのようなものなのか。

この場面の真相に迫りながら、説明していきます。

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ジェンダーバイアスとは

ジェンダーバイアスとは、社会的・文化的な意味での性差に対する固定概念や偏見です。

ジェンダーバイアスは、文化、教育、メディア、伝統などさまざまな要因によって形成され、日常生活の中で無意識に行動や判断に影響を与えることがあります。

ジェンダーバイアスをもっと簡単に理解しよう

先ほどの病院での物語に戻ります。

実はこの病院の医者は、父親ではなく母親だったのです。

医者が女性であるとわかっていれば、矛盾を感じることなくこの状況を理解できます。

しかし、医者は男という無意識な思い込みで読み進めてしまうと、この話に矛盾を感じてしまうのです。

この無意識の思い込みがジェンダーバイアスです。

この物語を例にすると、「医者は男性の仕事」というバイアスがかかっていました。

この他にも私たちの身近には、気づかないうちに潜んでいるジェンダーバイアスが数多く存在します。

「女はこうあるべき」

「男はこうあるべき」

これらが重視されるせいで、生きづらさを感じている人が大勢いるのです。

ジェンダーバイアスは、その人らしさを否定して個人の可能性を狭め、自由を奪う原因になります。

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ジェンダーバイアスの現状と日本のジェンダーギャップ指数

ところで皆さんは、日本のジェンダーギャップ指数は世界146か国中何位であるか知っていますか。

世界経済フォーラムの2022年調査によると、日本は146か国中116位、先進国では最下位という結果でした。

参照:ジェンダー・ギャップ指数2022

この調査では、経済・政治・教育・健康の分野別にも順位が付けられています。

分野別の日本の順位によると、経済は121位、政治は139位、教育は21カ国同立で1位、健康は63位です。

日本のジェンダーギャップにおいて、対処すべき最優先の分野は、政治分野だと明言できるのではないでしょうか?

各国と比べても圧倒的に、日本の政治分野での男女格差は大きいのです。

政治分野でのジェンダーバイアス

また、世界 女性議員割合国別ランキング2022によると、女性議員の割合が一番多い国の第一位は、ルワンダでした。

開発途上国と呼ばれるルワンダですが、全体の54.7%が女性の国会議員です。

対して、先進国である日本は14.3%で、190か国中153位でした。

参照:世界の女性議員割合 国別ランキング・推移

この調査からわかるように、日本は政治分野のジェンダーギャップが大きな問題です。

日本社会を先導する政治分野のジェンダーギャップが大きいことは、日本社会に潜むジェンダーバイアスの一因になっているのではないでしょうか。


身近に潜むジェンダーバイアスの例 ~その言葉は大丈夫?~

次は、私たちの身近に潜むジェンダーバイアスの例を挙げていきます。

イクメン

皆さんもイクメンという言葉を一度は聞いたことがあるかと思います。

しかし、このイクメン。

どこか違和感を感じませんか。

実はこれも、根強いジェンダーバイアスの一つです。

女性は育児をするのが当たり前だと思われているため、男性が育児をすればイクメンと呼ばれ、過度に褒められる。

これは、「男は仕事で、女は家事や育児」という偏見が深く根付いていることの象徴であると言えます。

イクメンという言葉を使う必要がなくなるほどに、男女関係なく家事も育児も仕事も自分らしくできる社会を目指したいですね。

 

女子力

女子力という言葉は2009年の新語・流行語大賞にノミネートされ定着し、今や会話、書籍で使われる語になっています。

女性らしさを表す語として女子力という言葉を使うことが多いですが、女子力という言葉もまた、ジェンダーバイアスの一つです。

女子力が高い人の例として、ハンカチを持ち歩く人、料理やお菓子作りが上手な人、清潔感がある人などがよく挙げられます。

しかし、これらは「女性であるから持ち合わせるべき要素」とは決して言えません。

にもかかわらず、女子力という言葉の奥底には、女性であることを理由に「女性らしく」いることへの期待感がこめられているように感じます。

それゆえ、この言葉は時に人を大きく傷つけてしまうのです。  

                 

「女性らしく」ではなく「自分らしく」いることを相手に求めるべきだと私は思います。

女性らしくある力「女子力」ではなく、自分らしくある力を大切にしていくことが重要ではないでしょうか。

理系女子(リケ女)

女性は理系が苦手で、理系分野を学ぶ女性は少ない。

この偏見からくる言葉が、リケ女。

理系分野を学ぶ女性が少ないことは、周知の事実です。

しかし、リケ女と呼ぶことで、理系の女性を特別視しているように感じます。

その特別視が、時として女性の選択に大きな影響を及ぼすこともあるかもしれないのです。

偏見や決めつけによって、女性の可能性を狭めてしまうことは決してあってはなりません。

男性よりも理系科目が得意な女性に尊敬の意を持ってリケ女と呼んでいる人もいるのかもしれませんが、気づかないうちに女性を傷つけていることがあることも頭に入れておく必要があると思います。

スポーツとジェンダー問題~変わりつつあるスポーツ業界の現状~ 


身近なジェンダーバイアスを解決するために自分たちができること

私たちは、「女らしさ」「男らしさ」を知らないうちに自分にも他人にも求めてしまうことがあります。

家や学校、職場。あらゆるところにジェンダーバイアスが潜んでいるのが日本社会の現状です。

まずはそのジェンダーバイアスに気づくことが重要だと思います。

隠れたジェンダーバイアスに苦しむ人々の声にならない叫びが、日本の社会には存在しているのです。

その叫びをあなたは聞こうとしていますか。

聞こえていながら耳をふさいでいることはありませんか。

まずはその叫びに心の耳を傾けてみることから始めましょう。

また、普段自分が何気なく使っている言葉を見つめなおして、無意識のジェンダーバイアスに気を付けて生活していくことも大切です。

そうすれば、誰もが自分らしく生きる、最高の社会をつくることができると私は信じています。

ジェンダーバイアスの問題に取り組む企業3選

ジェンダーバイアスの問題に取り組む企業を3つ紹介します。

株式会社アウローラ

https://aurora.tokyo/

株式会社アウローラは、女性の世界を変え、女性も男性もフラットな世界の実現を目指している企業です。

働く女性を応援する人材事業や仕事と子育ての両立をする保育事業、女子大生に向けたWebマーケティングスクールの「WeRuby」の運営などの多岐に渡ったサービスを提供しています。

株式会社fruor

https://www.meetcareer.net/

株式会社fruorは、個人向けのオンラインキャリア相談サービスの「ミートキャリア」を運営しており、女性をメインにキャリアコーチングしています。

2020年からは、女性管理職育成や離職防止のための支援なども開始しました。

「誰もが自分に合った生き方ができる社会」の実現を目指し、個人に寄り添ったキャリア相談をしています。

エンパワテック ソサエティー株式会社

https://empowertec.co.jp/about/

エンパワテック ソサエティー株式会社は、「現代女性が持てる力を発揮し、人生をほほえんで歩んでいくことができる社会の実現」をビジョンに掲げています。

「Marbera」という働く女性の心身の健康を未然にケアするアプリや「家事サポート保険」も運営しています。

ジェンダーの問題に取り組む企業10選~ベンチャーから大企業まで~


さいごに

冒頭で皆さんに紹介をした、医者の物語。

今一度読み返すと、少しの矛盾もなく読み進めることができるのではないでしょうか。

皆さんも周りの人にこの物語を紹介してみてください。

もしその人が、冒頭の私たちと同じように矛盾を感じてしまうのであれば、一緒にジェンダーバイアスについて話し合ってみるのも良いかと思います。

この世界に住むすべての人が、医者の物語に一切の矛盾を感じない、自分らしく生きられる世の中になることを願い、皆でジェンダーバイアスの問題に向き合っていきましょう!

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